ワンコから一言:実需に売れてよかったね!

 

 さて、分譲タイプのファミリー区分マンションを購入し、数カ月前に、売却できるかどうかというコラムを書いたのだが、購入検討の引き合いは入居者の方からで、その入居者の方が育児休暇中の住宅ローン申請ということで、住宅ローンが承認されるかどうかというのが、焦点になっていた。(←ここまでが、前回のコラム)

 けっこう審査が通るのは厳しいかなぁ、という感触であったが、いわゆる一般ローンではなく、さすが住宅ローンということで、某地銀(住宅ローンを申請するなら、このS銀行、狙い目かも)から、融資承認がおりたということで、一気に具体化することになった。

 そんなワケで、本件、売買契約が確定し、引渡しも完了したので、所有し、賃貸した2年5カ月の運営実績を開示してみる。

 ちなみに、この区分マンションの取得については、長年付き合いのある資産管理会社からの紹介で、私募入札に参加させてもらって落札した物件である。

 

 ◆ 売買清算結果(キャピタルゲイン)

 購入価格 :2,211万円(自己資金:111万円)
 初期費用
 仲介手数料:  75万円
 登記費用 :  38万円
 火災保険 :  17万円
 物件取得税:  22万円

 諸経費計 : 152万円
 自己資金計: 263万円

 物件売却額:3,200万円
 簿  価 :2,158万円
 諸手数料 : 112万円
   税引前利益: 930万円

 残  債 :1,904万円
 
諸手数料 : 112万円 
 税引前CF:1,184万円

 売買投資総額:2,475万円(購入費+諸経費総計)
 売買純利益(税引前のキャピタルゲイン):921万円
 投資回収率:137

 ◆ 運用清算結果(インカムゲイン)

 家賃収入 :15.5万円 ※購入時14.3万円
 累計家賃収入:522万円 

 諸経費計 : 171万円
 ※減価償却除く
 融資返済計: 245万円

 総運用CF(税引前のインカムゲイン):106万円

 キャピタル+インカム総収益:1,027万円
 総投資回収率:141%
 自己資金回収率:385%(自己資金投入263万円)

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 結果的には、263万円の自己資金を投入して購入した物件を、2年5カ月保有してから売却、その結果、1,184万円の現金を手に入れたことになり、キャッシュベースで921万円の純資産増となった。

 もちろん、これは、購入した法人の利益になるので、しっかり課税されることになり、実効税率で試算すると、222万円の納税が発生する。

 その結果、税引後のトータル収益は≒700万円というのが、今回の投資結果ということになる。

 

 すぐに気づくポイントであるが、本件は、想定通り売却できてラッキーだったね、ということなのだが、インカムゲインでは、ほぼ利益が出ておらず、インカムゲインの実態はチャラである。

 融資を使って区分マンションを購入して、インカムゲインを頼りにするのは、厳しいなと改めて実感した次第。本物件の購入時の入居者の家賃は、14万3,000円、その後、家賃を15万円に改定、現在は、家賃を15万5,000円に改定して入居中ということで、家賃をアップさせながら運営してきたにも関わらず、2年半のインカムゲインの総収支(元本返済もマイナス計上した上での計算ではあるが)が、106万円という結果である。

 

 あと、分かってはいたけれど、売却まで実践した上で、改めて実感したのは、不動産というのは諸経費がけっこう発生するんだなという点。

 2,210万円で購入した区分マンションを3,200万円で売却したといえば、大成功ぢゃないかと思われそうだが、実態は、前述したとおり、購入時には、仲介手数料やら登記費用やら火災保険やら物件取得税で、計152万円手出ししており、売却時にも112万円の手数料を手出ししているので、計264万円の手出しをしている。

 本件は、高値で売却できたからいいものの、買値と同じ価格で売却するようなケース(不動産、特に建物は経年劣化するので、買値と同じ価格で売却できる物件は、かなりの優良物件といえるにもかかわらず💦)では、大きく手数料負け(トータル収支マイナス)となってしまっていたという実態だということである💦

 とはいえ、インカムゲインと比して、キャピタルゲインで得られる現金増のインパクトは大きく、今回の売却は狙い通りの結果となった。

 本件の教訓としては、売買相場や資産価値から判断して、明らかに安く買える物件だと確信できない限り、キャピタルゲイン狙いの不動産投資は、リスクが大きい(リスクが大きすぎる)ということかと。