~このコラムは7年生大家が、次のステージに到達するまでの不動産に楽しく取り組む姿を記した「実践」コラムです~
皆さん、こんばんは~
ジュニアです。
<前回、前々回のコラムのコメント>
<皆さんの考え方が参考になりました!>
前々回とその前のコラム。
皆さんの新築や区分に対する考えをコメントをいただき、大変参考になりました。
私のコラムは投稿して数日後、皆さんのコメントが入ったところで読み返すことをお勧めします。
さて、前回のコラム「#389 管理組合火災保険見積書を斬った件
」の続きです。
保険とは何か?
そんなことにも触れていますので、読んでみて下さい。
1.見積書の内容
早速ですが、見積書を再掲します。
保険期間5年の長期一括払いの保険料内訳は、以下のとおり。
①火災(建物): 371,590円
②マンション居住者包括賠償特約
:1,528,980円
③水濡れ原因調査費用特約
: 850,900円
④マンション共有部分賠償特約
: 594,660円
◆合計 :3,346,130円
1億6000万円の火災保険の5年間の保険料は約37万円。
決して高くはないですよね。
この見積書を見ると、高いのは特約保険料であることが良く分かります。
2.マンション居住者包括賠償特約
さて、本丸のマンション居住者包括賠償特約です。
5年間の保険料が約150万円。
まずは補償内容を確認するため保険会社のホームページから約款を見てみると、保険金を支払う場合として以下の記載がありました。
「居住用戸室での漏水などの賠償事故、または日常生活における賠償事故による損害、または、日本国内において、電車等(注)の損壊を伴わない運行不能について法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を、1回の事故につき特約保険金額を限度に補償します。」
約款と言うのは、分かり難いですね。
大きく分けると、以下の3つが補償の対象となっています。
①居住用戸室での漏水などの賠償事故
②日常生活における賠償事故
③電車等の損壊を伴わない運行不能についての損害賠償責任
まず、謎なのは③ですよね(笑)
これは最近、具体的には2019年ごろに追加された補償で、誤って線路に落ちた、認知症で徘徊し線路に入ったなどで、電車を止めてしまった場合の損害賠償を補償する、というものです。
スッキリしたところで本題に戻します。
②+③は、いわゆる個人賠償責任保険、個人賠償責任特約と言われるもので、この場合はあくまでの入居者さんを補償することになります。
要するに、この特約は個人賠償責任特約に①の漏水事故の補償を追加した特約、ということですね。
まずもって、入居者の個人賠償保険を管理組合で掛ける必要があるのかと言う話になりますが、私は必要ないと思います。
3.ポイントは漏水
この特約の最大のポイントは、様々な原因による漏水事故に対して対応を可能にしたところがポイントです。
共同住宅での漏水事故は様々な原因がありますよね。
言い換えると様々な責任の所在があるということです。
例えば、こんな感じです。
①洗濯機の水栓が外れた
②専有部の給排水設備から水漏れ
③共有部の水道管から水濡れ
このような水漏れにより階下に被害が及んだ場合の損害賠償請求先は、それぞれ以下のようになります。
①洗濯機の水栓が外れた
⇒入居者
②専有部の給排水設備から水漏れ
⇒区分所有者
③共有部の水道管から水濡れ
⇒管理組合
更に、これらの損害を保険でカバーするには
①洗濯機の水栓が外れた
⇒入居者⇒入居者の個人賠償責任保険
②専有部の給排水設備から水漏れ
⇒区分所有者⇒所有者の施設賠償責任保険
③共有部の水道管から水濡れ
⇒管理組合⇒管理組合の施設賠償責任保険
上記のパターンで言えば、アンダーラインのついた入居者と区分所有者が責任を負うべき漏水事故について、「マンション居住者包括賠償特約」で補償をする、と言うことになります。
4.ポイントは重複
ここで問題とすべきは、
「入居者も所有者も保険に入っているよね?」
ということです。
皆さんは、自分の物件に施設賠償責任保険の特約を付けていますよね。
もしも付いていないなら、保険期間の途中からでも付けられますので、至急代理店に連絡をして付けて貰うことを強くお勧めします。
また、入居者さんも、入居時に仲介会社(≒管理会社)が家財の保険加入を勧めているはずです。
だとしたら、その中に個人賠償責任特約が付いているはずです。
所有者も、入居者も、賠償責任保険に加入している「はず」
一方で、現実的には100%加入していることはないと思います。
入居者さんの家財の保険が切れていることは、決して珍しくありませんし、所有者を含めてそれを確認することは現実的ではありません。
それらを踏まえて万全の備えをするには、重複する=無駄になることを前提としながらも「マンション居住者包括賠償特約」を付けましょう、ということですね。
そうすれば、漏水事故が起きたときに入居者、所有者の保険がなくても補償が出来ます!
5.重複を防ごう
では、マンション居住者包括賠償特約を付けるのであれば、所有者や入居者は、自分の保険の特約を削除すれば良いわけです。
無駄に保険に入ることはありませんからね。
でもこれって、非常に難しいことです。
所有者はまだしも、入居者さんが加入する火災保険の特約に関して管理をする、ってことです。
入居者募集時に、「ウチのマンションは火災保険の個人賠償責任特約は付けなくても大丈夫です」と謳っても、アピールにはならないですよね?
また、各所有者が委託をする管理会社が扱う保険、つまり入居者が加入をする保険ってパターン販売されているところが殆どで、契約内容を変更すること自体が出来ないケースも多いと思います。
共済もしかり、ですね。
つまり、重複を防ぐことは出来ない、との結論に達します。
6.この特約の要否
保険の基本的な考え方のひとつに「大数の法則」があります。
サイコロを振り続けると、ひとつの目の発生確率は1/6に近づいていく、というものです。
この法則にしたがえば、分母が増えれば発生確率は理論値に近づいていることから、戸数が一定数を超えるマンションにおいては、今回の漏水事故に関しても保険でリスクヘッジをすることが絶対的な正解ではない、ということです。
では、どのような対策を打つのか。
漏水事故に限れば自家保険、つまり保険料を払う代わりにお金を積み立てれば良い、私はそう判断をします。
その前提条件として十分な現預金が必要だとは思いますが、幸いにもウチの組合にはそれがあります。
つまり「マンション居住者包括賠償特約」は、理事長としては付けないという判断です。
7.最後に
保険の本来価値は「安心感」にあります。
ただし、これは一般的な消費者の場合であり、事業者としては「安心感」で片づけるのではなく発生頻度、発生時の最大損害額、保険料負担コストを確認し、保険加入とその内容について総合的に判断をすべきです。
そんな思考のひとつが、今回のコラムのような考え方だと思っていただけると幸いです。
補償は最小限で良いわけではなく、あくまでも総合的な判断です。
キャッシュが厳しい状況であるほど、実は保険が必要だったりしますので、その点は誤解の無いようにお願いします。
私としては、、、
今回、見積書を見直して出来たファンドで、地震保険への加入を検討します。
このことについては、またコラムしようと思います。。。
今回のコラムは、いかがでしたでしょうか。
これから不動産を始める皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
また、簡単でも構いませんので、皆さんからの感想、ご意見のコメントをいただけたら嬉しく思います。
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