長年?不動産投資に携わっていると感じることがあります。
それは、不動産投資を取り巻く環境は、
新規参入者や資産の無い人に厳しいという現状です。
こうした方たちを便宜上「不動産弱者」と呼ばせていただきます。
要は、普通のサラリーマンが副収入や老後のために
不動産投資を始めようとした場合、
成功を勝ち取るためには非常に苦労するということです。
まずは物件についてですが、
本当に良い物件は不動産弱者には回ってきません。
よくある儲からない典型的なものに、
新築区分マンション投資があります。
これは最初良くてもいずれは赤字になるものが大半です。
新築パッケージ型一棟物も同じくです。
一棟物は早めに売却すれば問題ない場合もありますが。
では、なぜ儲かる物件が一般の投資家には回ってこないのか?
それは、
不動産業者が早く確実に買ってくれる投資家を優先するからです。
こうした方々を便宜上「不動産強者」と呼びます。
また、仲介業者は不動産強者の元には不良物件情報は持ち込みません。
不動産投資をある程度経験している人は目も肥えている上、
その後のお付き合いもあるという理由もあります。
そのため優良物件は不動産強者!へ不良物件は不動産弱者へ!
という図式ができます。
特別なルートを持っている人は別ですが。
そして、仮に良いと思われる物件が見つかった場合、
この次の難関は融資です。
不動産弱者である普通のサラリーマンで
預貯金が1千万円以上ある人がどれ程いるでしょうか。
1億の物件を買う場合、自己資金で1千万程度は必要になります。
実際には7%程度という意見もあるかもしれませんが、
物件によってはこれくらい必要な場合もよくあります。
仮に1千万円の蓄えがあったとしても、
それを全て不動産の頭金に!というのも勇気のいることでしょう。
恐らく潤沢な資金を持っている方は不動産強者であり、
一部上場企業またはそれに準じる企業に勤めている方でしょう。
または医師、弁護士等の上級士業の方々でしょう。
元々の資産家もこのカテゴリに含まれます。
物件が見つかり、銀行融資をお願いする場合、
現在ではオーバーローンというのは結構難しい状況です。
良くてフルローンではないでしょうか。
この場合、前記したように諸経費分(1割程)は自己資金となります。
ここで諸経費が無い人はスタートできません。
さらには、融資を実行してもらうためには審査があります。
この審査が不動産弱者には非常に厳しいものとなります。
審査基準には金融機関によって差はありますが、
どの金融機関でもある程度の収入や自己資金の条件があります。
同じ物件の融資審査でも、
不動産弱者は自己資金1割入れても融資不可である一方、
不動産強者はオーバーローンで融資が出た!
なんて状況は普通にあります。
しかも不動産強者の融資金利は低いのですからその差は大きいです。
このような不動産投資環境の中では、
優良物件を見つけるのも難しく、
もし良い物件が出てきても今度は、
融資が通らずに涙を飲むことが多いでしょう。
そして結局は不動産仲介業者とグルになった融資で、
不良物件を買ってしまうなんてことになるわけです。
そうした不良物件を業者の話術に騙されて買ってしまい、
購入後すぐに大規模修繕が必要になった、
なんて物件を私は山ほど見てきました。
資金は購入時諸経費で使ってしまい、
多額な返済費を抱えた投資家の方であれば絶望します。
何事においても最初は大変ではありますが、
不動産投資においては、
他の投資以上にハードルが高いのは確かだと思います。
簡単に買える物件、
それは要注意物件なのかもしれませんよ!!
戸田 匠
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