皆さん埼玉サラリーマン大家さんのコラムは定期的に読んでいますでしょうか?
ご存じのとおり、埼玉サラリーマン大家さんはコラムに毎月の月間の収支をアップされています。
私はこれを毎回見させていただいており、非常に参考にさせていただいています。なかなか見ることができない他人の各月の収入・支払とキャッシュフローの状況を見ることができるのは有益だと思います。
また、それらを一定期間ごとに区切って集計するといったこともコラムで書いておられますが、それも有益だと思います。
それは、不動産賃貸業とは売却しない限りずっと続いていくものなので、継続的・時間的に見ることが重要であると考えられるからです。
そこで、私の所有物件の一つについて取得時から現在までの期間において定量分析をしてみました。
【前提条件:物件スペック概要】
・RC、80戸
・イニシャルコスト計 1億500万円
[イニシャルコスト内訳]
取得価額 6,000万円
取得諸費用 1,500万円
初期リフォーム費用 3,000万円
・借入額 9,000万円
・満室想定賃料 3, 000万円/年
※物件はほぼ全空で購入、上記の数字はわかりやすいように丸くしています。
【保有期間の詳細】
集計期間 5年9ヶ月(平成28年2月~令和3年10月)
※以下の%の表示はすべて対売上比。
・家賃総額 126,297,026円 100%
・経費計 35,282,423円 27.9%
[経費内訳]
固定資産税計 11,695,190円 9.3%
修繕費等計 7,238,277円 5.7%
管理料計 6,850,186円 5.4%
広告料計 3,438,000円 2.7%
電気料計 2,850,239円 2.3%
保険料計 2,714,370円 2.1%
その他経費計 496,161円 0.4%
・家賃-経費= 91,014,603円 72.1%
・返済合計= 34,819,471円 27.6%
[返済内訳]
元本計 30,535,656円 24.2%
利息計 4,283,815円 3.4%
・家賃-経費-利息=86,730,788円 68.7%
・税引き前CF = 56,195,132円 44.5%
定量的な数字を期間で見ることの利点の一つはその期間が長いほど累計が大きくなり、集計対象が多くなるので、集計値を使用することで上記の経費等の割合(%)の将来の予測可能性が高くなるということが挙げられると思います。
例えば、上記の集計結果により経費率等を用いれば、回収額(家賃-経費-利息)がイニシャルコストを超えるのは1年3か月後※かもしれない、といった予想ができるようになります。
※計算式は(105,000,000円-86,730,788円)÷(86,730,788円÷69ヵ月)=14.5ヵ月 ⇒ 1年3か月(15ヵ月)
※実際は上記の物件の空室を埋めるのに必死だった時期の話があるのですが、今回は数字編ということでそういった情緒的な内容は排除して書いています。また、満室になるのには約2年を要したので集計値は自然に保守的な数字になっています。
【まとめ】
以前、テレビ番組に久しぶりに出演した元村上ファンド代表の村上世彰氏が
「安く買って高く売る以外の商売があったら教えて欲しい」
と言っていました。
商売とは儲けるということで、儲けるとは資金の投下とその回収においてその差額をプラスにするということではないでしょうか?
また、特に私のような地方築古RCで賃貸事業をする上では、物件の価値が低いため、都会の物件よりもより資金の投下と回収を意識する必要があると思います。
私は将来の売却等の金額を実績値もないまま見積もって作成された収支計算表(IRRやDCF法など)は意味がないと思っています。なぜなら、特に不動産は個別性が強いこともあり、時間の経過という洗礼を受けていない不確定性の強い未来の数字を扱って作成されたものなどどうでもいいと思うからです。
そこで、実際の過去の数字を積み上げることは未来の予測可能性が高まるという意味で有効だと思っています。定量的・時間的に数字で見ると分かってくることもあるかと思いますのでたまには自分の物件の数字を集計してみるのはいかがでしょうか。
そして、「決算書はあなたの成績表」とはよくロバキヨ氏の書籍に登場する文言ですが、管理会計の介在しない決算書はあくまでも税金を計算するために一年ごとに便宜的に区切って作成されており、少なくとも賃貸経営というマイナーな業種のために作っているものではないという前提条件をもう一度考えてみるのも無意味ではないと思います。
不動産賃貸業はその時点や1年で見るのもいいのですが、たまには線で見るとわかることもあるかもしれないという話でした。
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