内本です。千葉(松戸)で100室以上を自主管理する専業大家です。

 

先日のコラムで新しい試みとして少額短期保険火災保険)の代理店になる話を書きました。

ニーズがあるようで、詳細を紹介いたします。

他にも新しい事を始める予定で、現在進行形で検討中です。

 

本日の構成

1.少額短期保険募集人とは?

2.少額短期保険(火災保険)の代理店に!?

3.火災保険の代理店になるメリット

4.火災保険の代理店になるには

 

以上で書いていきます。

 

1.少額短期保険募集人とは?

自主管理の場合、入居者の火災保険は?

私は4年前(2018年12月)から所有物件8棟132室(現在は5棟107室)を自主管理しています。

管理委託から自主管理に移行する際、132室の家賃収納と24時間コールセンターをどうするかが課題でした。結果的に下記で対応しました。

家賃収納は保証会社の代理店になり、口座振替にて収納

24時間コールセンター大手のコールセンターと直接契約

が、入居者の火災保険は自分で取り扱わず、準管理会社(不動産会社)に手続きをお願いしていました。

火災保険を扱える資格とは?

あまり知られていませんが、賃貸物件入居者の火災保険は、少額短期保険募集人資格を取れば自分が代理店となって募集できます。

少額短期保険とは?

少額短期保険とは、保険業法上の保険業のうち一定事業規模の範囲内において少額・短期の保険の引受けを行う事業のことです。

その事業者を少額短期保険業者といいます。

少額短期保険は取り扱える保険の範囲が限られ、保険金額や保険期間も上限があります。

保険金額の上限
医療保険(入院給付金など):80万円
病気による死亡:300万円
傷害の死亡:600万円
損害保険:1千万円

保険期間
生命保険・医療保険:1年
損害保険:2年

賃貸仲介を行う不動産会社の多くは少額短期保険の代理店として、火災保険を取り扱っています。

入居者が契約する火災保険のほとんどはこの少額短期保険です。

 

2.少額短期保険(火災保険)の代理店に!?

専業大家さんの質問から・・

12月頭に勉強会を実施して、専業大家さんの質問に回答したのがきっかけです。

質問「入居者の火災保険について個人の大家宅建免許無し)が扱うことができる火災保険の会社はありますか。

客付けは仲介会社に依頼しています。仲介会社は火災保険の代理店になっており、火災保険の契約作業を行います。
更新時は賃貸契約を自分で行うので、火災保険だけを仲介会社にお願いできない場合があります。

個人大家が扱える保険会社を教えていただけますでしょうか。」

 

回答「私も自主管理を始める時に同じようなことを考えました。知人大家さんのブログで見ましたが、資格をとって保険代理店になる方法があるようです。その知人は元々損害保険の仕事をされていたのかは不明です。少額短期保険A社に直接聞いてみてください。結果を共有頂けると幸いです」

過去に人づてに聞いてあきらめていました

過去に人づてで少額短期保険の会社に聞いてもらったことがあります。物件を管理する管理会社はOKでしたが、個人の大家は代理店NGでした。

例えば自社管理物件が100戸あるとします。全部が自社の物件だと、
代理店手数料分だけ単なる保険料の割引になり、保険代理店にはなれないとのことでした。

自社物件と他社(第三者)物件が半々など、一定割合以下なら代理店になれるそうです。そのあたりが面倒そうで、自分で代理店になるのはあきらめた次第です。

保険会社によりけりですが、今回自分でA社に聞いたところ、自社物件だけでも代理店契約可能でした。そこで、これを機に火災保険の代理店になることにしました。

4年前から「入居者様の火災保険を大家が契約するにはどうすば・・・」という疑問を解決できてスッキリしました。

 

3.火災保険代理店になるメリット

入居者の火災保険を自社で契約できる

客付けを仲介会社に依頼した場合、入居者の保証会社や火災保険加入は不動産会社がやってくれます。

が、ジモティーなどで入居者を見つけて契約する個人大家の場合、火災保険自分で手配する必要があります。(できない時は入居者様に県民共済を契約してもらったり・・)

少額短期保険の代理店になれば、火災保険も自分で契約することができます。

代理店手数料が入る

一般的に少額短期保険の代理店手数料高め(2割から4割)のようです。(私が契約する所は3割位です)

自分で入居者を見つければ仲介手数料や広告費を節約でき、更に代理店手数料も入ります。

入居者の火災保険の補償を十分に活用できる

内容によりますが、原状回復工事も火災保険を使って直せる場合があります。

例えば、破損・汚損の補償がある火災保険に入っていれば、入居者が誤って破損させた箇所などを火災保険で直せます。

入居者の過失でも負担額が多いと退去時に修繕費でもめて回収できないことがあります。が、入居者の過失によるリスクを保険会社へ移転できるので安心です。

入居者の負担が少なくなるような補償内容の保険に入ってもらえば、結果として大家のリスクを下げられます。

自分自身で保険を選定し、事故報告も自分自身で行うことで、保険を活用できます。

ちなみに、自主管理している4年間で少額短期保険の会社に請求したのは、入居者様がガラスを割ってしまった1件のみです。

全物件の保険料は月7万円弱、年間80万円弱です。4年だと300万円強となり大きなお金が動いています。

ガラス割れ1件以外の細かい事故は全て大家側の火災保険の方で請求しました。入居者様の保険で請求可能な事例もあったように思います(上記以外のガラス割れ2件を大家の火災保険で請求していました)

4.火災保険の代理店になるには?

試験に合格して資格取得

少額短期保険は誰でも取り扱えるわけではなく、「少額短期保険募集人」という資格の取得少額短期保険会社との契約、財務局へ登録申請といった手続きが必要です。

まず、保険の代理店になる場合、法人でも個人でも問題ないようです。

代理店になるには、少額短期保険募集人試験合格する必要があります。CBTテストセンターで受検しますが、テキストなどは保険会社が提供してくれます。

それを、丸一日読み込めば受かるレべルの試験です。

募集人試験の6~7割が3章のコンプライアンスから出題されるので、私は3章を重点的に勉強しました。

実際に私は金曜に試験を申込み、週末土日のうち半日づつ勉強し、月曜の試験で88点で合格しました(100点満点で70点以上が合格)

代理店のノルマは?

ちなみに私が申し込んだ会社では2年契約の火災保険で一番安いものが1.3万円程度でした(毎月払いもある)。

また、ノルマはないのですが、年間50万円を売り上げの目標としてくださいとの事でした。ただ、それが達成されなくても、ペナルティはないようでした。

目安としては保有物件が20戸以上が望ましいとの事でした。

少額短期保険の代理店になるには

 

少額短期保険の代理店になる具体的な手順は以下のようになります。

1.どの保険会社に申し込むか決める

まず最初に、どの少額短期保険会社の代理店になるかを決めます。

具体的には、保険商品を探し、各保険会社のホームページで商品の詳細を確認し、自分の扱いたい商品を決めます。

最初の申込は1社限定ですが、後から他社の商品も追加で取り扱うことができます。

2.少額短期保険会社へ連絡

取り扱いたい商品のある少額短期保険会社へ、代理店になりたいと連絡します。

少額短期保険会社のホームページには、代理店募集というページがあり、そこから問合せをします。

会社によって対応は異なりますが、営業担当から電話があり、「定款変更」、「試験」等の今後の具体的な方法を教えてくれます。

3.法人の定款の目的変更

法人の場合は、定款の事業目的に「損害保険代理業」または「少額短期保険の代理業」が記載されている必要があります。

もし定款に記載されていない場合は、定款の目的変更の手続きを行います。

私の場合は、今後追加で損害保険を扱うかもしれないので定款の目的に「少額短期保険代理業及び損害保険代理業」という記載を追加しました。

 

定款の目的変更登録免許税が3万円の印紙が必要です。が、申請手続きは自分で簡単にできます。私の場合は「会社設立ひとりでできるもん」を利用して申請書類を作成しました。

法務局への申請から登記完了まで1週間以上など、手続きに時間がかかりますので、ご注意ください。

4.少額短期保険募集人の試験受験

申し込んだ少額短期保険会社によって異なりますが、私の申し込んだ会社は、テキストと問題集を各自で勉強するスタイルでした。集合研修の会社もあるようです。

少額短期保険募集人研修機構のサイトから少額短期保険募集人の試験を申込みします。受験料は4220円でした。

試験勉強には以下のテキストと問題集をやります。
少額短期保険募集人教育テキスト
・少額短期保険募集人試験 受験対策問題集

私の場合は、近くの試験会場で最短の日程(3日後)で申し込みを行い、申し込んでから勉強を開始し試験を受けました。

もし試験に落ちたら、また4220円必要になるため、気合を入れて勉強しました。

5.少額短期保険会社と代理店契約

少額短期保険募集人の試験に合格したら、少額短期保険会社との委託契約を締結し、それと合わせて財務局への登録のための申請を行います。

必要な書類は全て少額短期保険会社が準備してくれます。

6.財務局へ登録申請

必要な書類を揃えたら、財務局へ登録手続きを行います。

この際に、登録免許税として15,000円分の収入印紙が必要になります。

実務上は、少額短期保険会社が手続きしてくれます。

私の場合、1月上旬に書類をそろえて登録申請し、1月下旬に登録完了しました。

財務局への登録完了後、パンフレット等の募集に必要な資料をもらったり、事務手続き等を教えてもらいます。

 

これで自分で少額短期保険の契約ができるようになります。

 

今回は少額短期保険火災保険)の代理店になる方法をご紹介しました。

何かひとつでも参考になれば幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。