融資戦略に明確な正解はありません。

ただ、僕自身が「なかなかレバレッジを活かしきれていないなぁ…」とモヤモヤすることがよくあるので、考え方を一度整理してみました。

※決して無借金で(または多くの頭金を投入して)不動産経営を進めるような考え方を否定する意図ではありません。

レバレッジを追い求めると規模拡大が加速する

ROIとは『Return On Investment』の略語です。投資収益率や投資利益率とも呼ばれます。

物件単体を評価する場合は『利回り』がひとつの指標ですが、一定規模の物件を融資を利用して購入する場合、ROIを最重要項目とする投資家も多いです。

ROIの計算方法は『(年間家賃収入ー年間諸経費)÷(物件購入価格+購入時諸経費)×100』です。

イメージとしては『購入時に支払った自己資本(購入時諸費用を含む)を年間のキャッシュフロー(家賃収入から融資返済や経費などを差し引いた金額)をもとに年々掛けて回収できるか?』を判断する指標です。

収益性が同じであれば『自己資金を抑える』ことと『融資期間を伸ばしキャッシュフローを増やす』ことができればROIは大きくなり、次の物件購入へのチャンスが広がります。

物件条件だけを追求するのは長期的には良くない?

不動産投資を始めた頃は「想定利回りを堅実に達成できるか?」を重視していましたが、今振り返れば、それだけでは視野が狭かったと反省しています。

その背景には「余程、リスキーな物件に手を出さなければ(多少の誤算はあるものの)一定の入居率を達成できる」と感じる場面が増えてきたことです。

正直、融資戦略は少し軽視していました。

たまに「不動産投資は融資が9割」などと聞くこともありますが、その意味が最近少しだけ分かってきました。(それでも9割は言い過ぎですよね?)

今更ですが、ROIを追求し適切な物件を最適な融資条件で購入し続けていくことが不動産投資の醍醐味(セオリー?)だと感じます。気付くの遅いけど。

「そこまで分かっているならさっさとROI重視に切り替えれば良いんじゃない?」と言われそうですが、現時点での僕の考え方では、まだROI重視に振り切れていません。

微妙な融資をみずから選んでしまう

仮に1億円の物件に対して、同じ金融機関から次の2パターンの融資条件を提示されたとします。

・頭金1割の金利2%台、返済期間30年
・頭金2割の金利1%台、返済期間20年

細かな計算は割愛しますが、恐らく前者の方がROIは2倍以上になるはずです。

自己資金を温存できるし、返済期間が長い分、キャッシュフローはどんどん貯まります。なので早い段階で次のステップに進めます。

ただ僕は多少は悩みつつも、後者を選んでしまいます。

大家仲間や付き合いのある不動産会社に物件と融資条件の組み合わせについて相談すると、よく「物件は悪く無いですが融資は微妙(ダメ)ですね笑」と言われます。はい、分かっています。

僕がROIを追求しない(できない)理由

言い訳がましいですが、一番の理由は『規模拡大のためのスピードを求めていない』ことです。

もう少し具体的には『少なくとも一年の間に二棟も三棟も次々に買い足していきたいと考えていない』ことが理由です。

僕は小心者なので高額な借金は怖いです。

もう少し補足すると、資産が大きくなることに伴い借金の額が増えることは許容できます。ただ、貸借対照表の自己資本比率が減り続けていくのは心配です。

土地値比率が高く資産性のある物件を買い続けることができれば問題ないのかもしれませんが、やっぱり急速な規模拡大により自己資本比率は減少傾向になると思います。

加えて、買いたいと思える物件が次から次に出てくるような経験も少ないです。(これは努力不足だと痛感しています。)

コロナ禍前後より「今年こそは物件価格が下がるのではないか?」という意見がちらほら出ますが、実際にはそうなっていませんよね。『下がる下がる詐欺』です。

なので「今無理して買い急ぐ必要ないんじゃない?」「市場相場なんて意識せずドルコスト平均法のように緩やかに買い足せていければ良いんじゃ無い?」という考えに落ち着きます。

消極的ですが、極端な高値掴みは避けられるし、今の自分にはそれで十分なんです。

今の自分の物件入手ルートや考え方などを踏まえると「ROIを犠牲にすることによる機会損失はそれ程大きくない」という結論に至ります。

勿論、胸を張って主張できることではありませんし、いろいろと改善の余地はありますが、現在の市況ではこんな感じの考え方で少しずつ買い進めていこうと思います。