北国の大家です。

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 <第61回 さっぽろ菊祭り>

札幌も10月末から菊花展、開催中です!

 

今回のテーマはこちらです。

消費税のインボイス制度

先月から登録申請が始まっています!

不動産投資家(大家業)の方は影響が少ないので、スルーしている方も多いと思います。

しかし周囲の事業者(管理会社、リフォーム会社など)は何らかの対応をするので、影響が少ない不動産投資家の私達ですが、このインボイス制度について少しは知っておきたい!というのが今回のコラムの趣旨です。

原稿料を貰っている方は対象になる制度ですよね!?(汗)。

私達は課税法人、免税法人、個人事業主(免税)の3つ事業体で不動産投資をしています。課税法人を持っているのと、進行期に物件を売却したこともあり、一般の不動産投資家の方よりは、少しに気になる問題です。

<今回のアジェンダ>

課税事業者・免税事業者

消費税のしくみ

インボイス制度とは

経過措置

大家はどうするの?(私案)

私達の場合

インボイスについて、先輩大家の方などの協力も得ながら、みなさまと理解を深めていければと思います。

課税事業者・免税事業者

まずは課税事業者と免税事業者について確認します。

消費税は消費者的には便利(面倒ではない)に作られています。

本体価格1,000円の物を買う時に、消費税100円を上乗せして、1,100円支払えばそれで終わりです。

しかし事業者の方は非常に面倒な制度です。

そんな理由もあってか(理由は別にして汗)、事業者は、開業時・法人設立時は2年間、消費税の納税義務が免除されます。 消費税は全ての事業者が支払う税金ではないのです。納税義務がない方もいるという意味です。

この受け取っても納税しない税金を益税(えきぜい)と言ったりもします。

※実際の社会を脇に置くと、消費税法では免税事業者は消費税の受け取りを予定していません。但し独禁法の兼ね合い(消費税分の減額要求が優越的地位の乱用の可能性があるなど)や契約自由の原則もあり、国は口を出さない形になっています。本来、免税事業者は、当たり前に消費税を貰える訳ではないってことです。実際は貰ってる人がほとんどですけどね(汗)。この辺に切り込むのが今回のインボイス制度です。

消費税の納税義務があるのは「課税売上高」が1,000万円を超えた場合です。

しかしながら、世の個人事業主は課税売上1千万円以下の方が圧倒的に多く、フリーランスや、ひとり親方(下請)の多くが免税事業者です。

不動産投資家はというと、家賃は非課税(消費税法)なので、課税売上が1,000万円以下の人が圧倒的に多いと思います。

誤解があるといけないので補足します。

家賃は非課税ですから家賃年収が数千万円の方でも、課税売上が1,000万円以下という人も多いはずです。

私達も家賃収入は4,000万円程度ですが、課税売上は1,000万円以下です。

課税売上が1,000万円超の不動産投資家を考えると・・

・不動産会社・清掃会社など、実業系の法人で物件を持っている場合

・消費税還付スキームなどで、無理に課税売上を上げる資産管理法人

・古物商の許可を取って売買している資産管理法人(突っ込み無用に願います汗)

・店舗・テナントビルなどの、一般のレジ以外を持っている個人・法人

などの場合かなと思います(他にもあるかもしれません)。

こんな理由で、読者の方も免税事業者の方が多いはずです。

消費税のしくみ

ここでは仕入税額控除だけを説明します。

まずは消費税の計算をおさらいします。

■消費税の計算

 売上税額(もらった消費税)― 仕入税額(払った消費税)= 納税額

→ 下線が仕入税額控除

例えば私達の課税法人(不動産投資家)が駐車場代を貰う場合を考えます。

(家賃は非課税ですが、駐車場代や看板広告代などは課税対象です)

入居者(駐車場代)→ 投資家(駐車場代を貰った)

年間100万円(本体価格)+10万円(消費税) = 110万円(合計)

※もらった消費税

投資家の支出 → 事業者(仕入や経費:事業の為に買い物をした)

60万円(本体価格)+6万円(消費税) = 66万円(合計)

※払った消費税

投資家 → 税務署(消費税の納税)

10万円(消費税)―6万円(消費税) = 4万円

※納める消費税

※便宜的に課税売上割合100%としています。

※簡易課税は複雑になるので省略します。

インボイス制度とは

正式には、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)と言います。

インボイス制度では、仕入税額控除のためには「適格請求書(いわゆるインボイス)」等の保存が必要になります。

簡単に言うと今までの請求書との違いは二つです。

・右上の「T1234・・」登録番号が必要

→ 登録は課税事業者のみで、2021年10月~2023年3月までに登録すると、2023年10月の制度開始から本番号が使用できます。

※結構時間がないですよね(汗)。

・税率毎に税額を記載

この「適格請求書(いわゆるインボイス)」がないと仕入税額控除ができなくなります。

上の例ではこうなります。

③投資家 → 税務署(消費税の納税)

10万円(消費税)―6万円(消費税) = 10万円

※納める消費税

これではインボイスに登録してない事業者から購入すると、仕入税額控除ができず、多くの消費税を納める事になります。

すると・・・、インボイス制度に未登録事業者からの買い物や、未登録店での飲食は、仕入れ税額控除できなくなり、消費税の納税額が増えるのです。

未登録業者とは付き合いたくねーとなりますよね(汗)!?

経過措置

この制度には経過措置があります。

上記を踏まえて、巷ではこんな感じの対応になるのでは!?と言われています。

・未登録業者には、消費税分を全額値引きしてもらう

 → 以前の高圧的な値引きの要求と違い、貴方は消費税を納税しないから、払う必要がないよねって理由が成立しやすい。

・未登録業者には、消費税分の20%を値引きしてもらう

 → この制度は経過措置があります。未登録業者からの仕入れでも制度開始から3年間は80%を仕入税額控除できます。さらにその後3年間は50%の仕入れ税額控除ができます。

・個人事業主(ひとり親方、フリーランス)、未登録業者とは取引しない

 → 説明・値引・交渉などが面倒、取引先ごとにインボイス登録・未登録を管理するのが煩雑など

現段階で相当混乱が起きているようです(汗)

混乱の種類も色々です。

まずは名前が紛らわしい(汗)。

人により何を言っているかが違います。

制 度 名今回の制度である、適格請求書制度の事をインボイス制度と言う

適格請求書今回の制度で使用する適格請求書の事をインボイスと言う

英   語INVOICEは英語で請求書のこと

ここは単語の指す意味の事ですが、実務的にも複雑すぎて対応が難しいと悲鳴も上がっているようです。

実際に幾つかの団体が提案をしているようです。

日本商工会議所

「令和5年度税制改正に関する意見」

・免税事業者への支払いでも「払った消費税」に100%入れてOK

・3万円未満は帳簿保存のみ(インボイスなしでOK)

・制度導入時期の延期

日本税理士連合会

「未確定だが下記の提案を検討しているという」

・経過措置の80%を当面維持

・3万円未満は帳簿保存のみ(インボイスなしでOK)

そんな意見言っても変わらないんでしょ!?というご意見もあると思いますが、昨年は改正電子帳簿保存法が2年間延期(猶予)となりました。

少し様子を見たい気もしますが、皆さんはどう思いますか?

大家はどうするの?(私案)

・入居者が個人の場合

→ 免税事業者のままで未登録(インボイスしない)でも影響が少ない。但し、個人事業主の入居者が駐車場代を支払っている場合などは、値引交渉が入る可能性がある。

・入居者が法人の場合(レジ・店舗を含む)

 → 少数なら個別対処もありの気がしますが、数が多いと慎重に検討が必要かもしれません。

・課税法人の場合

 → どのみち消費税を納税するので、インボイスしないと損。取引先との問題を増やすだけで良い事なし。

私達の場合

法人A(課税) → インボイスする

法人B(免税) → インボイスしない(※1)

個人(免税)  → インボイスしない(※2)

 

※1 数年後、法人が保有する物件を免税で売却する。その後法人を解散する。

※2 問題は駐車場と看板広告のみ。少しでも節税するために、個人(免税)の物件を法人A(課税)で」サブリースして、法人A(課税)の課税売上を上げる工夫をするかといった所です。

 

以上、インボイス関連の問題提起になれば幸いです。

登録期限まであと5ヶ月です。

皆さんの考えをコメント欄で聞かせて頂ければと思います!

 

今回のコラムは如何だったでしょうか?

私達夫婦はコラムを通じて初心者の方に、不動産投資に取り組む際の「情報」と「勇気」を届ける事をテーマとしています。

我々の実践行動が、少しでも皆様のお役に立つ事を願っています。

―以上です―