スチールパネル工法の性能についてご紹介しましょう

一般的に、軽量鉄骨は、重量鉄骨やRCに比べて音が響いて遮音性が悪い断熱性が良くないと言われています。その理由も考えながら説明したいと思います

構造ごとの遮音性能について

遮音性が良い(上下左右の音が響かない):重量鉄骨、RC
遮音性が悪い(上下左右の音が響く):軽量鉄骨、木造

なぜこのようになるのでしょうか?

理由は、2つあります

1.材料自体の硬さ=振動しやすさ

木や軽量鉄骨は、人間が騒音と感じる音(歩く音、音楽など)の周波数を伝えやすい性質を持っています。これは、楽器が木材や薄い金属を用いて作られていることからも明らかです

コンクリートや分厚い鉄で楽器を作製しても響きが悪くて使い物になりません

この材料の違いはどうすることもできないので、木造と軽量鉄骨はどうしても音が響いてしまいます

よく、「鉄骨造のアパートは遮音性がいいのか?」という質問をネットで見かけることがありますが、鉄骨造であっても、軽量鉄骨か、重量鉄骨かでは大きな違いがあるので、鉄骨造の遮音性について評価が定まらないで混乱している人が多いように感じます

2.床と壁の構造=遮音効果

まずはから

一般的な木造・軽量鉄骨の床構造:

引用:LIXIL

梁(小ばり・大ばり)の上に根太(ねだ)を載せて、上下を合板ではさみ込んで天井と床を作ります

この梁が木造の場合は木、軽量鉄骨の場合は薄板でできた鉄の柱になります

要するに床と天井が太鼓のような構造になっているのが、木造・軽量鉄骨の床と天井の構造です。これでは、2階の振動は、もろに1階に伝わってしまいますね。

根太(ねだ)とはりの床構造は、まるで楽器の内部のような構造ですね。これなら、木造と軽量鉄骨は音が響いても仕方がありません

一般的な重量鉄骨・RCの床構造:

引用:ノムコム

重量鉄骨、RCともにまずはコンクリートを流して床(スラブ)を作ります。そして床は支持ボルトなどを使って空間を設けて合板をはります。(二重床)

天井はスラブから吊るような形で作ります

ともかく、このコンクリートの床の遮音性が高いです

木造・軽量鉄骨重量鉄骨・RCはこのような構造的な違い、特に床にコンクリートを流すか流さないかの違いが大きいです

次にについて

これも一般的には木造・軽量鉄骨は壁の構造が簡単なため音が響きやすい構造になっています

重量鉄骨とRCの壁の遮音性は、実はなんとも言えないところがあります。つまり、コンクリートやALC(発泡コンクリート材)が入った壁は遮音性が高いのですが、全ての壁がそのような壁とは限らなく、木造や軽量鉄骨とあまり変わらない構造の壁の場合、遮音性は低いです

まとめると、あくまでも一般的に

床:木造・軽量鉄骨は遮音性は低い。重量鉄骨・RCは遮音性が高い

壁:木造・軽量鉄骨は遮音性は低い。重量鉄骨・RCは壁の構造次第で遮音性の高い壁、低い壁がある

ということです

繰り返しになりますが、

鉄骨造は音が響いてうるさい

は、鉄骨造でも軽量鉄骨と重量鉄骨では全く違うということは、大家として覚えておくべき重要事項です

スチールパネル工法の遮音性

さて、本題に戻ります

今回選択した建物は、普通の軽量鉄骨造ではなく、パネル式の軽量鉄骨造です。分かる人にわかると思いますが、木造で言えば、普通の軽量鉄骨が在来工法、このパネル式が2x4と考えていただければいいと思います

パネル自体は、メーカーの工場で生産され、現場にて建物に組み立てられるものですが、このメーカーのパネルは、遮音性を高めるために

2重床と2重壁

を採用しています

床:

天井を支える根太と床を支える根太を分離(吊り天井)にすることにより、床の振動や上階の音が下階に直接伝わらない構造になっています。施行後の建物で確認しましたが、重量鉄骨やRCのコンクリートの2重床と遜色のない遮音性があると感じました

壁:

室内壁は、柱を共有しない2重壁になっていて、遮音性は非常にいいです。この構造は、重量鉄骨でもRCでも普通は採用しない仕様なのでこの工法のメリットになっていると思います

あくまでも自分の評価ですが、この住宅メーカーの軽量鉄骨パネル工法は、軽量鉄骨造ではありますが、重量鉄骨・RC並みの遮音性を持っていると考えています

スチールパネル工法の断熱性能

一般的に、軽量鉄骨造は断熱性が悪いです

それは、鉄の熱伝導率が高いので外気の暑さや寒さを室内に伝えやすいからです

この軽量鉄骨パネル工法も基本的に軽量鉄骨なので普通に建築すれば断熱性の低い建物になってしまうので、外壁は断熱性を高めるための工夫がされています

それは外張り断熱方式の採用です

一般的な軽量鉄骨は壁内に断熱材を詰める内張り断熱ですが、この工法は、壁面に接触している鉄骨を通じて外気の温度の影響を受けやすいです

一方、外張り断熱は、構造材の外側に貼った断熱材によって鉄骨と外壁が絶縁されているため、外気の温度の変化が、室内の温度に影響を与えにくいです

また、外張り断熱は、壁内結露が発生しないため、カビやサビの発生が抑えられ快適な室内空間と建物の長寿命化が実現します

軽量鉄骨パネル工法においては、メーカーの工場で作製する時に外張り断熱の断熱材を貼ってしまいます。これにより現場での断熱材の充填作業などが省略できるため建築費の低コスト化が図れると同時に、外張り断熱のメリット享受できることになります

まとめ

軽量鉄骨パネル工法は、軽量鉄骨を用いることにより、材料コストを低コスト化していますが、パネルをメーカーの工場で作製する際に、遮音性、断熱性の加工を施し、重量鉄骨やRC並みの性能と品質を持つ住宅を建築することが可能です

何か、メーカーの宣伝のようになってしまいましたが、安かろう悪かろうの建物を建築するつもりはありませんでしたが、建築費が高騰する中、高高品質で、利回りな賃貸住宅を実現するために行き着いたのが

軽量鉄骨パネル工法

だったということです

次回こそ!軽量鉄骨はアパートなの?マンションなの?というテーマにしたいと思います