~このコラムは7年生大家が、次のステージに到達するまでの不動産に楽しく取り組む姿を記した「実践」コラムです~

 

皆さん、こんにちは。

ジュニアです。

 

 

早速ですが、皆さんは覚えていますか。

今から3年半ほど前の2020年2月、神奈川県逗子市のマンション敷地内の斜面が崩れて、通行中の女子高生が不幸にも無くなる事故がありました。

 

まずは被害者のご冥福をお祈り申し上げますとともに、この場をお借りしてご遺族の方には心よりお悔やみ申し上げます。

 

先月、この事故についてのその後の状況が報道されていました。

この報道に触れて、この事故は不動産を所有するものとして、マンション管理組合の理事長として、また保険会社に勤めるモノとして認識しておくべきだと、改めて感じました。

そこで今回、不動産の所有者としての責任について考えてみましたので、報道されている情報を元にコラムにさせていただきます。

 

 

1.事故の概略

私も当事者ではないので、事故については報道されていることしか知りません。

事故の概略については、以下のように報道されています。

「神奈川県逗子市で2020年2月5日午前8時ごろ、マンション敷地内の斜面が崩れ、市道を通行中の県立高校の女子生徒(当時18)が巻き込まれ死亡した。斜面は土砂災害警戒区域(イエローゾーン)で、県は事故後、一部が特別警戒区域(レッドゾーン)に該当すると公表した。

生徒の遺族は業務上過失致死容疑などで、マンション管理会社の関係者と区分所有する住人らを刑事告訴し、住人側に約1億1800万円の損害賠償も求めている。」(共同通信)

 

事故後の現場はこのような状況だったようです。

(国土技術政策総合研究所「2020(令和2)年2月5日神奈川県逗子市で発生した土砂災害の調査結果」より引用)

 

この擁壁は1960年ごろに造成されたもの。

今回はブロック積みの擁壁が崩壊したわけではなく、その上の土砂が崩落しています。

直前に大雨が降った訳でもなく、地震があった訳でもなく、突然崩落したそうです。

残念なのは、この前日、管理人さんがこの斜面に亀裂を見つけて管理会社に報告していたとのこと。

対策を打てた可能性はあったと思いますが、この報告が上がったとしても業者を手配するなどの時間も必要であり、直ぐに通行止めにするなどの対策は難しかったことでしょう。

 

 

2.責任の所在

上記のとおり、ご遺族は区分所有者とマンション管理会社を民事、刑事の両方で訴えています。

 

このような事故の民法上の責任について考えるときにベースとなるのは土地工作物責任であり、その条文の一部を以下に掲載します。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第717条

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

(中略)

前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

 

瑕疵があることが前提ですが、占有者、もしくは所有者がその損害を賠償しなければならない、とされています。

また管理組合、管理会社についても管理業務上の責任があることは、ご理解いただけると思います。

その他にも売主、売買仲介業者や建築設計者などにも責任が及ぶ可能性があると思われます。

非常に難しい問題です。

 

 

3.原因

この事故については、国土交通省国土技術政策総合研究所が調査を行っています。

その報告書によると崩落の主因は、「東北東向きの日当たりの悪い急傾斜面において、放射冷却及び強い季節風が相まって風化が促進され、崩落に至ったもの」とされています。

これ自体は、防ぎようがないものだと、私は思います。

もちろん斜面をコンクリートで覆うなどの方法はあるとは思いますが、擁壁増誠司やマンション新築時に対応しない限り、後にこのような対策を講じることは現実的にはないでしょう。

 

問題は、その斜面の管理を適切に行っていたか、ということでしょう。

その管理を行うのは上述のとおり占有者、所有者及び管理業務を行うもの、です。

 

 

4.訴訟と賠償

①刑事告訴
被害者の遺族は区分所有者、管理会社及び担当者を業務上過失致死や過失致死の疑いで刑事告訴しています。
また管理会社担当者は、亀裂について報告を受けたのに安全措置を怠ったとして業務上過失致死の疑いで書類送検されています。

 

②民事訴訟
被害者の遺族は区分所有者、管理会社及び管理会社担当者、加えて土砂災害防止法に基づく危険性の調査を尽くさなかったとして神奈川県に足してい損害賠償を求めて提訴しています。
なお、区分所有者及び管理組合とは本年7月に和解が成立したと報道されています。
推測に過ぎませんが、賠償金は管理組合の積立金をベースにして不足分があれば区分所有者で負担をするのかなと思いますが、その合意形成は簡単ではなかったはずです。
また、場合によっては管理会社に求償をすることもあるかもしれません。

 

③もうひとつの民事訴訟
この事故を受けて、区分所有者が設計者を提訴したとの報道もされていました。
所有者は被害者との和解が成立していますが、その賠償金を求償するのだと思われます。

それぞれの結末については、関心を持って見届けたいと思います。

 

 

5.まとめ

私が主に投資エリアとしてる横浜市、川崎市ではこの様な擁壁は珍しくありませんし、私自身、実際に擁壁を持った物件も所有しています。

もちろん土地工作物責任は擁壁に限った話ではありませんし、区分所有者にも無関係ではありません。

 

大家として快適な住居を提供することはもちろんですが、何よりも安全確保に努めることの重要性を強く認識し、必要な対策を講じることがマストです。

物件をお持ちの皆さんには、是非ともこの機会にご自身の物件の安全性について確認をしてみて下さい。

 

次回のコラムでは、土地工作物責任における保険でのリスクヘッジについて触れたいと思います。。

 

 

今回のコラムは、いかがでしたでしょうか。

これから不動産を始める皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

また、簡単でも構いませんので、皆さんからの感想、ご意見のコメントをいただけたらと思います。

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