私の本業は自営業プログラマーであり、似たような商流ではたらく、リフォーム業者さんの気持ちがなんとなく分かる。
以前「#24 リフォーム業者の脳内をのぞき見る」でも概要をお届けしたが、もうちょっと個別に掘り下げてみたい。
今回戸建ての基礎補修をしてくれた業者さんについて、私がなにを考えて彼と接していたかを振り返る。
1)独立してまだ日が浅い
彼は創業3年ほどの若い業者だ。5年以内に独立した人は固定客が不足しており、いい意味でハングリーである。少しくらい割がわるくても、将来性のある客をつかまえておきたい時期だ。
一般にリフォーム業者さんの太い客は不動産屋さんだったりすると思うが、ヘタをすると安い金額で飼い殺しになるケースもあるだろう。でも実需だけで食っていくには、かなりの数を把握しておかねばならない。
その点「買い進める大家さん」を捕まえると、いろんな問題がいっぺんに解決する。
私の物件が増えれば彼も儲かるし、投資家仲間への紹介も見込める。
中間で抜く業者がいない直接取引なので、お互いにメリットが大きい。
Win-Winの理想的な関係を構築しやすい。
2)相手の都合を考慮する
彼のメインは防蟻工事なので、夏場は忙しい。
私は「急がないから、手があいたときに連絡ください」と伝えていた。
業者としての経験上、この「いつでもいい」というのはプライスレスな価値がある。
さらに「この人はムチャを言わない」というイメージをしっかり植え付けることもできる。
3)ふところ具合を正直につたえる
今回とくに値切ったりはしていないが、金がないことは伝えていた。
そこで彼はコストパフォーマンス重視で、ボリュームを調整してくれたのだと思う。
物件の取得価格や目標利回りも伝えた。私の展望を知れば、それに沿った提案をしてくれるはずだ。
自分の状況を正直に伝えることは、協力者をふるいにかける最良の方法だと思う。
それでもおかまいなしにオーバースペックを提案してくるようなら、相手はたぶん客に困っていない。
4)商売人の哲学を聞く
独立する人はたいてい「わりと立派なビジネス哲学」を持っている。
しかし周りには共感できる人が少なく、意外とさみしい思いをしているものだ。大家さんたちも身に覚えがあるだろう。
私はこのディープな話にあえて手をつっこみ、意見交換をした。
ざっくり言うと「お客さんが喜んでくれて、自分が儲かるのが理想」とか「お客様は神様じゃない」とか「成功とはなにか」みたいな、自営業者の飲み会でよく出る話題だ。
ほとんど同じ価値観をもっていることが確認できると、相手に対する興味もわいてくる。
誰かと仲良くなりたいと思ったら、その人に興味を持たなければならない。そして、興味を持ってもらわなければならない。
興味を持ってもらうためには、大家さんにも「経営理念」が必要だと思っているが、長くなるのでこれはまた別の機会に。
まとめ
業者さんとの関係は、基本的にはお金と労働力の交換に過ぎない。
しかし、とくに私のような「かけだし」の大家さんにとっては、それだけでは物足りない。
できれば、お互いに将来性を認め合う関係が望ましい。
「あの大家さんは、将来きっと拡大する」
「この業者はきっといい仕事を長く続ける」
私が彼を見定めているのと同じに、彼も私のことをプロの目線で観察している。
お互いに選んでもらえる存在であることで、本当のチームが形成されていくのではないか、そう思っている。
おまけ
実は、私はひとつだけ彼にウソをついた。
問題となるのは、上に書いた「投資家仲間への紹介」というくだりだ。
本当のところ、私にはオフラインの投資仲間などひとりたりとも存在しない。なんなら「市内で不動産投資やってるのオレだけ疑惑」が浮上するほどだ。
私にとっては、オンラインで繋がっている、楽待のみんなが大家仲間のすべてである。
まあでも、これは罪のないウソということでお目こぼしをいただきたいと思う。これから作っていく気持ちもあることだし。
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