みなさま、本年もよろしくおねがいします。

 さて、新年といえば「抱負」である。

 「2023年はこれをやります!」と宣言して自分を鼓舞するのは、晴れやかでいかにも正月にふさわしい。

 しかし世の中それが出来る人ばかりかというと、そうでもなくて、実を言うと、私自身もあまりこういうの得意ではない。

 人が立派に「新年の抱負」を打ち出すさまを見ながら、うらやましいやら、なさけないやら、ついでにカジュアルな疎外感やら。

◆ じっとしていたくはない

 専業大家になる!家賃年収1億!などの大きな目標は、遠くからでもよく見えるランドマークだ。その道筋をはっきりさせるために「今年まず一棟買う」のようにスケールダウンして、解像度を上げていく。その意味で、1年という時間は実にちょうどいい。

 さらに、宣言による深層心理への影響もみのがせない。自分自身に暗示をかける効果が、実現を後押しする。

 そうした理屈はもっともなのだが、一方でこんな反論もありそうだ。

・急に言われても思い浮かばない
・自分を縛ることで判断が硬直化しそう
・むりくり設定するのも違う気がする
・なんとなく、こっ恥ずかしい

 だいたいこんな感じではないか。
 案外、共感してもらえる気がしている。

 

 とはいえ目指す自分があるのなら、じっとしているわけにはいかない。それはそれで罪悪感を感じるし、あまりに長くひとところに留まっていると、人間はどんどん自信を失ってしまう。
 こんなときは、どうでもいいからさっさと動き出したほうがいいのだ。

 そんなこた分かっとる
 言うはやすし、行うはきよし

 というわけで、ビタっとくる抱負は思い浮かばないけれど、動きだしたくてモジモジしているあなたに、私がよく使う手口をご紹介したい。

 一言でいうと、それは「ちいさな習慣を手にいれること」である。

◆ 因果関係をひもとく

 不動産投資をはじめたきっかけを聞くと、けっこうな確率で「金持ち父さん 貧乏父さん」が話題にのぼる。たしかにあれはすごい本だ。

 でもここでは、因果関係をもっと深く掘り下げて、その前段にある「習慣」に着目したい。

 その人はなぜ金持ち父さんを読んだのか。まさかその一冊だけ読んだわけじゃあるまい。その人はおそらく、習慣的に読書をしていただろうと推測できる。

 では、なぜ読書習慣が身についていたのか。もしかすると、なにかのきっかけで「通勤時間を有効利用しよう!」と思い立ったのかもしれない。

 その人の人生が一冊の本で変わったのは事実だが、でも「本当の原因」はロバキヨではなく、「読書というちいさな習慣」だったのではないか。

 私自身も、友人に「本でも読めば?」と言われたことがきっかけで、往復通勤3時間の至福のうたた寝タイムを返上し、読書習慣を手にいれた。思い返すと、そのおかげで私の人生はだいぶ変わったが、それは結果論かもしれない。

 目標にたどりつくために読書をはじめたわけではなく、「習慣をつづけていたら、結果として目標に出会った」というところがポイントだ。

◆ 習慣の先になにがあるか

 ちいさな習慣は、必ずしも目的地に向かってまっすぐ伸びる道でなくてもいい。いやむしろ、そうじゃないほうがいいかもしれない。

 「野球部員のほとんど全員」が野球とまったく関係ない職業につく。これは事実だ。
 しかし、野球に打ち込んだ経験がムダだったと断じる人は少数派だろう。プロ野球選手にならなかったとしても、その経験はかならず役に立つのだ。

 オトナの世界も同じで、基本的にどんな経験もムダにはならない
 それなりに取り組めば、必ずなんかしら役に立つし、それは思いがけず特別な武器になったりする

 その先になにがあるか、考える必要はない。どうせ私たちは、それを予測できるほどの能力を持ち合わせていない。

 でも、自分自身はまちがいなく変化するし、確実に違う風景を見ることになる。

◆ こども大家の新習慣

 いつにもましてだいぶん漠然とした内容になったので、参考までに私が過去試した習慣をご紹介しよう。

・月に2回、図書館に通う
・つま先立ちで赤子をあやす
・早起きして勉強する
・元気にあいさつする
・すこしくらい高くても地域の店で買う
・運転中にひたすら哲学のYouTubeを流す
・テレビをすてる

 

 ところで、今年も少しだけなにかを変えたいなーと思っていたところ、新年早々ちょうどいいきっかけがあった。

 ロジカルシンキングが得意な某大家さんと話をしていたときのこと。彼はなにかを教えてくれようとしているらしいが、私にはほとんど意味が分からなかった。「-20log3」とか書いてある・・ログ?

 なにより信じがたいのは、私はどうやらそれを既に教わっているとのこと。高校を卒業したということは、そういうことになるらしい。
 というわけで、私が今年とりくむ習慣は、これだ!

 「高校数学を毎日15分勉強する」

 これを続けて何になるのか?
 いったいなにを目指すのか?

 そんなことはどうでもいい。ルーレットみたいに目玉がシャカシャカ動いてチーン!と利回りをはじき出せるようになるかもしれないし、ならないかもしれない。

 ただ15分という「ちょっとの生け贄」を差し出し、ちいさな習慣を手に入れる。そして、今とは違う自分になることを目指す。

 そうして新習慣で自分がバージョンアップすると、「欲」が出てくる。あれもできる、これもできる。

 その欲望の発露として、「新年の抱負」は自然と浮かび上がってくるのである。

 

 あ、ところで「log」で思い出したが、コンピュータ業界では「記録」のことをlog(ログ)と言う。

 新しいことを習慣化するにあたって、記録を取るのはとてもいい方法だ。とくに不動産投資家はコレクター気質がわりと強いと思われるので、記録が積み上がっていくことに喜びを感じられる人が多いだろう。

 勉強時間、体重、読書リストなどをスマホアプリなどで記録するのがおすすめだ。だまされたと思って、試してみてほしい。