楽待実践大家コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。

 

本日は、予告していたコラムを書きたいと思います。3200 字を超えてしまいましたので、お時間のあるときにじっくりとお読みいただけますと幸いです。地主の婿養子大家さんが

 

『令和の戸建投資とは!?300万円の法則とは!?』

 

と題して全 4 回の連載コラムを書かれており、私にとっては非常に大きな学びがありました。どんな学びがあったのかをコラボコラムとして書くことで皆さんと共有したいと思います。なお、象徴的なタイトルとして『300万円の法則』としていますが、私にとって大きな学びとなったのは、この法則そのものではなくて、地主の婿養子大家さんもコラムで述べられているように

 

『買い方の考え方』

 

となります。まずは、地主の婿養子大家さんが最近取得された戸建 10 号を例に同じ物件情報を得ていた私と地主の婿養子大家さんの考え方の違いを整理したいと思います。ここでは、戸建 10 号を例に取り上げていますが、私が私の投資判断として戸建 10 号を買うべきだったかどうかはもちろん別の話になりますし、それは本質ではありません。

 

これまでの考え方

 

皆さんは収益物件の情報を得たら、その物件に投資する価値があるかを、

 

どのように判断していますか?

どのような順番で検討しますか?

 

私は戸建 10 号を業者の DM で知りましたが、私の判断はいわゆる千三つで言うところの三つではない方だと判断しました。繰り返しになりますが、それはそれで私とっては正解なのかもしれません。しかし、心の中では気になる物件として記憶に残っていた(1ヵ月くらい)ので、地主の婿養子大家さんのコラムを読んで、「もしかしたら、あの物件では」と気づいたわけです。

 

私は以下のような流れで検討していました。

 

①現行賃料(表面利回りは約 8%)をベースに手残りの CF を計算する

②融資を使って購入した場合の投資指標を計算する

 

この段階で自身が利用できる金利(2~3%)からのイールドギャップを考えれば、融資を使うと CF はほとんど出ないことが直ぐに分かります。CF を出すためには自己資金を入れる(現金購入も含めて)必要があります。この段階で自己資金を入れても買うべきかを検討するわけですが、その検討内容は

 

③現行賃料から引き直した賃料で目標の利回りに乗るか

④目標の利回りに乗らない場合、目線の金額まで指値できる可能性

 

です。今回のケースでは、

 

「賃料は取れても 10 万円くらい」

「新着物件だし表面利回りは相場だから指値できる可能性は低い」

 

となりました。ここで検討を終了して物件情報はスルーしてしまいました。

 

これまでの考え方の問題点

 

3 点あります。まず、1 つ目の問題点は、せっかく検討した引き直し賃料も指値の可能性も私の中のイメージでしかなく、根拠が薄いということです。一方、地主の婿養子大家さんの場合は、

 

「退去すれば12~13万円で貸せる」

「業者が売主であり買取再販業者が考える利幅から最低でも 10% は指値可能なはず」

 

という判断になっていますが、賃料は査定に基づく賃料ですし、指値の根拠は『300万円の法則』の適用ですが、それだけでなく業者の背景も踏まえて検討されています。地主の婿養子大家さんは痛恨のミスとも仰ってもいますが、

 

「売主業者が渋い業者である事」

「都内では10億規模の物件を購入したりしている業者」

 

という情報も踏まえて(戸建くらいはキャッシュで購入しているだろう)判断されていました。その結果、ギリギリ買えるであろう指値の幅は 10% だと推測されています。

 

次に 2 点目ですが、地主の婿養子大家さんの言葉を借りると、

 

「利益をグロスで捉える」

 

ということです。私は目先の利回りでしか検討できていませんでした。例えば、売却することが前提の投資としてみた場合、目線の価格で購入できたとして一体いくらの含み益があるのか全く検討していませんでした。それを把握するには、

 

「周辺土地の成約事例(更地・古家付き)における坪単価・平米単価」

「周辺新築戸建の販売事例における坪単価・平米単価」

 

が必要です。実は今回の販売図面には、これらの情報も書かれていました。自分で調べなくても検討することはできたのです。それができていませんでした。もちろん、情報が誤っていないかの確認は必要ですが。

 

最後、3 点目ですが、問い合わせない限りは分からなかったことなので、事前の検討対象にできないことではあるのですが、仮にその情報があったとしても、恐らく私はリスク要因としてしか考えなかったと思いますので、問題点としておきます。

 

それは入居者に関する情報です。この物件はリースバック案件でした。入居者の売却理由は借金返済であることは簡単に想像できますが、さらに地主の婿養子大家さんは、退去する前提での販売計画も立てられていたはずだから、室内写真はあると予想し、購入前に修繕リスクの検討が可能だと判断されたり、借金の理由から今後家賃が払えなくなる可能性やその期間まで含めたリスクとその対処法について検討されています。もちろん、推測したことが正しいとは限りませんが、今はそのことは問題ではないと思います。

 

要するに、目に留まった物件一つ一つに対して、地主の婿養子大家さんのような深い検討ができているかどうかが問題です。残念ながら、私はそれが全然できていませんでした。

 

初心者を揶揄する言葉として、利回り星人という言葉がありますが、私の検討はまさに利回り星人がするような CF の検討でした。

 

これからの考え方

 

ポイントは 2 つあると考えています。1 つはシミュレーションの順番を最初ではなく最後にすることです。慣れとは怖いもので、シミュレーションは頭の中できますが、この頭の中のシミュレーションは目に入ってくる情報(販売図面)に依存して計算することがほとんどです。あれこれと変数を変えて考えるには向かず、深い検討ができません。

 

2 つ目は、「利益をグロスで把握する」を目標にそれに必要な材料を可能限りに集めて検討することです。具体的には成約事例に基づく、賃料や土地の価格を把握することはもちろん、売主の背景や業者の心理まで含めて検討材料にします。利益が把握できたら、最後に収益シミュレーションと投資指標の計算します。

 

もちろん、経験の差が精度の差に出るでしょうし、上手く行くとも限りませんが、

 

これまでの表面的な CF の検討からは卒業して、もっと真剣に物件と向き合って行きたいと思います。

 

私は神奈川県と千葉県を中心に検討していますが、

 

エリアを広く深く検討するのは難しいので、1 つにエリアを絞って実践して行きたいと思います。

 

(おまけ)仮に戸建 10 号が買うべき物件だったとして買えたか

 

これは本質ではないので、書かない方が良い気もしましたが、やはり気になるので書きます。私が戸建 10 号の販売図面を見たのは 4/22 のことでした。業者 DM が情報源でした。

 

地主の婿養子大家さんのコラムによると、

 

「間取り表記をミスっていて1LDK表記になっていた」

 

とのことですが、私が見た販売図面では正しい表記になっていました。

 

レインズの登録情報が誤っていたのは間違いないとして、

 

「当初の登録情報は誤っていたが、ダウンロードできる販売図面は正しかった」

「登録情報も販売図面も誤っており、後日、正しい情報に更新された」

 

の可能性があります。後者なら、私が情報を入手した段階では既に遅いということになります。

 

仮に私が買うべき物件と判断して問い合わせする場合ですが、私は DM の業者に問い合わせることになります。売主業者に直接問い合わせた場合、あとでトラブルになることがあるからです。一度、それで失敗したことがあります。これはこれで無視できないことですが、レインズが見れなくても元付の売物件の情報は入手可能なので本質ではありません。きっと。まあ、結論としては、戸建 10 号は買えなかった物件でしょう。

 

次回はガラッと変わってデータセンター投資についての警鐘コラムをお届けします。