祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらはす

 ごぞんじ平家物語の冒頭部分。暗唱できる人も多いと思う。

 世の中は移ろいやすく、永遠なものなどなにもない。
 どんなに大成功したとしても、それはいつかかならず衰え、そして滅びる、それが真理である。

 読者のみなさんは、「あ~はいはい、こども大家がまた急速拡大志向をディスるつもりだな」とお思いかもしれないが・・

 否(いな)!そうではない、タイトルをよく見てほしい。

 平屋(ひらや)物語・・つまり「二階部分のない一層の木造建築」、そっちの話をしようと思う。

※ 土地神話崩壊のコラムを書くつもりでしたが、読んでおきたいバブル本があらたに増えたため、急きょ番組の内容を変更しておとどけしております。読むのも書くのも遅いマンなので、またしばらく間が開きそうです、ご了承下さい。

◆平屋物語 其ノ一 「めでたきこと」

 私が保有する、賃貸物件のじつに10割が平屋である。

 まあ10割といっても築古戸建て2戸だけなのだが、これは偶然ではない。最初から「平屋がいいな~」と思って物件を探した。
 そのようなわけで、まずは平屋のメリットをアピールしてみたい。

 

 突然ですが、読者の皆さん、階段はお好き?

 私は現在、エレベータなしの賃貸RC3階に居住している。来る日も来る日も、往復60段くらいの階段を上り下りし、ビールやワインから摂取したエネルギーの一部をむなしく浪費する。

 なんといっても平屋の最大のメリットは、階段が存在しないことだ。

 掃除機や洗濯物を2階にもって上がらなくてもいいし、ルンバを2台買う必要もない。安いWiFiルータで十分だし、夜中におしっこで目がさめたときにねぼけて落ちる心配もない。また、平屋は低層でシンプルなので、耐震性も高いと言われる。

 賃貸運営でも見逃せないメリットがある。

 外壁塗装で派手な足場を組む必要がないので、メンテナンス費用をおさえることができる。2階建てにくらべると20~30%、100㎡くらいのMサイズの家なら、20万円ほどコストに差が出るようだ。

 バリアフリーにしやすいというのもメリットかと思う。

 「2階を封印して使わなければいいだけでは?」という意見については、無視する。

◆ 平屋物語 其ノ二 「わろきこと」

 平屋のデメリットは、まず広い土地が必要ということ、それに建築費が割高になる。ただし築古戸建てを買う場合は、ほとんど問題にならないだろう。

 防犯やプライバシー、日当たりや風通しなどには注意が必要だ。

 諸行無常・・形あるものはすべて滅びる運命にあるので、私の平屋ズもいつか朽ち果てて使えなくなってしまう。
 家を解体するとき、ふつうに考えたら2階建てのほうが高くつきそうなもんだが、実際には平屋のほうが解体費が高くなる傾向にある。基礎や屋根の面積が広い、などが理由だそうだ。

 

 ところで私のエリアでは、毎年ゲリラ豪雨で一級河川がたぷたぷになるのが夏の風物詩である。
 自宅のベランダからこの川が見えるのだが、それを見た長男のレンがポニョのテーマソングを歌い出すくらいの迫力がある。

 堤防はたぶん過去100年くらい決壊していないと思うが、もしものことを考えると、平屋は水害に対しては脆弱なはずだ。

 思いのほかデメリット多い・・・

 先ほどの耐震性についても、私が手を出すような物件ではほとんどメリットにならないと思われる。なぜなら旧耐震なので。

◆ 平屋物語 其ノ三 「さりながら」

 賃貸運営という意味では、めでたきこととわろきことはほぼイーブンかもしれないが、それでも階段が存在しないメリットは大きい。いわゆる「家事導線がいい」というやつで、個人的にはファミリー層の長期入居につながるように思う。

 そもそも論を言うと、都会が高層化して縦長くなるのと反対に、地価が安い田舎は平べったくなっていく、私にはそれが自然な流れのようにも思える。

 もしかすると、本格的な平屋ブームがやってくるかもしれない。

 

図1:平成30年住宅・土地統計調査(総務省)より作成

 

 これは既存住宅の平屋・非平屋の割合を表している。

 平屋は・・減少している。
 あら、おかしいな。

 

図2:建築物着工統計(国土交通省)より作成 (条件:木造、住居専用住宅)

 

 こちらは新築住宅の平屋・非平屋の割合である。
 わずかながら平屋ブームを予感させる。

 非平屋はまだ支配的ではあるものの、平屋の人気はゆるやかに上昇している。つまり今後は「需要UP・供給DWON」のみんな大好き最強フォーメーションを形成する可能性があるのではないだろうか。

◆ 平屋物語 其ノ四 「むすび」

 日本はこれから人口も減っていくわけだし、核家族化の流れも変わらないだろう。ファミリー物件であれば、100㎡くらいの家に4人で暮らす。そんな田舎暮らしを私はイメージしている。

 まとめると、「どうせ土地は余っていくんだから、みんなでゆったり段差のない家に住めばいいじゃないか」というお話でした。

 ところで、レンにこの話を向けてみたところ、

「安けりゃどっちでもよくない?」

 とのこと。まあ、そうやな。