楽待実践大家コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。
突然ですが、皆さんは不動産投資において、最も大事な数字は何だと思いますか?不動産投資の記事などでは、規模を表す数字で語られることが多いかと思います。例えば、
総投資額
総戸数
年間家賃収入
などですね。
総投資額=総資産
としているものも見かけます。あとは、
年間キャッシュフロー(税引き前)
返済比率
とかでしょうか。しかし、最も大事な数字は
純資産
だと思います。”ストレージ大家ひら”さんも
いまいくらずつ純資産が増えているのか?それが全て
とコラムに書かれておりました。全くの同感です!
純資産を正しく把握するための準備
このコラムでは簡単のため(私は法人を持っていないため)個人を前提に考えます。純資産(個人事業主の勘定科目では元入金)を正しく把握するにはバランスシート(貸借対照表)を作成する必要があります。あくまでも不動産投資に関するバランスシートですから、兼業サラリーマン大家さんの場合、最初にすべきことは、「個人のお金」と「不動産賃貸業のお金」を完全に分離することです。これは「個人の口座」と「不動産賃貸業の口座」と口座を分ければ、簡単に実現できます。
また、個人のお金を不動産賃貸業で使う場合は、個人の口座から不動産賃貸業の口座に振り込むようにして、お金の動きが分かるようにしておくと良いでしょう。
あとは毎年の確定申告のタイミングでバランスシートを作成します。不動産賃貸業の口座にある預金を合計すれば、資産の項目の1つ(普通預金)が求まります。個人と不動産賃貸業の口座間のお金の移動は「事業主勘定(事業主借と事業主貸)」で管理します。
期中では「事業主借」も「事業主貸」も返済の必要はなく、累積されるのみですが、期末でその残高をリセットします。これは「事業主借」と「事業主貸」は、事業用資金の増減要因ですので、差額をバランスシートに反映する処理を行う必要があるからです。
偉そうなことを書きましたが、私は税理士さんにお任せしています💦物件ごとにフォルダを分けて管理しているので、自分でやるのも難しくないのですが、月 1 万円程度で税理士さんの署名入りの貸借対照表と損益計算書が手に入るなら安いと考えています。しかも、特に頼んだわけではなく、物件ごとに資料を渡すようにしていたら、物件ごとに貸借対照表と損益計算書を作成してくれるようになりました。このようにすることで
(物件ごとの)不動産賃貸業の口座
(物件ごとの)貸借対照表(B/S, バランスシート)
(物件ごとの)損益計算書(P/L)
の 3 点セットで年々の不動産賃貸業におけるお金の動きを丸裸にすることができます!
バランスシートの純資産は正しいのか
バランスシートの純資産は「簿価」で計算されています。不動産を購入したら、物件価格を土地と建物に分けてバランスシートに記載します。建物は減価償却で減価するので、建物の簿価は毎年減って行きます。このとき、
資産価値=簿価
ではないので、注意が必要です。つまり、純資産を正しく把握するためには修正バランスシートを作成する必要があります。一般に修正バランスシートというと「簿価」を「時価」で評価し直すことを指しますが、不動産投資では、
「積算評価」
「固定資産税評価」
「収益還元評価」
などいろいろな評価指標が存在します。「積算評価」と「固定資産税評価」は建物と土地に分けて計算することが可能ですので、便利ですね。
不動産投資における修正バランスシートは、いろいろな評価指標を用いて作成すべきです。それぞれの評価指標で計算してどのくらい違うのかを把握することは、出口戦略を考える上でも重要です。
また、出口戦略で売却する場合は、
売却額 > 簿価 > 残債
売却額 > 残債 > 簿価
簿価 > 売却額 > 残債
簿価 > 残債 > 売却額
残債 > 売却額 > 簿価
残債 > 簿価 > 売却額
のどれに相当するのか確認しておきましょう。
売却額 > 簿価 > 残債
で売却するのが理想です。
残債 > 売却額 > 簿価
で売却するのは避けましょう。
皆さんは修正バランスシートを作成していますか?
作成されている方はどのように作成しているのかコメントいただけると嬉しいです。
おまけ
簿価で計算した純資産(元入金)を晒しておきます。飲み会のネタにどうぞ(笑)
確定申告の年 | 純資産(元入金) |
令和 1 年 | 14,488,594円 |
令和 2 年 | 19,003,322円 |
令和 3 年 | 15,947,872円 |
令和 4 年 | 17,473,273円 |
令和 5 年 | 21,356,812円 |
1 円の単位まで晒すと生々しいですね。
純資産が減少している年があります😢
原因は減価償却です。元金返済と税引き後の年間キャッシュフローで減価償却分をカバーできないと減少します。私は純資産が減っていく不動産投資を
「人生を賭けた罰ゲーム」
と呼んでいます。今後は絶対に避けたいです。
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