私はなにも好きこのんで、観念的で漠然とした話ばかりしているわけではない。

 物件が2戸しかないので、基本的になにも事件が起こらないのだ。

 他のコラムニストさんが、DIYやら退去立会やらのコラムを書いているのを見ながら「いいな~、オレも実践コラムニストっぽいこと書きたいな~」と常々思っていた。

 そして、ついにその時がやってきた。

初クレームか?

 自主管理している戸建てちゃん2号の入居者さんから電話があり、

 「キッチンの機械が12時間おきにピーピー言うんよね~」

 とのこと。初のクレーム到来か?と思ったが、どっちかというと「質問」というレベルである。

 以前コラムでご紹介した、360度カメラ動画でブツを確認。

 


図1:360度カメラで確認、これほんと助かる

 

 入居者さんにこの写真を送って

「これ?」

「あ、そうそうこれこれ」

「なんこれ?」

「しらん」

 みたいなやりとりがあり。

 

1.台所に存在している
2.ピーピー言う
3.なんか見たことはある

 

 以上3つの手がかりから、これが火災報知器であることをつきとめた。
 正式には、火災警報器というのだそうな。

 火災警報器は電池式が多く、だいたい10年で交換時期を迎えるとのこと。設置後どのくらい経過しているかは定かではないが、バッテリー切れおしらせブザーが鳴っているものと推測した。

 

 まず確認しておきたい点として、そもそもこれは、設置しなければならないたぐいのものなのか。

 調べによると、消防法改正により、2006年からすべての住宅に火災警報器の設置が義務づけられた。ただし、罰則はない。
 設置義務を負うのは住宅の関係者(住宅の所有者、管理者又は占有者)ということになっているが、大家さんが設置するのが一般的である。

 

 さらに、警報器はホームセンターで売られており、自分で取り付けることもできるという

 私の感覚では、こんなものシロウトが取り付けたらいかん感じがするのだが。

 ともかく、業者さんに電話する前に気づいてよかった。

 


図2:Tシャツが派手すぎてフォーカルポイント定まらず

 

 ホームセンターには4種類くらいの警報器が売られていたが、ハイエンド機種をパスして2種類に絞り込む。

 のこる煙式と熱式についても、パッケージに「特別な理由がなければ煙式で」と親切に書かれていたので、迷うこともない。

 最終的に、ニッタンの「KRG-1D-X けむタンちゃん」をチョイス。

 ちなみに私だったら、商品名は「けむタンたん」にするかな~。

 税込み2,508円と、やさしい金額でほっと一安心。

いざ現場へ

 物件の駐車場には入居者さんの車がとまっているし、近隣にはコインパーキングなどがない。

 長男のレン(9才)と二人で、久しぶりに電車にのって目的地へ。

 小さい脚立をたずさえて、ほぼ遊び半分である。

 


図3:脚立に座って電車を待つ長男。
  「オレいま世界で一番ヒマやけん」と主張していた。

 

 迷惑をおかけしたし、人ん家におじゃまするしということで、駅前の酒屋で6缶パックの一番搾りを購入した。

 

 挨拶をする間もなく、飼い犬の猛烈な歓迎を受ける。

 「この犬がおるなら警報器いらんのやないかな~」などと思いながら作業を開始。

 レンは終始ワンコと遊んだり、若いおねいさん(娘さん)と楽しそうにおしゃべりをしていた。

 

<作業内容詳細>

・電池を本体に接続する

・既設のビスに、新しい警報器をひっかける。

・ボタンを押してブザーテストを行う。

 

 ということで、私の初DIYは30秒で終了した。

 ブザー音は、スマホの地震速報みたいな音色である。

 それを聞いて、犬が遠吠えしている。

 


図4:初DIYの完成写真

 

 DIYは「Do It Yourself」の略である。

 Myself が It を Do したのだから、これはDIYと言える。

 ひと仕事終え、アイスコーヒーをごちそうになって物件を後にした。

所感

 ラジオペンチを持ってこいと言われて、ニッパーを渡したことがあるDIYオンチの私でさえ「よゆ~」と思うほど簡単な作業だった。

 これは本当に誰にでもできる。

 

 ただし、レンと2人分の電車代、それと缶ビール代があったので、業者さんに頼んでも金額はたいして変わらなかったと思う。

 では今回、なぜ私がDIYを行ったかというと、私がコラムニストだからだ。

 「めんどくせ~」と思う気持ちより、「ネタになるラッキー」が勝利した。

 予想外のコラムニストエフェクトである。

 あなたのまわりに「そんなもん頼めばいいのに」ということをやたら自分でやりたがる大家さんがいたら、その人はコラムニストかもしれない。

補足

 害虫駆除の燻煙などで反応することもあるので、バルサニストは気をつけよう。

 市町村によっては、警報器の設置で補助金が出る場合もあるそうだ。