年末ということもあり、多くの大家さんが入居率に関するコラムを執筆している。

 私の頭脳をもってすれば、戸建て2軒の入居率は暗算できてしまう(えーと、えーと、100%)ので、ツールの必要はない。
 ただ、もしかしたらニーズあるんじゃないかと思って「入居率管理ツール」を作ってみた。

 なお今回のやつは難易度が高いので、作り方の説明はしない。コメント欄にファイルのURLを貼っておくので、興味と根性のある方は中身をごらんいただければと思う。

 聞きたいことがあれば遠慮なく何でも質問してほしい。質問に対して「やさしく答える」ことを約束しよう。

コンセプト

図1:完成イメージ

 コンセプトは、年の途中でもリアルタイムに入居率を計算できるツールだ。

 そうはいっても、出来ることは入居率を計算するという「だけ」なので、なるべく操作をシンプルにしたい。入力方法についてはかなり悩んだが、退去日と入居日を入力する方法を採用した。

 日々の作業のフローとしては、

1)退去が発生したら退去日を入力する
2)次の入居者さんの入居日を入力する

 この2つで完結する。

 入退去が発生するたびに日付を入力していくだけで、年の途中でも入居率を確認できる。簡単に集計年を指定できるし、全期間トータルの入居率も計算できるスグレモノである。

物件を登録する

 エクセルファイルは、コメント欄に記載したURLからダウンロードできる。

 使い始める前にいくつか準備が必要だ。

 まずは「入居率サマリー」のシートに、保有物件を登録しよう。
 下記の3項目を入力する。

・物件名
・運営開始日
・戸数

図2:物件情報を入力

 

 戸数のとなりに点線があるが、この点線より右は自動計算される欄なので、入力の必要はない。物件を売却した場合は運営終了日を入力する。

 シート左下にある年度開始日を変更すると、事業年度のスタート日を設定することもできる。これは、法人の決算にあわせて集計したいときに使えるだろう。

図3:事業年度開始日の設定

 事前準備としては以上だ。

入退去を入力する

 ここからは入退去が発生したときの作業を説明しよう。

 まず退去の連絡が来たら、物件名をドロップダウンで選択し、部屋番号を入力する。部屋番号はメモ代わりなので、入力しなくても動作に影響はない。
 そして退去日を入力し、いつものようにがんばって客付けする。

 

図4:退去日を入力する

 

 後日、入居が決まったら、同じ行の入居日に日付を入力する。これで、空室日数が計算される。入居日が空欄のあいだは、空室が続いていると見なす仕様だ。

図5:入居日を入力したところ

 

 空室日数が60日を超えると、文字が赤くなる。
 さらに90日を超えると、セル背景がピンクになってプレッシャーをかけてくる。

図6:プレッシャー

 

 一番右の集計対象日数(G列)は内部計算で使っている列なので非表示にしてかまわない。

 とりあえず1件入力した結果を、「入居率サマリー」のシートで確認してみる。

図7:1件だけ入力した結果(画像では稼働率となっています)

 ご覧の通り、空室日数30日がカウントされ、入居率が99.11%となった。
 左の青い部分は全物件のトータルだが、こちらは99.81%となっている。

 テキトーにいくつか入力してみた結果がこちら。

図8:適当に数件入力してみた

 行が足りなくなったら、テーブルの右下にあるぽっちで領域を広げる。

図9:行のふやしかた

 

 「入居率サマリー」のシートを見てみよう。

図10:稼働率サマリー

 物件ごとに空室情報が集計され、入居率を算出している。これは2021年のみを集計対象とした結果だ。

 入居率が95%を下回ると赤字となり、90%を下回ると背景ピンクによるプレッシャーが発動する。

暦年データの確認

 入居率サマリーのシートでは、対象年を選択することで、特定年度の入居率を確認することができる。

 アスタリスク(*)を選択すると、全部の期間が集計対象となる。

図11:年のきりかえ

まとめ

 このツールで背景ピンクを見たら、すぐに何らかの空室対策が求められるだろう。

 ただ、努力してもどうにもならないときは、前回コラムで紹介したいまだかつてない空室対策ソリューションがお役・・(略

 

 中身に興味がある方にひとつだけ、このツールのキモはMAX関数とMIN関数の使い方だ。
 エクセルは日付の処理が大変というイメージがあるかもしれないが、マクロを使わなくてもこのくらいは実現できるので、自作ツールなどで応用してもらえればと思う。

さいごに

 楽待もすっかり年末モードで静けさが漂う中、このような話題をブッ込んだ理由・・それは、星に名前をつける以外に、私が「たまには役にたつ男」であることを示しておきたかった。

 私のコラムを読むのに、2分くらいの時間を要すると思う。

 その「人生の貴重な2分」とひきかえに、なにかしらプラスになることが提供できるよう、来年もがんばりたい。

 きっと皆さんのお役にたてるテーマを用意しているので、ぜひご期待ください。

 それでは、良いお年を。


<ファイル改訂履歴>

2021/12/28 23時:
 入退去のドロップダウンで、物件が全部出てこない問題を修正
(スペシャルサンクス ロジカルさん)