北国の大家です。
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本当にありがとうございます!
<東京土産>
知人から頂いた東京土産の人形焼きと雷おこしです。ディスティネーションではなく経由地の東京土産でした。
前回の固定資産税クイズは楽しんで頂けたでしょうか?
予想通り、所得税は詳しくても、固定資産税が苦手な方が多いようですね。
私もそうだったので、良く解ります(汗)。
今回は前回クイズの解説や、最後は裏技チックな取り組みまでご説明いたします!
<アジェンダ>
固定資産税
1.自治体における重要性
2.償却年数
3.評価額が下がらない!?
4.クイズ(第五問)の解説
5.まとめ
所得税
6.減価償却費を早く多く計上する
私は25年間、サラリーマン大家時代から、たった1棟で毎年100万円以上の固定資産税を支払っていたので、少し拘りがあります(汗)。
木造しか持たない投資家がRCを検討する時のお役に立てればと本誌シリーズを執筆しています。
ちなみに本コラムの執筆にあたり、市税事務所の償却資産課、家屋課、税務署の担当者に対して40分近くインタビューを行いました。
償却資産課の新人っぽい担当者には優しく教えて差し上げて、家屋課のエキスパートっぽい担当者には解りやすい説明に感謝の気持ちを伝えました。
もちろん税務署、償却資産課の担当者にも感謝しています!
1.自治体における重要性
まずは次の図を見て下さい。
出典:総務省
自治体の税収に占める固定資産税(都市計画税)の割合は全国平均で約47%です。
固定資産税(都市計画税)は自治体にとって重要な財源なのです。
そんな事情のせいか、固定資産税の税額は下がりにくい傾向があります。
2.償却年数
所得税で登場する減価償却とは若干違うテーブルが用意されています。
固定資産税は所得税のように残存価額が1円になりません。
最大でも当初評価額の20%までしか下がらないので、建物を持っている限り一生固定資産税を払い続けるってことです(汗)!
・所得税(会計)の耐用年数
木造 22年間
RC 47年間
会計と所得税では、減価償却の原則は全く同じではありません。
会計原則では強制償却で、毎年の減価償却が必要になりますが、法人税務(所得税)では会計原則の減価償却費用は、損金の上限として扱われます。
減価償却費を先送りすると所得税が増えるので、徴収側から見ると償却しないとことのデメリットが少ないのかもしれません。
いずれにしても、税務と会計が乖離しており償却の先送りがグレーと言われる部分です。
上場企業やIPOを目指している会社は会計原則を大事にするかもしれないです。
個人投資家(法人)はステークホルダーが金融機関、税務署だけなので、減価償却せずに決算書(利益)を改善、売却に備えて簿価を減らさないなどとする方もいるかもしれません。
・固定資産税(評価額)の耐用年数
便宜的に耐用年数と言っていますが、正しくは固定資産税の経年減点補正率が20%となる年です。
木造 15~35年間 ※㎡当たりの材料費と労務費による
RC 60年間
私たちが築23年で購入した木造アパートの固定資産税の耐用年数は20年でした。
木造は所得税(減価償却)と近い感じで違和感が少ないですね。
対してRCは60年償却なので、評価額が下がるのがゆっくりです。
半世紀以上をかけて償却するので、納税額が減る実感が少ないです。
3.評価額が下がらない!?
本題です。
固定資産税の評価額は、3年に1度の評価替えがあります。
計算式は次の通りです。
価格(評価額)= 再建築価格 x 経年原点補正率
問題は赤字の再建築価格です。
時間のある方は、次の画像(岩倉市のページ)をお読み下さい。
出典:岩倉市
再建築価格が新築時の価格なら、違和感のない所で合理的に算出されていると感じますが、何とこの再建築価格は物価の変動率が反映されます(大汗)。
これは岩倉市の資料(上記画像)でも、しっかりと説明されています。
私たちの自宅併設RCは築25年ですが、物価の変動率が反映されています。
今再建築したらどのくらいの単価になる?として計算された単価が築25年の評価額の算定根拠になっています。
例えば火災保険の再建築価格の単価が上がるのは、実際に建て替えの可能性があるので合理的な計算です。
但し固定資産税は、既に構築済(支払済、取得済)の建物に関する単価を、インフレ率を加味して、現在価値で資産価値を引き上げて評価額を算出・課税するのです。
言いたいことが、伝わるでしょうか(汗)!?
但し、前年度以上の評価額にはなりません。
その結果、納税額が増える事はない代わりになかなか下がらないねーとなります!
実際の例を見てみます。
私たちの築25年のRC(建物のみ土地を除く)は新築時の税額は約120万円でした。
今手元にある固定資産税の納付書の評価額は、再建築価格の上昇が無ければ(新築時の再建築価格を使う場合は)76万円です。
ですが手元にある実際の納税額は86万円です。
インフレ率を加味することで、失われた30年のデフレ下の期間中でもリニアに下がった場合と比べ1割以上高い訳です(涙)。
確かにインフレ率がプラスになった年が数回ありましたけどね・・。
4.クイズの答え
前回コラムの第五問の答えは「60年後の事は解らない」でした。
60年間のインフレ率が固定資産税の再建築価格にどう係数的に反映するかわからないからです。
5.まとめ
それにしても特にRCの耐用年数の長さには驚きますね。
・所得税(会計)の47年に対して固定資産税は60年
半世紀以上を掛けても2割までしか減価しない計算です。
・再建築価格にはインフレ率が加味される
本来、火災保険でもないのでインフレ率を加味する必要性もないのですが、これも自治体の約4割を担う重要な財源という事で、なかなか下がらない形になっているのかなと思います。
・基準を満たすと固定資産税は5年間半額になる
今現在、共用部を算入して40平米超/戸の場合に、不動産取得税ゼロ、固定資産税(都市計画税)50%オフの特例があります。
私たちもこの特例を利用しています。
この制度の活用を前提として、築10年~15年で売却すると、年間納税額の平均を下げる効果は大きいです。
これから新築・中古RCを購入しようとする方は、高額な固定資産税の納税見通しを割と正確にシミュレーションにインプットされる事をお勧めします。
保有期間が10年~15年程度なら、特例を受けられる場合は特例期間終了後の固定資産税は下がらない前提でシミュレーションするのが安全かなと思います。
6.減価償却費を早く多く計上する
話は変わり、ここからは所得税の減価償却費の話です。
固定資産税の話ではありません。
皆様は、中古物件を取得した際、固定資産(家屋)と建物付属設備を分けて決算・申告しているでしょうか?
札幌の市税事務所によると、多くの方が建物付属設備無しの家屋一本で申告しているようです。
担当者はこれはグレーだと仰っていました。
ではなぜグレーを放置しているかと言うと、私の邪推では税収が増えるからです。
建物付属設備の償却期間は15年以下です。
建物(家屋)は木造22年、RC47年なので、本来15年以下にできる建物付属設備をより償却期間の長い建物(家屋)にするのは、徴収側から見ると税額が増える事が期待できるので、グレーが放置されているのかなと思います。
ここで積極的に家屋と建物付属設備を分ける方法をご紹介します!
税務なので、あくまでも私たちの実践例という位置付けです。
市税事務所などで再建築費評点数表をゲットして、建物(家屋)と建物付属設備を分離します。
※マニアックな書類なので、市税事務所の担当者が知らない場合もありました。
この資料は、市税事務所の家屋課が、新築時に家屋と建物不随設備に分類した時の中間資料(ITっぽく言うと中間成果物)です。
建物付属設備は築15年以下で償却できます。
この資料を使うことで合理的に(減価償却費の総額は変わりませんが)早めに減価償却する額を増やせます。
私たちは築15年未満の物件では(税理士の指導の下)この方法で減価償却費を可能な限り前倒しで計上しています。
皆様も顧問の税理士と相談してみては如何でしょうか?
今回のコラムは如何だったでしょうか?
私達夫婦はコラムを通じて初心者の方に、不動産投資に取り組む際の「情報」と「勇気」を届ける事をテーマとしています。
我々の実践行動が、少しでも皆様のお役に立つ事を願っています。
―以上です―
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