北国の大家です。

いつもコラムをお読み頂き、ありがとうございます。

皆様から頂いた「コメント」「いいね」が執筆の励みになっています。

本当にありがとうございます!

 

<ストリートパフォーマ>

「いとしのエリー」をリクエストしました。

千円入れようとしたら隣のおばさんに「千円ってことないっしょ!私も二千円入れるから貴方も二千円にしなさい!」と言われて、二千円寄付(投げ銭)しました。

※写真掲載は本人の了解を得ています(顔が解らないけどね)。

 

先月は、家族信託の営業を受けた件を整理してコラムにしました。

SNSではコラムを読んで頂いた(専門誌に連載を持っている)東京の司法書士さんから激励のメッセージを頂きました。

その流れで、今回は相続税をテーマにしてみます。

<アジェンダ>

1.知識ゼロの背景

2.分野と勉強法

3.相続評価(土地)

4.相続評価(建物)

5.相続税シミュ(今年)

6.相続税シミュ(8年後)

7.まとめ

相続税が発生するのは相続人の9%程度ですが、不動産投資家なら相続税が発生する場合もありますよね!?

1.知識ゼロの背景

私は20代後半で父親から相続を受けましたが、相続の実務は全て本家の伯父にお任せしました。

実は最近まで、相続の実務では何をどうしたのか一切知りませんでした。

脱サラして不動産投資を始めた時は、早い段階で税務の勉強をしました。

不動産投資では、税務の知識で手残りが大きく変わると直感したからです。

専業大家4年目になり、振り返ると自身の勉強・協力者のおかげで、税務でも手残りを最大化できたと感じています。

広く浅く勉強して、細かい所は税理士のコンサルを受ける感じです。

買い進める上で必要だったのは、不動産関連の税、消費税、所得税、法人税、住民税あたりです。

今までもセミナーや知人大家さんとの会話で相続税の話が出る事もありましたが、とりあえず今は必要な知識ではないと、意図的にスル―していました。

それが最近は、親→私→子と3世代に渡る相続を考えるようになりました。

きっかけは家族信託です。

単純な人です(笑)

今回はゼロから始める相続税として、相続に関して何の知識もない私が、勉強を始めた結果を共有します。

本当に最初の一歩程度の内容です。

私の思考過程を解りやすく綴ってみます!

2.分野と勉強法

相続と言っても対策レベルではありません

物件を買う時に利回りをシミュレーションするように、まずは相続税額をシミュレーションできるようになることを目標にしました。

相続税対策は、その次のフェーズです。

自宅併設物件を題材に相続税の計算ができる事を目標に、まずは母→私への相続税額をシミュレーショできるようにと考えました。

勉強はこんな感じで進めました。

①ネットで情報を集める

②AIに聞く

③司法書士

保険会社の無料セミナーの無料相談と、区役所の無料相談を活用しました。

④シミュレーション

私たちの自宅併設RC、妻の実家(シミュレーションだけなので汗)の2つのケースについて、エクセルでシミュレーションを行いました。

⑤税理士

シミュレーション結果を、札幌市役所の無料相談で税理士に勘違い・ヌケモレがないか確認して頂きました。

ここまでが現在地(進捗状況)です。

⑥税務署

今月末に予約しています。

⑦コンサル税理士

相続戦略の相談に乗って頂きます。基本10万円以上掛かるらしいです。

母→私、私→子への個人・法人の相続税対策のスキームで相談に乗って頂くか検討中です。

 

3.相続評価(土地)

早速、不動産に限定して、自宅併設物件の母→私への相続をシミュレーションしてみます。

路線価、評価額などは若干ボカしています。

地 積  660平米(200坪)

路線価  15万円/平米(49.5万円/坪)

自宅割合 自宅3:借家7

被相続人(母)の持ち分1/2

賃貸併用住宅のため、減価償却費の算出時には面積比で3:7としています。相続税でもこの割合を使います。

母の持ち分は1/2のため、地積・建物評価などは1/2としました。

自宅・アパート部分に小規模宅地等の特例を使います。

 

・自宅 99㎡(30坪)

残された家族がその家に住み続けられるように創設された制度で、最大80%評価額を下げる事が出来ます。

評価額80%減(評価額×20%)で自宅の評価額を計算します。

(自宅)99㎡×(路線価)15万円x(特例)0.2

自宅(A)297万円

 

・アパート用地 231㎡(70坪)

限度面積は(自宅)90㎡×200/300 +アパート≦200㎡です。

自宅参入分を(自宅)99㎡×200/300=60㎡として換算します。

(限度面積)200㎡-(自宅参入分)60㎡

(アパートの算入上限)140㎡

 

特例対象面積に路線価を掛けて評価額を出します

140㎡までは評価額50%減でアパート用地の評価額を計算します。

(アパート)140㎡×(路線価)15万円→アパートx(特例)0.5

アパート特例(B)1,050万円

 

特例の対象外(140㎡超)91㎡×(路線価)15万円

アパート用地(C)1,365万円

 

特例と特例を超える部分を合計します。

アパート特例(B)1,050万円+アパート用地(C)1,365万円

→アパート用地(D)2,415万円

 

次の計算式で評価額から貸家建付地価額を算出します。

貸家建付地価額=評価額×(1-借家権割合×借地権割合)

※借家権割合とは・・

出展:国税庁 財産評価基準書

これは北海道の例ですが、借家権割合は全国の多くのエリアで30%のようです。

 

※借地権割合とは

出展:国税庁 財産評価基準書

青丸が借地権割合、赤丸の2,540Cは、254万円/平米、借地権割合がC(70%)という意味です。

上記は札幌の中心部(大通公園)です。

郊外の私たちの自宅併設物件では、借家権割合30%、借地権割合40%です。

貸家建付地価額を計算します。

アパート用地(D)2,415万円×(1-0.3×0.4)

→貸家建付地価額(E)2,125万円

 

自宅と賃貸建付地(アパート)を合計して土地全体の評価額を出します。

自宅(A)297万円+貸家建付地価額(E)2,125万円

相続税の評価額(土地の合計ア)2,422万円

となりました!

4.相続評価(建物)

■建物

固定資産評価額 3,000万円

自宅割合 自宅3:借家(アパート)7

 

建物(家屋)も3:7で案分します。

・自宅(F) 900万円

自宅はこの数字をそのまま使います。

特例は土地だけで、建物には特例は無いようです~。

 

・アパート(G) 2,100万円

次の計算式で評価額から貸家の評価額を算出します。

貸家の評価額=評価額×(1-借家権割合)

借家権割合は30%なのでこうなります。

2,100×(1-0.3)

→貸家の評価額(H)1,470万円

 

自宅と賃貸(アパート)を合計して建物全体の評価額を出します。

自宅(F)900万円+アパート(H)1,470万円

相続税の評価額(建物の合計イ)2,370万円

5.相続税シミュ(今年)

不動産の評価額は土地+建物なので、こうなります。

 

(土地の合計ア)2,422万円+(建物の合計イ)2,370万円

→(遺産総額)4,792万円

次に債務を控除した純資産を求めます。

アパートローン・リフォームローンの残債が持ち分1/2として1,200万円あります。

(遺産総額)4,792万円―(債務)1,200万円

→ (純資産)3,592万円

実際は葬式費用も控除できますが、ここではゼロとします。

次に、純資産に生前贈与加算を行いますが、これもゼロとします。

次に、基礎控除を行い、課税遺産額を算出します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数(私だけなので1です)

(基礎控除)3,600万円

 

(基礎控除)3,600万円 >(純資産)3,592万円

ここでは相続税がゼロになりました!

 

仮に母親一人の名義だった場合の相続税はこうなります。

(遺産額)8,504万円

(課税遺産額)4,904万円

4,904万円×20%―200万円

(相続税額) 781万円

母一人名義の場合だと相続税が発生した所でした。

相続税の税率はこちら。

出展:国税庁 財産評価基準書

6.相続税シミュ(8年後)

この土地は8年間で路線価が1.5倍になっています。

タラレバですが、今後8年間も同じ上昇率だった場合(8年後1.5倍)を同じ計算式でシミュした結果はこうです。

建物評価額:(今年)6千万円→(8年後)5千万円

負債:ゼロ

としています。

(相続税額) 202万円

僅かに相続税が発生してします。

母親の一人名義だった場合

(相続税額) 1,719万円

相続税は累進課税なので、相続人が一人の場合、基礎控除後の課税遺産総額が5千万円を超えたあたりから、インパクトが大きくなる感じです。

7.まとめ

今回は手始めに、相続税対策でもなく、単に相続税額をシミュレーションしてみました。

200坪は札幌郊外だと、庭付きの少し大きめの住宅地です。

そこにアパートを一棟建てただけで、(持ち分1なら)それなりの相続税になる場合もあるようです。

妻の実家に相続が発生すると、納税額は1億円超です(汗)。

ちなみに今回のシミュレーションは、無料相談の税理士さんに1時間かけて見て頂きました。

税理士曰く「良く調べたねー、だいたいあっていると思う。自信ないけど」という事でした(汗)。

今回は不動産だけでしたが、実際は現預金やその他諸々も相続の対象になります。

親から自分への相続だけでなく、今後は自分から子供への相続も考えたいなと思っています。

仮に投資家自身が終活として不動産を現金化しても相続は発生します。

専門家に丸投げするのが賢明な気もしますが、いずれにしても投資家には必須の税務かなと思います!

(※9月8日 9時、計算式を修正しています。)

 

今回のコラムは如何だったでしょうか?

私達夫婦はコラムを通じて初心者の方に、不動産投資に取り組む際の「情報」と「勇気」を届ける事をテーマとしています。

我々の実践行動が、少しでも皆様のお役に立つ事を願っています。

―以上です―