◆失敗からのスタート

 「ななころさん、この物件、ヤバい物件でした・・・」

 

 楽待コラムの第一話を読んでくださっている方はご存知かもしれませんが、私が競売で落札した物件は素人が手を出してはいけない物件でした。

 

 落札代行を依頼した不動産会社の社長さんから電話があり、奈落の底に突き落とされました。血の気がサーッと引いていきました。

 

 そこからは苦労の連続。「あぁ〜、失敗してしまった・・・」と何度も自分を責めたり、落ち込んだり、情緒不安定になりました。夜も良く眠れなくなりました。 

 

 私の不動産投資は失敗からのスタートでした。

 

◆一番怖い失敗とは?

 ところで、みなさんにとって不動産投資における「一番怖い失敗」ってなんでしょうか?どうなったら「失敗」という定義はあったりしますか?

 

 想定通りのキャッシュフローを得られない状態でしょうか?銀行へ返済ができなくなり自己破産することでしょうか?相次ぐ想定外のトラブルが発生してキャッシュアウトすることでしょうか?

 

 「失敗」の定義は人によってさまざまだと思いますが、私が一番怖いと感じているのが「曖昧な失敗」です。

 

 自分では失敗しているという「自覚のない失敗」です。「成功しているのか失敗しているのか分からない状態」のことです。

 

 私のようなヤクザ物件に手を出してしまったとか、自己破産してしまったとか「明らかな失敗」でしたら、挽回のしようもあります。私も必死になって失敗を取り戻そうとしました。

 

 ところが、株やFXと違って追証もありませんから、失敗の自覚が無いまま or 失敗から目を背けたまま、10年20年となんとなく運営できてしまいます。

 

 ただ、10年後20年後に挽回しようと思ってももう遅い。年齢を重ね気力も体力も無くなっています。これが最も怖いんです。。。

◆夫が知識のないままワンルーム購入

 ちょっと話は変わるのですが、以前旦那さんが知識がないままワンルーム購入してしまったという女性から、コメントを頂きました。

 

=== 以下、コメント ===

 コメント失礼します。

 夫が27歳の時に知識がないままサブリース(解除難しい)のワンルームを購入して、今売却に悩んでいます。忙しい夫に変わり私も勉強を始め、こちらのブログも拝見させていただきました。

 

 ある投資家ブロガー様からは「収益化期待できる物件を買ってサブリース物件のローンを繰上げ返済しては?」とアドバイス頂きましたが、ななころさんはどう思われますか…?お忙しいと思いますが、ご意見いただけると幸いです。

 

=== ここまで ===

 

 これはやっかいです・・・サブリース付き新築ワンルームを購入してしまった場合の挽回は、非常に難しいですからね。

 

 保有していても儲からない。売ろうと思っても売れない。20年後30年後にやっと残債が減ってきたと思ったら、もう定年間近もしくは老後。

 

 旦那さんもおそらくは失敗に気づいているんだと思うのです。ただ、「まさか自分が失敗している」なんて思いたくないでしょう。

 

 できれば目を背け続けたい。仕事の忙しさにかまけていたい。奥さんにまかせておきたい。奇跡を待ちたい。

 

 この状態が一番怖い失敗だと思うのです。

 

◆失敗の定義

 このコラムを読んでくださっている方には、これから不動産投資を始める方もいらっしゃると思います。ぜひ「失敗の定義」を最初に決めておくといいかなと思います。

 

 どうなったら失敗なのかを自分の中で定義しておくのです。

 

 「失敗しよう」と思って始める人はいないと思います。ただ、株やFXといった他の投資と違って、不動産投資はどうなれば成功でどうなれば失敗かが分からづらいところがあります。

 

 失敗だと気づくことができれば、そこから必死になって勉強して挽回することもできます。最初に新築ワンルームを買った直後に失敗を自覚し、数年で挽回して脱サラまでたどり着いた人が周りに何人もいます。

 

 ですから、最初から「失敗の定義」をしておくことも重要なんじゃないかと思っている次第です。

 

 

◆編集後記

 最近、息子の通う小学校の教育を見ていると、ひどく失敗を恐れているように感じます。

 

 子供たちが失敗しないように失敗しないように授業をしているんです。

 

 でも、人生で一度も失敗しない人なんていないのですから、できる限り若いうちから失敗をたくさん経験しておいた方が良いと思うのです。

 

 大人になってから失敗して、人生取り返しがつかなくなることだってありますからね。