ゆたちゃんさんが「癖がある入居者さんが退去した部屋に同じ様な入居者さんが再び入ることが多いという都市伝説は実際にあるのだろうか」というコラムを書いていますが、私も同じような経験をしました。
これってあるあるなのでしょうかという話です。
【魔の30〇号室の話】
私の物件の30〇号室がたまたまだろうと思うのですが、かなり癖のスゴい入居者さんが連続しました。(特定されると困るので、30〇号室の最後の数字は伏せておきます。)
実はこの部屋は以前の私のコラム『ブラジル人女性の生活保護の話』で出てきた35歳の生活保護のブラジル人女性が住んでいた部屋です。読んでいただいた方は覚えていたらありがたいのですが、
私をしっかりと見て、
静かに中指を立てて、
「〇ァック!」
と言った
あの彼女です。
彼女はその30〇号室に住んでいました。
(そして一瞬でゴミ部屋になりました笑)
そして彼女は私が物件を取得してから数えて2代目の入居者でした。
【初代の話】
実は初代の30〇号室の入居者も相当にクセの強い人物でした。
上記のブラジル人女性は邪王炎殺黒龍波を放てるレベルでしたが、後に何度も私を悩ませた点で、初代の入居者は天地魔闘の構えを使ってくるダイの剣がささる前のようなヤツでした。
ブラジル人女性が住んでいたのは4年ほど前からですが、初代の入居者は6年ほど前からそのブラジル人女性が住む前まで住んでいました。初代の入居者は当時30代中盤の男性で、自分の名前を冠した株式会社の代表取締役でした。
そして、その会社の売上や実績がなかったからか、保証会社の審査が通りませんでした。
管理会社から保証会社の審査が通らなかった旨をお聞きしたので、私は彼と面接をして入居の是非を決めようと思いました。彼と面接をした私の第一印象は
「あっ!サイコパスだ。」
でした。
彼は吃音気味の話し方で聞き取りにくい話し方をしていて、しかも聞いたことを無視して返答をしてくるタイプで、いわゆる
言葉のキャッチボールができない人でした。
そして、彼は「私は法律に詳しい」とも言っていました。
一応、付け加えますが、彼は何の資格も持っていません。
私は正直、「これは審査落ちしても仕方ないな」と思いましたが、ほぼ全空の物件を購入して埋めることに必死だった私はそれでも入居をオーケーしました。
そして彼の滞納が始まります。
【滞納の話】
滞納家賃の督促に対しての入居者の言い訳は時に「天才かよ!」というほど淀みなく出てくるものだと思いますが、彼は言い訳も話の筋が通らないよく分からない言い訳をしてくる人でした。
また、私の物件の前に住んでいた物件も滞納したうえで退去時精算も同意しないでおり、前に住んでいた物件のオーナーとも金銭で揉めていました。
彼の論理では、自分は退去時清算金は支払わなくてよく、同意することはできないのだそうです。一応ガイドライン等に沿って言っているようなのですがなぜ彼の支払う金額がなくなるのかは全くわかりませんでした。
私は内心、「これはやっちまったかな」と思いましたが、それでもなんとかして彼のことを知ろうとしていろいろと彼のことを調べました。
(読者の方は分かっていると思いますが、私はストーカー気質で調べるときは徹底的に調べるんです)
入居前の与信調査はもちろんしていたのですが、保証会社の審査が通らない入居者は他にもいるけど滞納はないし、会社を自分で立ち上げているからまあなんとかなるだろうと思ってオーケーしていました。
(ブラジル人女性の時も似たようなテキトーな理由でオーケーしたので私に原因があるとも言えます)
【彼を調査する話】
彼の会社は、彼が開発した携帯電話の部品を売る会社でしたが、売れていないようでした。商品の説明も彼から受けたのですが、よく分かりませんでした。彼は「今度東京でこの商品についてプレゼンをする」と言っていましたが、その真偽すらわかりませんでした。
彼はこの商品開発に絡んで補助金を受けており、IT関連のスタートアップ企業として補助の出る公的な事務所を格安で借りていました。
つまり、書類等を形式的に書いたり揃えたりすることは非常に長けている人ということです。当時はIT関連のスタートアップ企業に対して非常に優遇される制度がありましたが、それにより補助金を受けており、公的な補助を受けているため外部に自身の会社の計画、内容、将来の展望・収支などが公表されていました。そこには子供の夢みたいな計画が書かれていました。それを見た私はその実現可能性の低さにがっくりと肩を落としました。
彼のことを検索すると、彼はその自分の会社のホームページを開設していましたが、自分の会社のホームページのほかにも以前勤めていた会社の話を書いた過去の別のブログを発見しました。
そのブログの中身は端的にいうと、
「以前勤めていた会社から退職時にどうやって〇百万円のお金をせしめたか」
という内容のブログでした。
ブログの内容は日記調で、〇月〇日に〇〇をしたといったことが時系列順に書かれており、内容も整然としたものでした。会社から辞める時にどうやったらお金をもらえるのか、どうやったらより多くのお金をもらえるようになるのかということが自分の経験と共に書かれていました。
(特定されるリスクを考えて、あまり具体的なことは書けません。飲みの席とかでもしも会ったら聞いてください)
私は、
「やべー!ほんまもんやないか!
これはやっちまったぞ!」
と思わず関西弁になりました笑
その後も彼は管理会社に連絡せず、電話もしないで直接私の家に来て1時間ぐらい話をして帰ったり、いろいろなよく分からない理由で突然私の家に来るようになりました。家賃は振り込んだり、振り込まなかったりでそれほど滞納額は増えませんでしたが、少なくとも不労収入と呼べるものではなくなりました。
【その後の顛末】
彼はその後約1年後に退去して、やはり退去時の精算時に揉めました。
予想通り、自分が支払う精算金はないので同意しない!の一点張りでした。
「な… 何を言っているのか わからねーと思うがおれも 何をされたのか わからなかった… 頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ… 」というポルナレフ状態になってしまった管理会社と、それを見ていた私は、承太郎にブタでレイズされたときのダービー・ザ・ギャンブラー並の疑心暗鬼になってしまい、コールと言えなくなってしまいました。
コール(勝負!)と言ってやる!コォォー・・・・・。ウヒィーー・・・!
結局コールできなかった私は「もういいや」と思って退去時の精算額を仮決めし、全ての原状回復費用を私が払ってしまうことで次の入居者を決めることを優先しました。
退去後も清算で揉めたままでいると思っている彼は忘れたころに私の家にアポなしで直接来て、訳の分からない長話をして帰るという日々が続きました。
ちなみに私の物件の前に住んでいた物件のオーナーからは調停があったそうなのですが、それを無視する胆力を有する彼は裁判所からの通知をスルーしたそうです。昨年の12月にもその話で彼が管理会社に来店し、問い合わせが私にもありました。
そう、5年前の話が今でも続いているのです(怖)
それらの顛末を以前から見ていたので、私は調停等にはしないで清算金等も全て払ったままで時効になるまで放置することにしました。
【まとめ】
そもそも私はほぼ全空で物件を購入することがほとんどで、空室を据置期間中に埋めないと死んでしまうので入居者さんへの審査がゆるゆるになるという傾向があります。
実際に「それでもいいよー」と管理会社や客付会社や市の福祉課に言っているので私に対するそういう前評判があり、クセの強めの入居者が入居しているということはあります。
それ故に属性もよくない入居者が多く、保証会社も通らない方もいらっしゃいます。夜逃げも調停も何度か経験しましたが、それでもクセのスゴさで1、2を争う入居者はなぜか30〇号室に住んでいました。
私の他の調停では全ての入居者・元入居者が裁判所からの呼び出しに応じて来ていただけました。裁判所からの出頭通知に応じない胆力は尋常ではないと思います。
スタンド使いはお互いにひかれあうのと同じように、ゆたちゃんさんのいう都市伝説はあるのかなと思った話でした。
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