被相続人が不動産をたくさん持っていると、相続人はとても苦労すると思います。

 

コラム#38で「相続まで見越すのであれば、マイクロ法人は合同会社より株式会社が若干有利かもしれません」と書きました。今回はそう思う理由を記載します。

 

理由(1) 株式会社の場合、株式の相続だけで手続きが完了する

すべての物件をマイクロ法人(株式会社)で所有していた場合の相続手続きはどうなるでしょう?
上場株式などの有価証券を相続する場合と同じ扱いです。マイクロ法人の株価を算出し、それを相続すれば手続き完了となります。

不動産はすでに法人名義なので、相続時に必要な作業項目の多くを簡略化できます。例えば以下のような項目です。

●相続税評価額の計算
●所有権移転登記
●金融機関などからの借入金の相続手続
●管理会社への連絡
●賃貸借契約書の変更、または賃貸人の変更に関する覚書の作成
●家賃振込口座の変更
●敷金の引継ぎ
●電気、ガス、水道、協力会社などへの連絡と諸手続き

株価の計算は少々複雑なので税理士さんに委託することになるでしょう。が、その費用はさほどかかりません。

物件の名義が法人のままなので、相続人が物件を所有する必要がありません。ということは、固定資産税などの支払いも従来どおりマイクロ法人が行えば済みます。

また、マイクロ法人で有価証券や貴金属などを所有している場合も、収益不動産と同様です。すべてがマイクロ法人の株価に反映されます。その株式を相続人に相続すればすべて完了。株式の受け渡しという行為を行うことによって、マイクロ法人を丸ごと相続人に渡してしまうイメージです。

例えば、マイクロ法人の株式数が100株で、すべてを代表取締役(=被相続人)が所有していたとしましょう。また、相続発生時の株価が1株あたり1万円であったとします。この場合は、株式の時価総額100万円に対して相続税がかかってくることになります。

相続が発生する前に一度株価を算出しておけば、謄本などの必要な情報をあらかじめ取りそろえることになるので、相続発生後に慌てる必要もなくなりますよね😊

 

理由(2) 生前から段階的に事業承継を行うことができる

例えば、法人設立時は代表取締役(=被相続人)が株式を100%保有し、子ども(=相続人)の成人したタイミングで、親51%、子49%にすることなども容易にできます。マイクロ法人の株価は、時間の経過とともに基本的に高くなることが想定されるので、株価が低いうちに株式を譲渡してしまえば、相続時の課税対象資産を減らすことができます。すなわち相続税を低く抑えることができるのです。

代表取締役(=被相続人)が51%の株式を保有していれば、安定した経営ができます。2/3を代表取締役が保有していれば、なお安心でしょう。

仮に代表取締役が亡くなる前に、すべての株を子どもに譲渡済みだった場合はどうなるか?
このマイクロ法人がどれだけ多くの不動産や有価証券を保有していたとしても、すべて子どものものです。被相続人の所有物ではないので、相続税はかかりません。(ただし、被相続人が法人に貸し付けたお金が残っている場合は、相続税の課税対象となります)

 

相続を視野に入れた場合、合同会社より株式会社の方が若干有利かなーと思う理由は、あと2つあります。長くなるので次回のコラムで🙂

 

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