楽待実践大家コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。
本日は興味深い話を聞いたので、読者の皆様に紹介したいと思います。
それは、国立大学法人や国立研究開発法人が不動産賃貸業みたいなことを行っているという話です。不動産投資の視点では良い仕組みに見えますが、研究力の低下が指摘されている昨今、研究者に負担させる仕組みで厳しい国際競争を生き残れるのか?
国立大や国研はなぜ不動産賃貸業をするのか
報道等でご存知の方も多いと思いますが、国立大学法人も国立研究開発法人も運営費交付金という税金で運営されています。国の方針で交付金は毎年削減されており、自主財源が求められています。
自主財源としては、国立大や国研は日本学術振興会が公募する科学研究費補助金などの競争的資金や寄付金、特許や知財のライセンス収入など外部から得られる資金があり、これらを獲得する必要があります。
しかし、外部資金だけでは十分な財源が確保できない現状があります。
そこで不動産賃貸業というわけです。
国立大と国研の不動産賃貸業の仕組み
仕組みは単純です。所有する研究棟や実験棟を所属する研究者に研究室や実験室として賃貸するだけです。研究室や実験室を使用したい研究者は自分が獲得した外部資金などから家賃を支払います。新しい建物を建てる場合も、維持管理の費用は賃貸を前提として計画することができますね。また、家賃は年度単位で見直すこともあるようで、借りる側からは 1 年毎に更新が必要な定期賃貸借契約しているみたいです。
国立大と国研の不動産賃貸業の実際
聞いたところによると、多くの国立大や国研で一般的な制度になっているそうで、スペースチャージとかスペース課金と呼ばれているそうです。
早速、インターネットで調べて見ると、東京工業大学、名古屋工業大学、大阪大学、広島大学、九州大学、物質・材料研究機構や国立環境研究所などにこの制度があることが分かりました。
また、文部科学省のページを見たら 2015 年に「大学経営に求められる施設戦略先進的・効果的な施設マネジメントの実践事例」というものがあり、先進的な事例としてスペースチャージ精度が取り上げられていました。
例えば、富山大学では全教育研究施設に平米単価 1000 円を課金して総額約 2 億円を確保したとか。大阪大学でも平米単価 500 円を課金しているとか書かれています。
いかがでしょうか?
民間企業ではあり得ない仕組みですね!
税金で運営されている以上、当たり前と感じる方もいると思いますし、不動産投資の視点で見ると良い仕組みだとは思いますが、
研究者出身の自分としては研究費が減ってしまう仕組みなので、甚だ疑問です。
大丈夫か日本?
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