◆どちらが良い?
いきなりですが、質問です!
A.インフレ率4%のなか、給料が2%上がった
B.インフレ率0%のなか、給料が2%下がった
あなただったらどちらがいいですか?
勘の良い方はお気づきだと思いますが、どちらも2%の給料下落なので変わらないはずですよね。
ところが、世の中ほとんどの人は、給料上昇を喜び、給料下落を嘆く傾向にあると言います。
なぜなら、人は損失よりも見た目の利益の方が良いと思うからです。たとえ結果は同じだったとしても。「損失を嫌う」傾向にあるのです。
◆とある会社での実験
このことを証明するために、行動経済学者が実際にある会社で実験を行いました。(出典「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」)
とある会社の従業員をAグループとBグループの半数に分けて、給料に関して次の告知を行ったのです。
A.Aグループにインフレ率0%のなかで7%の賃下げを告知
B.Bグループにインフレ率12%のなかで5%の賃上げを告知
すると、実質所得はどちらの場合も変わらないにも関わらず、Aグループの62%の従業員が「この賃下げは不当だ!」と考え、なかには怒りをあらわにする人もいたそうです。
一方で、Bグループで「この賃上げは不当だ!」と考える人は22%に留まり、不平不満を爆発させる人はいなかったそうです。
とても興味深い実験結果ですね。
◆実験結果から分かること
このような実験から、私たち人間の感覚器官は、絶対的な数字で判断するよりも、むしろ変化や差異で判断する傾向があることが証明されました。
たとえば、同じ10度の川の水でも、極寒の冬の時期に入ると「温かい」と感じ、真夏のうだるような暑さの時期に入ると「冷たい」と感じやすですよね。
これと同じ原則が、富や名声や健康といった、感覚器官には関係の無いところにも当てはまることが証明されたのです。(「プロスペクト理論」と呼ばれ、ノーベル経済学賞受賞のきっかけになった)
今、世界中がインフレへ動き、日本もインフレへ突き進もうとしている中、私たちの考え方や意思決定にどのように影響を及ぼしているのか、とても勉強になります。
◆値上げラッシュ
ところで、昨年、息子の通うサッカースクールの月謝が8800円 → 11000円へ値上がりしました。
この月謝の値上がり後、スクールをやめてしまった子が何人かいました。「この子は卒業までいるだろう」と思っていた昔からいる子ほどやめてしまいました。
一方で、妻からは「毎月家族のお財布に入れているお金を増やして欲しい」と言わました。
プロスペクト理論が身に沁みます。。。(涙)
◆日銀「マイナス金利解除見送り、大規模緩和を維持」を決定
昨日(1月23日)、日銀は金融政策決定会合で「マイナス金利の解除を見送り、大規模な金融緩和策の維持」を決めたと発表されました。
年始の挨拶で「今年は金利上がりますかね?」と尋ねたところ、メインバンクの支店長が「金利は上げられないですよ」と言っていたことが思い出されます。
日本政府は、目の前の痛みを避けて、このままお金を刷りまくりインフレの道を目指すようです。
しかし、私たち不動産投資家は、簡単には家賃を上げたりできないですよね。長く住む入居者ほど去ってほしくないですし(サッカースクールを去ってしまった子のように)。
株価も不動産価格も上昇し利益を享受する一方で、インフレ&円安によって気づかない損失を被っている可能性もあります。
また、お金も溢れ、物も溢れ、幸福度を感じるラインもインフレ傾向にあります。
プロスペクト理論に惑わされず、相対的な幸せではなく、主観的な幸せを感じていきたいなと思った次第です。
◆編集後記
すごく単純に言ってしまうと、日銀が金融緩和を続けてマイナス金利を維持するってことは、これからも株価は上がるかもしれませんが、円安になるってことです。
株で儲かってもそれ以上に円の価値が下がったら、いってこいであんまり意味ないですよね。。。
どうにかこの流れを上手く掴みたいですね!
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