「デザイン経営」というコトバはご存知だろうか。
顧客視点・人間中心で経営していこくとでイノベーションを期待し、最終的には企業価値向上や収益改善につなげていこうというものだ。
ここでいうデザインは単に意匠の話ではない。モノやサービスを利用する側の視点で作り上げていくというデザイナーの目線を、経営も取り入れるという考え方だ。
国としても推し進めているようで、特許庁のサイトにガイドラインがあったりする。
大家業にとってのデザイン経営とは
大家業でデザイン経営を考えてみると、入居者の視点に立って賃貸物件を作り上げていく、ということか。
リノベーションして物件をキレイに、おしゃれに、という話とはちょっと違う。
それは単に見た目を良くしているだけだ。
そうではなく、デザイン経営のこころは、人中心に考えよということ。つまり、いかに入居者にとって住みやすく、使いやすい物件か、という視点で設備機能やサービスを用意できるか。そこを考えよ、ということだ。
極端な例をあげてみよう。
物件の入口のドアが非常に美しくスッキリしていてパット見は洗練された高級感のあるものにした。ところがそのドアが、開けたり閉めたりするのにノブに手を入れにくい。または、両手じゃないと開かない、といった状況を思い描いてみよう。
入居募集広告の写真は映えるので、目にとまってすぐに入居が決まるかも知れない。
ところが、そこに住んだ入居者は、毎日何度となく開けしめするドアが使いにくいのだ。もしかすると、それが一つの理由となって次の契約更新のタイミングで出ていってしまう、なんて可能性もある。
つまり、大家さんにとって長期的に良くない選択をしているわけだ。デザイン経営の「デザイン」が、単に意匠の話ではないと述べたのはこういうことだ。
…と、ちょっと大きなところから入ってしまった。
著者「テック大家さん」が実践コラムで本日扱いたいのは、そこまで大それた話ではない。
先程の解説は、筆者が気にっている「Canva」というオンライン・デザインツールを紹介する内容のネタフリなのであった。
入居者への情報共有の必要性
というわけで、「デザイン経営」などというキーワードは脳裏に秘めて、筆者の”実践”を述べる。
モノは、こちらのコラムでも何度かご紹介している観光地「箱根」の物件だ。以前、「一戸当りの家賃収入を上げられるドキドキな施策」という記事で紹介している。
ここ最近、ゴミの出し方を変える、という改革!?を実行し入居者に告知をしなければならなくなった。
これまで入居者のゴミは、自治体のゴミステーションに出す方法を取っていた。だが、集積所が物件から少々遠くて使いづらかった。
入居者が増えたことに加え、先の記事で述べた「ドキドキな施策」もある。そこで、もう少し気軽にゴミを出せるようにと、敷地内にごみ置き場を設置して業者に回収に来てもらうことにしたのだ。
それに伴い、建物やごみ置き場に色々と貼り紙をするのだが、ちょっとデザイン性を入れてみることにしたというわけ。
デザインツール「Canva」はなにができる?
そこで登場するのが筆者が愛用している「Canva」だ。

Canvaのサイトトップより転載
このサイト(アプリ)では、自分でアップロードした写真を編集できる他、ツールが提供するフォントやグラフィック素材などを組み合わせてデザイン画を誰でもかんたんに制作することができる。
選択できるフォントやグラフィック素材は数え切れず、それらを無料で利用できる。
Canvaがよいのは、何といっても、デザインのテンプレートが豊富なことだ。
SNSのサムネールや、アイキャッチ画像、プレゼンテーションやポストカードなどは用途に応じて多数のテンプレートが用意されている。そのどれもがパット見でプロっぽいところがいい。

Canvaのデザイン作成中画面。画面左側に用意されている素材の一部が並んでいる。
筆者はこのサービスを2018年ころから使っているのだが、2024年現在まで細かいところで改良が重ねられている。気づけば新しい機能が追加されて一層便利になるというのは嬉しいところだ。
最近では、AIによる画像生成の機能が追加されて話題になっていた。
この手のツールではかつてはAdobe Photoshopの独壇場であった。プロっぽツールは使い方が難しいが、シロートでも扱いやすく且つプロっぽい作品ができるのがCanvaだ。
Canvaをデザイン経営に活かす!?
というわけで、筆者がゴミ収集改革(!)で作った貼り紙がこちら。
Canvaで作った作品を印刷して、ラミネーターで挟んだものを建物の入口ドア(オートロックの扉)に貼り付けたものである。
フォントとか、アイコンとか、ちょっとポップでいい感じじゃないだろうか(自画自賛)
…と、「デザイン経営」とか言いながら、結局、見た目の話になってしまってないか?!(笑)
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