【茨城県西平市 リフォーム済み。高利回り20%超!】

 

通勤中、スマホで物件探索を行っていた でこひろし の目に、こんなキャッチコピーが飛び込んできた!

 

(西平市ってどこだろう?)

Googleマップで早速調べてみると「車で約1時間半ほど」

(まぁまぁ、射程圏内かな)

 

その後、詳細を不動産屋さんに問い合わせると、

 全16室の内、入居はわずかに2室

 お部屋の間取りは1DKと2DKの混合

 駐車場は世帯数分あり

 空室の原状回復は済み

空室率の高さがマイナスポイントだが、それ以外はまずまずの条件だ。

 

本来であれば、空室率の高さは致命的なポイントなのかもしれないが、「価値の創造」のためには、積極的に取りに行くべきリスクであり、それこそが ”利益” を生み出すためには必要な行動であると、それまでの経験の中で考え方を確立しつつあった。

 

ただ、そうは言っても大事なのはやはり

「そもそも入居付けできるのか?!」

だろう。

 

(さぁて、最寄り駅は・・・)

・・・

あれっ?!どこが最寄り??

 

販売図面を見ると、

「池上駅 車20分」と記載がある。

なんと、同市内には最寄りの駅がないことが発覚。

今までに無いパターンだ。

 

話が脱線するが・・実は「駅」の無い自治体(市)は意外にもそこそこ存在する。

関東圏でも、東京都の武蔵村山市は電車が通っていないし、他にも、神奈川県の綾瀬市、山梨県の南アルプス市なども同様だ。

 

「入居付けの難易度」を調べるにあたって、通常は、最寄り駅の不動産屋さん何軒かに、まずは付近の賃貸需要についてヒアリングするのだが、そもそも、どこに電話を掛けて良いのかが分からない。

 

(うーん・・・)
まずは、空室の内見がてら、現地まで足を運ぶことにした。

 

「もしもし、でこひろしと申します。」

「お問い合わせさせていただいた、西平市の物件の内見をお願いしたいのですが・・空室全てを内見できますか?」

「分かりました。確認して折り返し致します」

 

・・・
折り返しの電話にて。

結局、鍵は現地にあるとのこと。
現地に着いたら電話にてキーボックス番号を教えるとのことだった。

(来ないんかい!・・何だか、やる気ないなぁ。。。)

 

まぁ、最寄り駅が無いくらいなので、不動産屋の営業マンも車で来るほか、手段がないのだろう。面倒くさい気持ちも分からなくはない。

 

現地に到着して、空室を内見するも、全部屋共にかなり綺麗に修繕が仕上がっている。
(え、このまま募集できるじゃ~ん♪)

かなり良い感じにテンションが上がる。

 

あとは入居付けできるかのヒアリングだ!

 

不動産屋の探索、考え付いたのが、Googleマップに ”不動産屋” と入力して検索すると、現地に近い ”不動産屋” が視覚的にマップ上に表示される。

後は、普通に ”西平市”␣”不動産屋”でネット検索し、この2つを組み合わせて訪問対象の不動産屋を絞り込んだ。

「もう、あとは突撃あるのみ!」

 

まず1軒目

インターネット上に記載されている住所に行くも、それらしき不動産屋は見当たらない。庭には松の木があり、広い敷地には庭園が広がっている。

(えっ、ここ?!)

恐る恐る、呼び出しボタンを押す。

 

中からは、年の頃はそう、60歳手前くらいの男性が現われた。

「何でしょうか?」

男性は答えた。

 

確かに、先方からすれば

(こいつ誰?何の用?いかにも怪しいけど。)

と思ったに違いない。

 

「あ、突然の訪問に失礼いたします」

「私、でこひろしと申しまして、この近くにアパート購入を予定していまして、賃貸需要とか、お伺いできればと思いまして・・・」

と丁寧に答えた。

 

「なるほど。まぁ、いいや、入ってよ!」
先方が答える。

 

庭木の手入れが行き届いた立派な庭園を通り、屋敷の中に案内された。

通された部屋には、”刀”とか”兜”とか、将棋の”王将”のやたら大きいヤツとか、”木彫りの熊”などが置かれていた。

もうこの段階で、場違いなところに来てしまったことは明白だったが、この段階で帰るとは口が裂けても言えない雰囲気だった。

 

「で、お兄さんは不動産屋さん???」

「あ、いえ、業者とかではないんですけど、まぁ、不動産屋と言えば不動産屋ではあるんですけど・・・」
何だか、上手く喋れない・・。

「何?アパート買おうとしているの?どの物件」
などと、先方がリードをしてくれる始末。

 

そうこうしている内に少しずつ会話も噛み合い始め、自分の経歴や、不動産投資としてやっていることなど順を追って説明した。

 

 

「へぇ、サラリーマンで会社勤めやっているのに、こんなことやっているの?面白いねぇ!!」
感心した様子で、興味を示してくれた。

 

「それよりもさぁ、ちょうど今、面白い物件の話があって」

「でこさんの買おうとしている物件に毛が生えたくらいの金額で纏めれると思うんだけど・・3LDKが40世帯の・・いや、45世帯くらいあるかなぁ。まぁ、そんな物件があるんだけど、ほとんど入居が付いていないし、内装もリフォームとかしてないんだけど・・どうかな。」

 

「・・・」
(話の内容に付いていけず言葉が出ない)

(ん?3LDKが40世帯の物件って、”億”とか全然するよな???)

 

「そうだよ。うん。でこさんみたいに、やる気があるんだったら買わないかな。この物件。すぐ近くだからさぁ!今から見に行ってみない?」

(いや、意味が分からない。。この人は何を言っているんだ?!)

 

「どうするの?行く?」
リアクションの薄いでこひろしを見て、もう一度聞いてきた。

 

「あ、はい。是非お願いします!」
でこひろしは、思わず反射的に返事をしてしまったのだった。

 

(賃貸需要を聞きにきたのに・・・)

 

<つづく>

 

※ この物語は事実をベースにしていますが、あくまでもフィクションです。実在の人物や団体、また出来事に関しては、類似があったとしてもそれは偶然です。