おはようございます!地主の婿養子大家です!

 

 デッドクロス対策

       と

マイクロ法人

 

本シリーズの肝になる木造アパートですが、実際に現在進行形で購入に向けて頑張っております。シリーズの中でmelmさんからご指摘が入ったのですが、

減価償却目的の木造アパート購入

築20年程度

で進めるにあたり、取得後の減価償却期間はおおむね

4年間のみ

と考えると、これは単に

納税の繰延べ

にしかならない!

という懸念点が挙げられる事が前提になってくると思います。

それを前提に私が

どのような状況下で

どのような築年数で

どのような建物比率を取り

どのように減価償却し

その結果

購入物件が該当法人の決算に

どのような影響を与え

どのような未来を迎え

どのように出口をおさえるのか!?

そのあたりのシミュレーションを今回行ってシリーズの締めとしたいと考えております。

投資初期やこのあたりを漠然と捉えているだけで、毎年のように木造物件を購入している結果、必然的に、

今は考える必要が無い人

も多いのではないかと思いますが、

出口の押さえ方

については今からきちんと考えておいて損はないと思います。

知り合いの大家で、

実際に4年の償却期間が切れた後に、その物件を売却し、運良く市場に助けられて高値売却に成功したものの、改めてその年の経常利益計算をしたことでその課税対象となる譲渡所得を計算してドン引きしていた人がいましたので。。。汗

シリーズ構成は、

【1日目】

1.物件スペック紹介

2.購入1年目決算内容紹介

3.購入2年目決算内容紹介

【2日目】

4.2期・3期の経費比較

5.購入3年目決算見通し

6.3年目出来る対策(案)

【3日目】

7.見通しに対して目標値を設定

8.木造アパート購入シミュ

9.売買価格建物・土地按分

【4日目】

10.デッドクロス懸念シミュ

11.完全マイクロ法人

以上です。

 

ではシリーズ最終日、宜しくお願いいたします。m(__)m

10.デッドクロス懸念シミュ

デッドクロスについて過去にコラムを書いていましたが、そこでは以下のように書いていたので、知らない方の為に貼り付けます。

デッドクロスとは、

簡単に言えば、

元金返済額>減価償却額

になる時期の事を言います。

イメージが湧かない人がもしもいたら、

編集部の記事

デッドクロスに気をつけろ、ワナにはまらないための基礎知識

という実践大家コラムニストでもあるテリー隊長の連載記事をお読みください。

※編集部記事より添付

デッドクロス対策には、

減価償却期間を借金返済期間と合わせる

などで対応したりしますよね。

また、記事でも詳しく言及されていますが、買い方がしっかりとCFの出る無理のない買い方であれば、デッドクロスを迎えようが、

厳密に言えば、

納税額が増える可能性が上がるだけ

で、問題の根本であるわけではないと私は捉えてはいます。

 

先日、コラムニストのふくふどうさんもさんも『デッドクロスは無視で良い理由と、買った瞬間デッドクロス例』というコラムで似たような見解を書かれていました。

 

しかし!

私の私見では、

極力納税額を抑えるという観点で、

借金の返済期間が減価償却期間よりも長い場合に

必ず迎えるデッドクロス

については購入時にしっかり理解をして事前にどう立ち回るのかを決め手おくべきだと思っています。

それがこの章のタイトルのデッドクロス懸念シミュになります。

本件のように、木造耐用年数越え物件を借入で購入する場合には特に、

 物件単体

       と

全体の簿価バランス

の観点から、デッドクロス前後についてシミュしておきましょう♪

 

<デッドクロス懸念シミュ>

前回のコラムでは単純例として築20年木造5,000万円、利回り10%にしましたが、現在ちょうど案件進行中なのでその事例でシミュしてみます。

前提として、

当該法人において次期決算は何も購入しないで経費対策した場合には経常利益600万円程度に落ち着いてしまう計算でした。

 

<物件スペック>

■エリア:横浜市

■駅徒歩:10分程度

■希望購入額:約9,000万円

■築年数:約20年

■構 造:木造アパート

■想定利回:約10%

■土地:4000万円

■建物:5000万円

建物比率がそこそこ高めに設定されています。

土地:建物=4:6

に近いです。

この算出の根拠は、土地を固定資産税評価額に色付けして算出し、残りを建物にした形

売却時のこの按分に関して売主に直接関係があるのはあくまでも

消費税売上

です。

ただ、契約間際までその金額をきちんと打ち出している売主というのはプロの業者くらい

実務では交渉後に仲介が重説、契約書(案)を作成に入って初めて売主に按分について質問が出るくらいなケースが大半じゃないでしょうか。

従って、

物件購入の際、指値交渉をしますが、売主の売却希望額がもともとあり、その希望額の中にも本来は建物にかかるのが消費税額。

元々の希望額で売れたとして固定資産税按分したらどうせ払うのだった

くらいの認識をもってもらえれば上記くらいならば許容値。

知り合いの大家さんは、

建物:土地=8:2

少々極端な交渉をその消費税負担増額部分をこちらで負担する形で買い上げしてまで交渉した人もいます。前回のコラムで触れましたが、この方は出口で上手くバルク売りをして、減価償却満了後の低い簿価による譲渡税を別の物件の売却を絡める事で実質ゼロにしていました。汗

 

一旦、

纏まってしまってから交渉すると、売主も損した気分になるので私は買付証明書の条件に記載しました。交渉全体の流れは購入が出来たら事例コラムでご紹介したいと思うので一緒に願っておいてください。m(__)m

 

仮にこの物件を5年で減価償却すると年間1,000万円が経費計上されるので売上から逆算しても100万円の赤字計上となります。実際は運営コストなどもあり、実質利回りでいけば400万円~500万円の赤字計上になるでしょうか。

 

初年度には約150万円の免許税、取得税コストがあったと思うので

1年目:▲550~▲600万円

2~5年目:▲400~▲500万円

となるので前回のコラムまでに記した当該法人の3期目の経常利益は100~200万円程度に抑える事が可能ですので目標は達成します。

 

しかし、

一目瞭然に6年目以降は減価償却費がゼロとなるデッドクロスを迎えるので単体で見るとこの年から経常利益は大幅にアップしてしまい約600万円の黒字が付加される事になり、3期目予測の600万円とあわせると1,200万円の黒字となる事になります。

勿論、

5年間のCFには一切手を付けないつもりなので手元にはもともと減価償却費の繰延べ効果であるCFがあるのでこれがそのまま問題になるわけではないですが、

法人税を圧縮する為に物件購入をしたのに、

結局は6年目からその対策を強いられる

わけですね。。。苦笑

しかし!

5年もの間、シリーズで紹介した売上4,800万円+今回の購入物件の900万円の法人が税金に悩まされずにCFを積み増し出来る事は決して意味がないわけではないと思って挑んでおります。。。汗

 

ちなみに、

減価償却期間満了後の簿価と残債を把握しておくべき

だと思っていますが、

本件では、

減価償却費:1,000万円

に対して

元金返済額:450万円

差額は550万円×5年間=2,750万円

簡単に言えば、この時点でこの物件を売却したとすると、譲渡益が2,750万円出やすくなる状態ですね。

これを薄める為に要する期間は、

2750万円÷450万円=6.1年

約6年でこのデッドクロスによる売却時の譲渡税圧力に対する懸念期間は満了します。この時点で購入から11年経過。私の計画では十分売却可能な築年数だと思っています。(あくまでも通常の一般売却)

勿論、この他に積み上げるCFがあるので単体で見ればデッドクロスと譲渡税の関係は期間の繰延べ的な関係かと思っていますが。。。

 

しかし、

次に懸念されるのは、6年目からは1棟目の3期目に予測された600万円程度の黒字とそれに加えて2棟目の利益もダブルパンチになってくるのでは?という点。

はい。そうなります。汗

しかし、それは5年後の話。

その時にはこの法人には相当額のCFも積み上がります。ここではどんぶりで大変恐縮ですが、

年間

1棟目+2棟目=1500万円程度

は最低でも積みあがるとすると5年で7500万円。

 

その頃に新たに追加購入すればまた同様の延命効果も出てきます。

また、どこかのタイミングで私は売却しますが、その時には極力薄める形で売却するでしょうし。この辺りは将来実践した時にまだコラムニストやっていればコラムにしますのでそれまで応援して下さい。苦笑

11.完全マイクロ法人

上記のスキームの出口の選択肢の一つに、内内で売却する事で薄める手法を取る事が考えられます。

その場合に複数法人を運営していると選択肢が広がります。

いわゆる、

不動産保有用の完全マイクロ法人

とでもいいましょうか。

 

例えば、

減価償却切れの物件を簿価付近で別法人に移し替える手法もその一つでしょう。※この売価についての塩梅は税理士に相談の上が必須ですが。

 

また、私は現在3法人のみの運営ですが、人によっては課税所得800万円の壁を超えない程度に複数法人に分散させる事を選択する人も多いと思います。(昔流行った1法人1物件スキームのまともバージョンw)

 

しかし、2社目以降の法人には、社保の関係から役員所得を取りづらい部分と役員や社員とする家族の身内の人数やタイミングにも限界がある点は注意すべきで、

単純に言えば、

1社目の法人より2社目以降の節税難易度は上がる点

には注意が必要な気がしています。

 

以上、4日間にかけてシリーズにしてみましたが、読者の皆さんの今必要な知識や内容とはならない部分も多かったり、私の単なる実践例でしかない部分があり必ずしも正解でもないのかも知れません。

 

そんな中でもこうやってお読みいただきコメントを下さる方がいて、またこうやって自身の書くモチベーションに繋がっています。

 

気が付くと、もうすぐ節目の800コラム。

 

いつもお付き合いいただき本当にありがとうございました。m(__)m