◆あらすじ

 「失敗は成功の母」

 

 その昔、トーマス・エジソンが言ったとか言わないとか。失敗の教訓を生かして取り組めば成功に結びつくと言われています。

 

 しかし、現実的には失敗した人が、次に必ず成功するとは限りません。 ましてや不動産投資の場合、金額が金額なだけに、1度の失敗がその後の人生に大きな影響を及ぼします。

 

 そのため、周りの失敗事例を知り自分の教訓に変えることがとても重要になってくると私は考えています。

 

 そこで、これまで私が直接聞いたり相談を受けた失敗事例を、赤裸々にご紹介しています。(多少のフィクション含む)

 

 前回は、私が実際に相談を受けた男性投資家の新築アパート購入の失敗事例についてお伝えさせていただきました。今思い出しても「良くぞ切り抜けた!」と思うほどの事例でした。

 

 そして、今回は3つ目の失敗事例をご紹介しますが、こちらもショックの大きい事例でした・・・

 

 

◆夜のLINEメッセージ

 「ななころさん、まずい事態になっています。。。」

 

 数年前のある日の夜、LINEにメッセージが入りました。たまたま他の人とスマホでやり取りしていた私は、急いでメッセージを開きました。

 

 この女性投資家Fさんは、当時増収増益で飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長していたN社から新築アパートを購入しました。全8戸の2階建ての木造アパートです。

 

 利回りは7%とさほど良い訳ではありませんが、オーバーローンで購入したため、手出しゼロどころか数百万円の現金が残りました。さらには、消費税還付で数百万円の現金が入ってきました。

 

 そして、新築ということもあり、すぐに満室となり安定して稼働していました。退去が出てもすぐに入居が決まります。購入後数年は順調に推移していました。

 

 「これで私も不動産オーナーの仲間入り!!」

 

 すべてが順調に進んでいるかのように思われました。

 

◆7年後に訪れた前兆

 ところがです、購入してから7年後、前兆が訪れます。

 

 3室同時期に退去が発生したのです。「長いことやっていれば、そんなこともあるだろう」と最初は気楽に考えていました。

 

 7年入居した部屋はそれなりに傷んでおり、3室合計70万弱の費用を管理会社から請求されました。「えっ、こんなにかかる!?驚」と思いつつも、 これまでコツコツ貯めてきた家賃収入から当てるしかありません。

 

 悪いことは続きます。

 

 コロナで入居の問い合わせがパッタリと止まり、なかなか入居が決まらなくなってしまったのです。新築プレミアムの恩恵もなくなり、泣く泣く家賃を3000円〜5000円下げて募集することになったのです。 

 

 徐々に当初のシュミレーションに狂いが生じ始めていました。。。

 

 

◆問題発生!

 そして、翌年、問題が発生したのです!

 

 外壁のひびが目立つようになり、タイルも結構汚れていることに気が付きました。さらに、バルコニーや階段の鉄部はサビが出ていました。

 

 これでは見栄えが悪い。さらに入居募集に支障が出てしまう可能性があります。空室期間が長くなり、さらに家賃を下げる必要も出てくるかもしれません。

 

 「築10年以内は施工保証で無償修繕できる」と聞いていたFさんは、すぐに販売会社兼管理会社に電話をして、修繕をするように伝えました。

 

 ところが、想定外の回答が返ってきたのです。

 

 「経年劣化のため保証の対象外となります。」

 

 「また、保証の対象となるのは主要構造部分となり、バルコニーや階段はそもそも保証対象外となります。」

 

 もし業者の言うことが本当で保証の対象外となるのであれば、多額の大規模修繕費を支払う必要があります。最初に入ってきた消費税還付やこれまでコツコツ貯めてきた家賃収入は吹っ飛びます。

 

 Fさんは愕然としました。

 

 

◆まとめ

 このように数年後に発覚した新築アパートの問題、どう思われますでしょうか?事前の対策としてはどんなことが考えられるでしょうか?

 

 経年劣化なのか業者の瑕疵なのかを証明することは難しく、最終的にはオーナーが泣き寝入りせざるおえない事態になってしまうことが多々あります。

 

 業者側としては、「経年劣化だ」「瑕疵ではない」「保証対象外」と突っぱねてきます。絶対に自分たちの非を認めようとはしません。

 

 また、建物の施工の問題がはっきりしだすのが新築から10年を超えていることが多かったり、すでに業者がドロンしてしまっていることもあります。

 

  Fさんのケースでは、いろいろと揉めましたが、最終的には業者側の非を認めさせて、無償で簡易的な修繕を行わせることになりました。

 

 ただ、数年後には必ず大規模修繕を行わなければなりません。購入時より、将来的な大規模修繕を見据えたCFを確保できていないのも問題でした。

 

 ですから、新築は10年付近から問題が出始めるケースが多いということは肝に命じておきたいですね。新築アパートを購入する際に活かしてください!

 

(ひとまず完)

 

 

◆編集後記

 離婚は、結婚5年未満が最も多いというデータが出ています。

 

 男女とも離婚理由の1位は「性格が合わない」だそうです。

 

 まだまだやり直せる年齢だという意味で、新築アパートと違って結婚は5年以内に問題が発覚する分、まだ幸いなのかもしれないなと思った次第です。

 

 (もし気分を害された方がいましたら、申し訳ありません。。。)