北国の大家です。
いつもコラムをお読み頂き、ありがとうございます。
皆様から頂いた「コメント」「いいね」が執筆の励みになっています。
本当にありがとうございます!
<公園のトイレ>
盆踊り会場にもなる公園のトイレです。以前は犯罪が起きても不思議ではないほど汚かったのですが、綺麗になっていました(ビックリ)。
前回のコラムでは予想以上に多くの「いいね」を頂きました。
楽待相談室、不動産実務検定、Youtubeの不動産投資関連のチャンネルでは「悪手」とされる手法を「妙手」として使っている層に驚かれた方がいたのかもしれません。私も驚きました(汗)。
この辺を紐解く前に、まずは社長シリーズの続編です!
<アジェンダ>
1.社長の不動産投資(振り返り)
2.社長の不動産投資(数字で見る)
3.10年売却は富裕層の手法
4.不動産投資と節税
5.社長の節税(創業社長編)
6.まとめ
中小・零細企業の社長と言っても色々です。
前回は、本業や資産運用の基盤が完成している二代目社長をメインに取り上げましたが、今回は創業社長にも触れてみます!
1.社長の不動産投資(振り返り)
個人投資家と社長の資産運用ではこんな違いがあるって報告でした。
違い1)フルローンはあり得ない
違い2)大きいローンが単純に嬉しいわけではない
違い3)キャッシュフローはゼロ!
違い4)価値が下がりにくい好立地物件を選ぶ
違い5)丸投げ・ノーオペレーション
違い6)金融商品にもレバレッジが掛けられる
特に「フルローンはあり得ない」「キャッシュフローはゼロ!」あたりは、衝撃的だったのかもしれません(私もそうです汗)。
この辺を例題で考えを深めてみましょう。
給料でも不動産投資のCFでも手残りが増えてまとまった額になったとしましょう。
仮に1千万円の余裕資金が手元にありました。
さて、この1千万円を投資で増やす時、どんな方法があるでしょうか
・投資信託
・個別株
・債権・先物
・エンジェル投資(これはやらないですよね汗)
税制的には分離課税20%で節税にもなりそうな部分です。
上記の金融的な投資で毎年4%のリターンがあるとして、10年間のインカムゲインはゼロ、10年後のリターンはキャピタルゲイン+元金で1,500万円です。
10年間の運用で1.5倍に増えました。
・不動産投資
とある物件の購入・運営の結果、10年間の運用で2倍に増える事例を考えます。
こんな感じで投資対象を比較すると、不動産に投資するのがいいじゃないか!となるって感じです。
金融商品でも10年間で2倍以上も狙える投資もあるようですがリスクも高いようです。
不動産はミドルリスク・ミドルリターンと言われまるのは、あくまでも金融投資と比較しての話です。
その文脈で二代目社長さんたちは投資対象を選んでいます。
コメンテーターの富裕層(rin5さんなど)が言う通り、資産運用を考える時、我々庶民でもキャッシュフロー(配当)が云々とは言いませんよね!?
2.社長の不動産投資(数字で見る)
不動産投資で頭金を10年間の運用で2倍にするのは難しいでしょうか?
キャピタルゲインだけで2倍にすることを考えてみます。
<運用開始時>
物件価格 1億円
表面利回り 6%
月額家賃 50万円
頭 金 3千万円(投資の自己資金)
借入金額 7千万円
借入期間 20年間
借入金利 1.0%
返済比率 73%
運営費 月額賃料の27%(割と余裕がある)
※27%以下で済めば、CFとして手元に残る。
<10年後>
持ちきり前提ではなく、10年後売却が前提です。
残債 3.7千万円
売却価格毎の手残り(長期譲渡税引後)
1億円: 3千万円 ※売却価格が購入時と同じ
9千万円:2千万円 ※売却価格が購入時から10%ダウン
上記では運用資産(頭金)が1.7倍~2倍になりました。
金融商品の10年間の運用で1.5倍より多いですよね。
こんな感じで投資先を選んでいるようです。
3.10年売却は富裕層の手法
好立地・新築(築浅)なので、基本的に管理会社丸投げ・ノーオペレーションです。
経営的工夫として、如何に修繕個所を減らすか、どうしても修繕が必要な場合にDIYで費用を抑える、オーナー営業を掛けて空室損を減らす、入居者属性が故のクレームなどの問題などは極めて少ない状況です。
築10年までの賃貸経営と築11年以降のそれでは、私自身も全く違うと感じます。
運営が楽な10年間しか保有しない作戦ってことです。
この手法では、社長さんに賃貸経営の大変な時期が訪れません(汗)。
4.不動産投資と節税
私の実践例(思考過程)です。
脱サラ後、一つだけ解っている事がありました。
サラリーマン時代は税引き後の額(手取り)をベースに考える。
節税がほぼ出来ないので、コントロールできないことに時間を使っても意味がないので合理的な考え方です。
但し、結果としてがんばろう!となってしまうのは労働強化(金銭ではなく時間の貧困化)に繋がる面もあると思っていました。
不動産投資家は、税務的には不動産賃貸事業者となります。
この時、サラリーマン時代の年間1千万円程度と違い大きな額を扱うことになるので、節税でリターンは大きく変わるイメージを持っていました。
自宅併設RCの年間家賃1千万円程度でも20年間以上、節税には気を使っていたのと、その効果の大きさも実感していました。
私がサラリーマン大家時代に実践したのは、所得の分散と経費計上の限界点を探る事だけでした。
これは所得税対策です。
しかし勉強すると(個人・法人)所得税よりも消費税がヤバイと解ったので消費税から勉強することにしました。
勉強の威力は凄かったです。
今では封じられた消費税還付もできました。
多くの税理士は力不足に感じました。
不動産を得意としている(先生自身が不動産投資をしている)税理士を頼ることにしました。
3年前までの消費税還付では、税理士も還付金の2割を成功報酬とする事務所が多く荒稼ぎしたようです。
消費税還付が封じられた次の儲けるネタとして、最近の税理士事務所ではこんなのを良く聞きます。
税理士も儲けるネタが欲しいのです。
①不動産を売買ではなくM&Aで購入する
②築古アパートを活用した社長の節税
この辺のコンサル(成功報酬)で儲けようという事です。
次の章では②を具体的に見ていきます。
5.社長の節税(創業社長編)
ここの対象は二世社長ではなく創業社長です。
二世社長は節税の方針などもある程度路線が決められています。
対して創業社長は、暗中模索で勉強したり知人に聞いたりしながら、最善の策を検討している感じです。
手法は楽待の読者さんなら「あーそれのこと!?」という一般的なコレです
・築22超の木造アパートの購入
積算付近の築22年超の木造アパートを購入します。
土地:建物比率が1:2の物件を想定します。
物件価格が6千万円、土地2千万円、建物4千万円です。
償却期間を最短で4年間に設定できます(5年間以上も可)。
この場合、年間4百万円の減価償却費を計上できます。
社長さんの役員報酬が2千万円の場合では、社会保険料を考慮すると税率は50%です。
役員報酬と不動産所得で損益通算して、減価償却費で所得を下げるという作戦です。
売却時は長期譲渡では約20%の分離課税です。
※長期譲渡は1月1日(正月)を6回以上経過した物件です。保有期間が6年間以上ではないことに注意が必要です。
ポイントは、税率が違うので単なる税の先送りではないことです。
スキームと言って良いでしょう。
積算付近なので、物件の出口は多彩です。
・良い物件なら、そのまま賃貸
・長期譲渡のタイミングで売却
・新築用地として活用(立退・解体・新築)
最近は税理士事務所が主催してセミナーを開き、顧問先への提案としている場合も多いようです。
6.まとめ
社長たちが個人で物件を購入する時には、そもそも役員報酬が高いので、節税の工夫必要になるという事です。
社長の節税は色々あります
①法人にカネを貯めて個人は住民税非課税
②会社に金を残さず、多くは役員報酬で調整する
③役員報酬をしっかりと取り、社長個人の節税もしっかりと行う
④全ての節税を無視して、役員報酬を限界まで取る(私の考察の対象外です汗)
私は脱サラ時に①を目指しました。今はバランス感覚から②を選択しています。
私は創業社長がそうであるように、役員報酬を変える前に必ず、①~③の塩梅と具体的な施策を検討して、事前に税理士・社労士に相談します。
書けない事も多いですが、税引後で勝負するサラリーマンと違い、税引前に大きなカネを扱う不動産投資家はカネを移動するたびに税金がとられます。
納税方針を決めてから大きなカネを扱うようにすると、手残りに大きな違いが出ます。
このテーマはもう少し続けようと思います!
今回のコラムは如何だったでしょうか?
私達夫婦はコラムを通じて初心者の方に、不動産投資に取り組む際の「情報」と「勇気」を届ける事をテーマとしています。
我々の実践行動が、少しでも皆様のお役に立つ事を願っています。
―以上です―
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