自己紹介
はじめまして。この度、ご縁あって楽待新聞でコラムを書かせていただくことになった。どうぞよろしく。ここでは「テック大家さん」と名のらせていただく。
筆者はサラリーマン27年、賃貸経営20年続けてきた、いわゆる兼業大家さんである。
サラリーマンとしての仕事は「ザ・ソフトウェア開発」というべきもの。
Windows 95 という当時画期的だったOSが発表された頃からアプリ開発の仕事を始め、組み込み機器のソフト開発や、オフショアによるソフトウェア開発プロジェクトのマネジメント、アジャイル開発などをやってきた。
趣味でも、その手の技術にのめり込む方だ。
50を過ぎた今でも最新のプログラミング言語でIoTやWebのアプリケーションを自作する。そう、根っからのテクノロジー大好き、ソフトウェア・エンジニアなのである。
実は、探究心はソフトウェア・テクノロジーに留まらない。勉強好きが高じて、よせばいいのに仕事しながら通信でMBAを取ったりもした。
一方、賃貸経営に目覚めたのは、来年成人式を迎える娘が妻のお腹の中にいる頃のこと。
かの有名なロバート・キヨサキの「金持ち父さん 貧乏父さん」という書籍を読んで始めた口だ。不労所得を得ることで、仕事を辞め給料がなくても、趣味でテクノロジーや「なんやかんや」を探求できるようにと考えたのだ。
おかげさまで、現在は東京・神奈川に1棟モノを4棟所有。1K中心だが総戸数は40戸弱。年間収入1,500万円程度の事業に成長した。
もっとも、賃貸事業の拡大は、元ゼネコン設計部の社員だった妻の手腕によるところが大きい。DIYも含めて、妻がリノベーションの設計・施工管理などを行うことでコストを抑えて物件価値を高めてきた結果なのである。
IT+DIYがテック大家さんのテリトリー
直近では、神奈川県の箱根町で物件のリノベーションが動いている。観光業を題材にするニュースでよく取り上げられる「あの」箱根だ。
箱根に物件を購入したのは2019年。「コロナ禍」というコトバとは無縁の時期である。
物件購入後、妻、総監修のもとフルリノベーションを開始。2023年になってようやく入居開始したものの、稼働しているのは一部のみ。リノベーション工事は、2024年の箱根駅伝で青山学院が華々しく優勝したあとも続いている。これが筆者の状況だ。
リノベーションのコンセプトもご紹介させていただこう。
この物件は、首都圏と箱根の2拠点生活向けのソーシャル・リビングをコンセプトとしている。シェアハウスのように共用のリビングがあったり、コインランドリーが完備されていたりと、普通の賃貸とはおもむきが異なる。
筆者テック大家さんの役割は、IT関連の業務全般をDIY的に進めることである。
入居者向けのインターネット回線の準備から、スマホ対応のオートロックシステムやIPセキュリティ・カメラ、プロモーション用のWebサイトの立ち上げ、など。全てDIY的に自分でやってきた。
本業のサラリーマンや趣味で培った知識をフル活用してコスト削減に貢献している、というわけだ。
情報テクノロジー(IT)もDIYの時代
「DIY」とはDo It Yourself の略で、自分でやるという意味。読者の中にはDIYと聞いたら大工仕事をイメージする方が多いのではないだろうか。
だが、ITが専門の私からすると「世の大家さんよ、ITもDIYするのはどうだぃ」と言いたい。
YouTubeなどネットの情報で大家さんが学べることが増えた。ちょっとした大工仕事ならネットコンテンツで十分学べてDIYが簡単にできる時代だ。
同じことは情報テクノロジーにも言える。ネットには変化の激しいITでも最新情報を学べるコンテンツが豊富に存在するようになった。
また、コストの面も驚くべき変化がある。
スマホの普及とそれに伴うクラウドサービスの繁栄は、サービスやハードウエアの価格を極限まで低下させた。そういったサービスやハードウェアを自分で仕入れれば、人に頼むより、格段にコトが安く運ぶ。
筆者がソフト開発を生業としはじめた1990年代後半なら、自宅にネットワークを引くには大きなコストと知識が必要だった。家でLANを組もうとルーターを買おうものなら数万円はしたものだが、今や1万円でお釣りが来る。
クラウドという言葉もよく聞くだろう。ネットサービスも無料または、従量課金(使った分だけ払う)という考え方も浸透してきた。
自分にとって必要な技術が正しく認識できて条件があえば、低価格で使えるネット上のサービスもみつけることが可能だ。
つまり、大工仕事だけでなく、ITもやり方次第でDIYできる。それによるコスト削減の恩恵を享受できる時代なのである。
テック大家さんが楽待新聞で取り組むこと
とはいえ、情報テクノロジーは根本的な技術や背景がわからないととっつきにくい面もある。
結果、ネットワークやセキュリティなどの分野は、知識がないために業者に丸投げしがちな部分ではなかろうか。
しかし、基本的なIT技術をきちんと理解すれば、大家さんが自分でできる世界は広がるのだ。自分でやらないにしても、業者のサービスが適正な価格なのか判断が容易になるはずだ。
テック大家さんとしては、自身の賃貸経営の実例を踏まえ、大家さんが使える情報テクノロジーを楽しく伝えていきたい。賃貸経営でITをこうやって使うんだ、と読者が理解できる。それが目標だ。
サラリーマン・エンジニアとしての道を長く歩んできたという強みを活かし、技術背景から概念、難しそうな横文字(?!)が何を意味するのか、などなど。本格料理が手軽に作れるレシピ本のように、大家さんのためのIT情報をまとめていきたいと考えている。
楽待新聞のコラムを通じてテクノロジーを正しく理解することで、日本の賃貸経営がより近代的でスマートになる世界を目指すつもりだ。
どうぞよろしく。
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