築古物件で懸念される設備として配管が挙げられます。
水道水に使われている配管は一見しただけでは中の状態が不明です。
漏水が起こった際には確認することもありますが、
漏水する前に何とかしたいものです。
築20年超えの建物においては、
ほぼ間違いなく配管内面は赤錆でいっぱいです。
特に築古の建物では鉄管と言われる、
鉄製管の内面に亜鉛メッキしたものが使われており、
この配管は年月を経ることにより徐々に赤錆で侵食されていきます。
そして最悪穴が開き、水漏れとなるわけです。
最近の水道管は鉄管内面に塩ビをコーティングしたものや、
塩ビ系の配管を使うことが多くなってきており、
錆で侵食されたり穴が開くという不具合が起こり難くなっています。
特に気を付けたいのは築30年越えの物件です。
前述したように一見しただけでは何の不具合も見られない配管でも、
実際には既に限界まできている配管が大半を占めているでしょう。
それではそのような配管はどう対処すれば良いでしょうか。
一般的には配管の総取り換えです。
この場合、入居者は水道を使い続けなければならないので、
現状の配管は使用したままで新たな配管を施工しなければなりません。
そのため建物内部の配管スペースは使えません。
建物外壁に露出した形で配管していかなければならず、
とても大変な作業となると同時に大きな出費となります。
その他、ライニング工法と言い、
配管内部をライニングする方法もありますが、
施工当初は良くても、
この工法はじきにまた錆の発生が起こります。
そこで今回紹介したい工法は、
配管内部の赤錆を問題ない黒錆に変換するという方法です。
この言い方では「なんのこっちゃ?」と思われますよね。
内容を解説しますと、
一般的に赤錆というものは、
鉄材が酸素と水が触れることで赤錆を発生させます。
鉄というものはそのままでは不安定な状態なのです。
酸素を取り込むことにより酸化物となろうとする性質を持ちます。
このため、鉄系の材料は放っておくと錆ていくのです。
まぁ、これが赤錆の原因ですね。
普通に水道管に使われているSGP白管というものがあるのですが、
この配管は鉄管の内面に亜鉛メッキをして錆防止をしていますが、
このメッキは徐々に剥がれ、結局錆ていきます。
赤錆は腐食性があり、錆びることにより、
配管材(鉄)を徐々に侵食していき、
最終的には穴を開けるまでに侵食していきます。
反面、錆には黒錆というものがあります。
こちらは一般的な鉄に対して自然に発生することはありません。
赤錆のように侵食することは無く、
発生させた場合、鉄材の表面をコーティングする効果があります。
このため良性の錆といわれることもあるようです。
ここで話を戻しますが、
この悪性の赤錆を何とか除去できれば、
配管の寿命も伸ばすことができるのです。
そこで要約今回のテーマですが、
赤錆を黒錆に変換してしまうという技術があります。
詳しいメカニズムは割愛しますが、
給水管の最上流に管状の器具を取り付けるだけです。
この器具により水質を変えて赤錆を黒錆に変換させるとのことです。
水質を変えるというと飲料として大丈夫か?
と思われるかもしれませんが、
特に人体に影響があるものでは無いとのことです。
そしてこの器具には電気供給や薬品投入は一切無く、
メンテナンスフリーで半永久的に使用可能だそうです。
更には赤錆を黒錆に変えるだけでなく、
赤錆で侵食された肉厚を元に戻す効果もあり、
穴が開きそうになった肉薄の所も補修効果が見込めるようです。
改質された水は味も良くなり、良いことづくめの工法で、
なんか落とし穴があるのでは?と疑いたくなりますが、
今まで30年間クレームゼロということでした。
器具自体の値段は取り付ける管径により異なりますが、
数十万円といったところでしょうか。
築古の物件をお持ちの皆さんは、
一度検討されてみてはいかがでしょうか。
戸田 匠
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