前回のコラムから少し時間が開いてしまった。

毎回テック大家さんのコラムを楽しみにしている読者の皆様(いるのか?)には、お待たせして申し訳ない。

 

さて、突然だが、賃貸物件オーナーの皆さんは現在の所有物件の家賃設定に満足しているだろうか

 

新しい生活を切る人も多いのが4月。ご存知のように、賃貸市況は4月に向けて1月あたりから動きが出てきて、ここ3ヶ月くらいは一年でもっとも入居が決まりやすい時期でもある。少しでも家賃を上げて収入を増やしたいといいうのがオーナー心理。この時期に運良く家賃を上げられたらオーナーもいるかも知れない。

そこで本日は、1戸あたりの収入アップを目指して実践中のことを書いてみたい。

観光地の賃貸という特殊事情

筆者はプロフィールにある自身のブログ「Tech Landlord(テック大家さん)」でも書いているように、観光地として名高い「箱根」で1Kの賃貸物件を1棟所有している。

箱根もここ3ヶ月くらいは慌ただしかった。

コロナ明け、どこの観光地も客足が戻ってきているのはメディアでよく目にする話。

箱根ももちろん賑わっている。そのためであろう、ホテルや旅館などの宿泊施設従業員の採用増にともない、賃貸需要も増えているのだ。

結果として筆者所有の入居者は、土地柄もありホテル従業員が多い。法人契約で寮として借りていただいている部屋もある。

 

そして嬉しいことに、ここ最近ようやく満室になったのだが、未だに不動産屋からの問い合わせがきているといった状況だ。

需要があるのはよいのだが、法人契約ともなれば家賃も叩かれる。オーナーからすると家賃収入減は頭の痛い問題である。

 

ターゲット層を変える。いや、もとに戻す!

当物件はフルリノベして運営しているのだが、建築家でもあるうちの奥さんがコンセプトから考えて中古物件のリノベーションを実施したものだ。

実は当初、入居者のターゲットとして考えていたのはホテルの従業員などではなかった。

観光地箱根のメリットを活かして、二拠点居住を考えるような首都圏に棲む人の拠点をイメージしていた。

そのため、そのようなターゲット層にリーチできるようにと、筆者がドメイン名(URL)も取得してサイトを立ち上げ当物件のコンセプトを説明することにした経緯がある。

 

だが蓋を開けてみると、ホテル従業員で満室に。

ありがたい一方で、ものごとは、なかなか思ったようにはいかないものである。

 

ところが、あくなき探求心と起業家精神旺盛なうちの奥さんは、満室で満足しなかった。

1戸あたりの家賃アップを目指し、改めて当初コンセプトを追求することにしたのであった。

 

どういうことか?

 

会員制のシェアリング(共有型)賃貸をやりたいというのだ。

 

つまり、1室丸ごと1人に賃貸するのではなく、会員数名を募り、そのメンバーで1室を共有するのだ。その分、会員一人が支払う家賃(会費?)は安い。オーナーは(会員がちゃんと集まれば)普通の賃貸よりも高くかせる可能性がある。Win-Winなのだ。

 

ターゲットとするのは、首都圏に自宅があるがたまに長期に箱根に滞在して遊びたいと思っているような方である。別荘を持つほどでもない、賃貸を借りっぱなしにするのも無駄。昨今は会員制ホテルもあるけど、食事が毎回外食ってのもいやだよね…

そんな考えを持っているような人が想定ターゲットだ。

 

先ほど当物件は満室になったと言ったが、実は全16室のうち2部屋はオーナーキープ。なんのことはない、オーナー自身も二拠点生活をしているのだ。そこで、オーナーキープの1室を使って新たな共有型賃貸の仕組みを模索中している、というわけだ。

 

会員資格(?)も考えてみた。例えばこんな感じ。

  • ネイチャー・エコ・サステイナブル志向
    • 自然が好きで、自然と共存・共生したい、という思いをもつ
  • アート志向
    • 芸術や建築に興味があり、自分なりのアートに対する目線がある
  • 食・健康志向
    • 健康的で自然な食べ物に興味があり、意識して選択する考えががある

こんなこところに賛同してもらえる人が会員になってもらえたらいいよね、というイメージ。

 

楽待のコラムでは直接リンクは示さないが、ご興味があれば筆者プロフィールからたどって頂けたらと思う。

民泊ができない理由は「融資」

ところで、観光地に物件を持っているのであれば、民泊でもやればいいのでは?と思われた読者もいるかも知れない。

ごもっとも。奥さんも当初は民泊も視野に入れていた。

だが、問題は「融資」だった。

当物件を中古で購入するときに銀行から受けた融資。その条件が民泊をしないことだったのである。

筆者の自宅は東京で、箱根に元からゆかりがあるわけでもない。そんな筆者に中古の物件購入時の融資してくれたのは、銀行にとても感謝している。

が、やはり観光地のメリットを生かしたい。

最近では、観光地として「バブル」とまで言われている箱根の物件となればなおさらだ。

所有物件サイトの構築とSEO対策のメリット

話をシェアリング型賃貸に戻そう。

民泊や旅館業では、寝具の入れ替えや清掃などのサービスを提供するのが基本である。

今回筆者らがやろうとしている会員共有型の賃貸は、そういうところは借りる人の責任でやってもらおう、というものである。つまり、宿泊施設ではないく、あくまで賃貸住居なのだ。

これを始めるに当たり、筆者が立てた独自ドメインの自物件の紹介サイトが役に立った。サイトを経由して問い合わせが入り、会員希望者がぽろぽろと来ている。

単なる賃貸物件として入居者募集を不動産屋さんに依頼しているだけだと、こうはならなかったろう。

 

ネット上でサイトの運営するにはSEO(Search Engine Optimization)という技が必要になってくる。筆者テック大家さんはSEOの専門家ではないが、自分のブログを運営していることもあり、いくらか知識はある。

所有物件専用のサイト構築とかSEOに関しては、不動産賃貸運営の観点から別記事で少し書きたいと考えている。

会員共有型の賃貸はまだ始めたばかりでどうなるかわからない。仕組みもまだまだこれから決めないといけないし、準備も途中段階。本当にうまくいくのか、筆者としてはドキドキなのである。実践大家さんコラムでは共有型賃貸の「その後」に関しても別途記事にしていきたい。

 

ということで、今日のところはここまで。

テック大家さんのコラムを楽しみにしている読者の一人になって頂けたら幸いである。