~このコラムは7年生大家が、次のステージに到達するまでの不動産に楽しく取り組む姿を記した「実践」コラムです~

 

皆さん、こんばんは~

ジュニアです。

 

<初めての、、、>

<カレーはありませんでしたw>

 

 

前回からのシリーズコラムです。

タダでさえ人気のない保険コラムに加え、シリーズコラムと言うハードル、、、

私には超えられない壁かもしれませんが、頑張って続けたいと思います。

 

前回のコラムでは、大事なことを言い忘れました。

最初に書いておくべきだったかもしれません。

楽待編集葺きのタイトルには「背景に「火災保険スキーム」も、損保大手が築古物件の審査を厳格化」とありますが、、、

 

火災保険の値上げは、火災保険スキームを背景としたものではありません。

 

全く影響がないとは言い切れませんが、保険料値上げに関しては、その影響は無視できるほど小さいものです。

 

さて、まずは楽待編集部記事の内容は以下のようなものであることを確認しておきます。

①東京海上社は築古の住宅の火災保険の引き受けに当たり、保険会社で審査をした上で条件を決めることとした。

②火災保険は2024年にも値上げを控えており、収支悪化には厳しい経営状況による保険金抑制が透けて見える。

③火災保険には不正な手段で保険金を得る、火災保険スキームの問題も取りざたされていた。

 

今回の構成は、以下のとおり。

 

1.新聞記事の真偽

2.楽待記事の内容を整理する

3.築古住宅の引受け厳格化

(今回は↓ここからです)

4.引受け厳格化

5.火災保険の値上げ

6.保険金申請代行

7.保険の本質

8.今後の対策

9.最後に

 

それでは本題に入ります。

 

 

4.引き受け厳格化

引き受け厳格化とは、何でしょう?

本来、火災保険を引き受ける場合は代理店が物件を確認すべきところですが、実務上、それがされることは殆どありません。

楽真理編集部の記事に掲載されていたチェックシートを見ると、事前にチェックされる項目が分かりますね。

これをベースにして、保険会社が引き受けについて判断をするモノと思われます。

具体的には、、、

①保険料の割増をする
リスクの大きい物件はリスクに応じた保険料、つまり保険料を割増しして引き受ける。

②補償範囲を限定する
リスクの大きい危険は引き受けない。例えば、引き受け条件として水災を不担保にする、風災を不担保にする、など補償範囲を限定して引き受ける。

③免責金額を上げる
対象となる災害ごとに免責金額を設定(引き上げ)する。

④修繕を引き受けの条件とする
修繕が十分でない場合は、「修繕したら引き受けします」などの条件を付けることでリスクヘッジをします。

⑤引き受けを断る

 

このような条件、または条件の組み合わせをすることでリスクを許容範囲に収めて契約を引き受けることを、厳格化という風に表現しているのでしょう。

あまり詳しく書くと悪用される可能性がありますので、これくらいで。

 

 

5.火災保険の値上げ

火災保険については、毎年のように値上げをしています。

 

編集部の記事には「保険会社の収益悪化によって保険金抑制が透けて見える」との記載がありますが、誤解を招きかねない表現です。

 

順番に説明していきます。

まず保険会社のディスクロージャー資料を見てみます。

保険会社の収支を見るにはいろいろな指標がありますが、シンプルに保険引受利益の表を抜粋します。

まず、東京海上社

(東京海上日動社 ディスクロージャー誌2022年度版より引用)

 

次に、損保ジャパン社

(損保ジャパン社 ディスクロージャー誌2022年度版より引用)

 

火災保険が赤字であることが、お分かりいただけると思います。

国内社は商品構成が似ていますから、他の保険会社も似たような内容になっていると思います。

 

外資系の保険会社は、少し異なります。

AIG損保社、昔はAIUという社名でした。

(AIG社 ディスクロージャー誌2022年度版より引用)

 

分母が違うので分かり難いかもですが、2021年度は火災保険の収支がプラスになっています。

この会社は5~6年前から、火災保険は1年契約のみの引き受けをしていました。

また、築古は引き受けを絞っていたと記憶しています。

(古い情報なので、詳しい方がいたらフォローをお願いします)

 

火災保険の赤字の最も大きな原因は自然災害の増加です。

自然災害の増加で火災保険は赤字が続いていますが、2022年3月期は大手各社は過去最高益を出していますし、2023年3月期も減益ながら利益を確保しています。

火災保険の保険料はあくまで経過分の保険料を計上し、未経過分は翌期に繰り越し、単年度ごとに決算に反映させますので、これから値上げするであろう保険料は、あくまで将来の保険金支払いに備えてのことです。

現在の赤字を埋めるために、値上げするわけではありません。

 

次に、最も損害率が悪いのがいわゆる「築古」物件です。

よって、そこにメスを入れたのが今回の措置かと思います。

 

どちらも火災保険を販売し続けるためには、必要な措置なんです。

 

 

6.保険金申請代行

保険金申請代行や火災保険スキームなど、色々な呼び方がありますよね。

「火災保険スキーム」という名称、私は嫌いです。

スキームって、、、犯罪ですからね。

過去にもコラムにしましたが、業界団体「特定修理業者」と呼び、こんなチラシで注意喚起をしています。

(損害保険協会HPより引用)

 

火災保険の値上げと一緒に報道すると混同されるかもしれませんが、値上げの主要因はあくまでも自然災害です。

近年の台風、水災では全社でその都度数千億の保険金が支払われています。

対して特定修理業者の影響は、、、累計でもせいぜい数億から最大でも数十億程度ではないかと推察します。

 

火災保険の値上げ幅が5%~10%程度だとしたら、影響はないに等しいですよね。

 

公共性のある商品であるはずの保険が、犯罪に利用されていることが問題なんです。

 

 

7.保険の本質

結論から言うと、保険の本質は「安心感」です。

経済合理性で考えるのであれば、保険など利用すべきではありません(笑)

 

本来は保険って「万が一」のためのものですよね。

が、いつからか「百が一」とか「十が一」のリスクについても補償されるようになってしまいました。

金融ビックバンと呼ばれた金融自由化により各社が商品開発競争をしたことや、近年の事前災害増加がその一因だと思います。

 

保険は大数の法則で成り立っているので、一定数の分母があってこそ。

「十が一」=「発生確率が10%」ということは1000万円の補償を買うのに「100万円+保険会社の事業費」が必要だということ。

本来、小規模高頻度の損害は、そもそも保険にはそぐわないことを、今一度ご理解いただきたいと思います。

火災保険はあくまでも火災、落雷、破裂、爆発、風災、雪災、雹災などかつての姿に戻っていくような気がします。

 

 

8.今後の対策

今後、火災保険の保険料が下がるには、自然災害が減る必要があります。

 

そんなことは、考え難いですよね。。。

 

築古の引き受けは厳しくなり、免責金額(自己負担額)は大きくなり、、、皆さんが望むような方向に行かないと思います。

なので、対策はありません!

敢えて言うなら、、、

 

①共済に加入
JA共済、県民共済や全労済などの共済は総じて商品改定が民間保険会社の数年後にやってきますので、こちらで数年は凌ぐという手があります。

②自家保険にする
自家保険とは保険に加入せずに、保険料相当分を積み立てることです。
保険料は損金にできるので単純に比較はできませんが、物件数が多い方は十分に検討に値すると思っています。
保険全てを自家保険にするのではなく、火災や水災など損害額が厚顔苦になるものは保険をかけ、破汚損などは自家保険にするような形が現実的だと思います。

③家賃に反映させる
個人的にはここを目指したいと思っています。

 

 

9.最後に

編集部記事のコメント欄には

「経年劣化や不正請求を保険会社がしっかりと見極めるべき」
「不正請求には厳正に処分すべき」

とのご意見もありましたが、実際には非常に難しい問題です。

 

まず、損害の原因はいろいろが要素が複合的に絡んでいます。「何かが飛んできて壊れた損害」と、「意図的に何かをぶつけて壊れた損害」を見極めることは、現実的には不可能です。

また、不正請求を処分する権限を、保険会社は持ちません。

保険金詐欺未遂で警察に持ち込む事案がないことはありませんが、経済合理性からするとやるべきではないことも、ご理解いただけると思います。

 

色々なご意見、ご不満があることは承知をしていますが、保険会社の事情について少しでもご理解をいただき、今後の対策に活かしていただければ幸いです。

 

 

今回のコラムは、いかがでしたでしょうか。

これから不動産を始める皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

また、簡単でも構いませんので、皆さんからの感想、ご意見のコメントをいただけたら嬉しく思います。

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