北国の大家です。
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<レンギョウ>
花言葉は「希望」「希望の実現」です。
今回のテーマは、LPガス・スキームです。
今月の3月11日に、楽町実践大家コラムニストの西本豪さんがこんなコラムを書きました。
プロパンガス利用料金の透明化で家主の負担が増える?
この時は私も(失礼ながら)現実味がない気がして、ボヤッとしたコメントを書きました。
で・す・が・・
今回のコラムは噂話と事実を織り交ぜて、書いてみます。
噂の箇所ははっきりとわかるようにしておきます。
以前から、LPガス料金の単価設定が不透明という問題が指摘されることが多く、国会でも何回か取り上げられた記憶がります。
この話に一つの区切りが付きそうなので、今回コラムにしてみます。
アジェンダ
1.LPガススキーム
2.貸与の状況
3.スキームの問題点
4.過去の経緯(従来の解釈)
5.巷での噂
6.札幌の新聞では
7.まとめ
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
1.LPガス・スキームとは
今回は、LPガス事業者による給湯器などの無償貸与をLPガス・スキームと呼称します。
ここからは「令和3年10月25日 経済産業省 賃貸集合住宅への無償貸与の問題」より抜粋します。
【無償貸与の経緯】
■無償貸与はLPガス事業者が賃貸集合住宅へのガス供給契約獲得のための営業として、賃貸集合住宅のオーナーにガス給湯機やガスコンロを無償提供したことが始まり。
■その後、集合賃貸住宅のオーナーや建設業者からの要求により、エアコン、インターホン、Wifi機器、防犯カメラといった様々な製品もLPガス事業者が費用負担し、後日、LPガスの料金で入居者から回収されるという商慣行に変化。
■近年は資金力のある大手LPガス会社から、積極的に無償貸与をオーナーや建設業者に提供し、営業攻勢をかけている動きもある。
【無償貸与が及ぼす影響】
■多くの製品を費用負担した場合、その物件の料金が高騰。賃貸集合住宅の消費者は、入居してからLPガス料金を知るので、料金に不満があっても、受け入れるしかないという状況。消費者に選択の機会が事実上無い。
■様々な製品の費用負担ができないLPガス事業者は、オーナーから契約を断られるという圧力がかかるようになった。料金ではなく、無償貸与の大きさで賃貸集合住宅の契約が決まり、それが消費者の利益につながらないという競争の歪みが発生している。
~抜粋ここまで~
LPガススキームを、私の言葉でご説明します。
新築収益物件では、私たちがRCを新築した25年前はもちろん、今でもLPガスの配管設備は、建築会社ではなくLPガス会社が費用負担しています。
建築会社が費用負担していないので、物件を購入したオーナーも負担していない形となります。
1棟物の新築RCを購入した時、ガスの配管設備はガス会社に所有権があるため、LPガス供給会社を変更すると、物件の配管を利用させないといったトラブルもありました。
物件を囲い込むためです。
この辺は昔から色々と裁判沙汰になり、私の記憶が正しければ、LPガス会社との貸与契約書がある場合に限り、LPガス会社の所有を認める裁判例(判例だったかは失念)もあったと思います。
つまり新築RCの所有者は、物件オーナーとLPガス業者という事になります。
実は数千万円~数億円を出して購入した投資物件の所有者は、実はもう一人いるという訳です!
LPガス業者と貸与契約を結び、業者が資産目録を持っている場合、業者変更するならこの資産(配管などの設備)を買い取ってくれと言う場合がほとんどです。
逆に言えば、現行のLPガス業者の資産を買い取る!という情熱的な新業者が見つかればLPガス会社を変更できるという訳です。
私もこの方式で何社かLPガス業者を変更しました。
不動産の売買で気を付けたいのは「継承」にしておくことです。
自分が売り主の時に、買主からLPガス業者を切り替えたいと言う要望があり契約書に業者変更を盛り込んでしまった場合は、売主が数百万円の資産目録に記載された設備を買い取ることになります。
資産目録は会計の資産とは違い、減価償却しないもアリ、償却年数も比較的自由というシロモノです(償却方法などは、目録上で定義されます)。
よく言えば商品、悪く言えば人質のような物です。
この辺は十分に注意したいところです。
2.貸与の状況
LPガススキームでは、貸与の多くが給湯器だと思いますが、今では他社の物件を獲得するため、業者側の営業促進費用などを通じて、エアコン、便座システム、ドアチャイムなどの貸与を受けている方も多いと思います。
北海道では冬季間の暖房設備であるストーブもランクインしますが、全国的なこんな感じのようです。
「令和3年10月25日 経済産業省 賃貸集合住宅への無償貸与の問題」より引用
エレベータ、外壁は聞いたことがないですが、屋上設置の太陽光パネルは聞いたことがあります(汗)。
3.スキームの問題点
私の地元でアンケートが行われていたようです。
LPガスが高いと感じる人が26%とは予想より少ない感じがしました。
「令和3年10月25日 経済産業省 賃貸集合住宅への無償貸与の問題」より引用
LPガスの単価が自由に設定できることを知らない方が25%いたのは驚きです。
消費者に不利な契約だと言った方が35%ですが、もっと多いかなと思っていました。
この資料では、問題点と解決法をこんな感じで示しています。
「令和3年10月25日 経済産業省 賃貸集合住宅への無償貸与の問題」より引用
「入居者は高い料金に抗議しているのであって、無償貸与に抗議をしているの訳ではない」というのは(言われてみるとその通り!という感じで)斬新な解釈だなと思いました(汗)。
この時は、入居前の消費者にLPガス料金の情報を提供することが結論となりました。
あくまでも依頼ベースであることに注意が必要です。
4.過去の経緯(従来の解釈)
建築会社や物件オーナーが「優越的地位の濫用」に該当するか?の観点で、このときはこう結論を出したようです。
「令和3年10月25日 経済産業省 賃貸集合住宅への無償貸与の問題」より引用
あくまでもこの時は、建築会社やオーナーは「優越的地位の濫用」には該当しないとされました。
私自身も「優越的地位の濫用」には感じることはありません。
業者の囲い込み営業の一環くらいに捉えていました。
5.巷での噂
地元の建築業者は言いました。
~噂話、ここから~
「来年からLPガス会社の貸与は禁止になるよ」
「札幌の業者で知っている所は少ないけど、うちは親会社が東京だから政府筋の情報を早く入手できた」
「東京の2社が口を滑らせたから、知っている人もいると思う」
「うちの会社はもう既に新築時にLPガス業者に配管費用を拠出させるのを辞めた」
「対象はあくまでも新築のみ、既存の物件は今まで通りだから影響が出るのはまだ先だと思う」
~噂話、ここまで~
別の築建会社、LPガス業者など、数社にヒアリングすると全員が「知らない」「聞いたこともない」と言っていました。
ヒアリングを掛けたのは、全て札幌本社の会社です。
政府に近い東京の業者では、実際にはどういう情報が流れているのかは藪の中です。
6.札幌の新聞では
やはりLPガス・スキームが問題になっています。
北海道新聞より抜粋
ちなみに北海道では2015年から、LPガス問題を考える会が発足したようです。
LPガスは全国の約52%の世帯(北海道では約62%)で利用されており、欠かせないエネルギーだがトラブルも多い。
・料金システムが解りにくい
・都市ガスに比べて価格が高い
・同一業者・同一地域でも価格が違う
・業者を変更したらトラブルになった
北海道は、LPガス料金が他の地域と比べて高額であり、全国平均価格との価格差も、年々拡大していることから問題意識が高い傾向にあるようです。
そういう意味で北海道は、LPガス問題先端地域でもあり、実際に新築案件でLPガス業者を排除する動きが出始めていることは事実です。
噂の真相をご存じの方がいれば、是非教えて頂ければと思います!
7.まとめ
ここからは仮に噂が現実になった場合の話です。
全く違和感がありません、逆に遅かったと感じるくらいです(汗)。
現実になるとプロパン業者の淘汰も進むでしょう。
生き残りをかけて、薄利でも他社の設備を買い取るところも出るかもしれないですし、昔のように貸与契約書なしで契約するところも出始めるかもしれません。
昔は貸与契約書無しの貸与スキームでした。
これはプロパン業者を敵に回すと言うより、プロパン業者、建築業者、管理会社などと、ソフトランディングを図るプロジェクトになりそうな気がします。
噂が現実になると札幌の新築RCの利回りは5%台まで下がるかもしれません。
ここまで下がると、なかなか売りにくいでしょうね。
投資家の新築離れや、札幌以外のエリアを真剣に探し始めるなど潮目が変わる気もします。
我々投資家もどこかで決別すべきことなのかなと、噂の真偽は不明ですが、私個人は噂が現実になる前提で今後の投資は検討したいなと思っています!
今回のコラムは如何だったでしょうか?
私達夫婦はコラムを通じて初心者の方に、不動産投資に取り組む際の「情報」と「勇気」を届ける事をテーマとしています。
我々の実践行動が、少しでも皆様のお役に立つ事を願っています。
―以上です―
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