「DIY」というと大工仕事をイメージする方が大半だろう。

楽待コラムを読む大家さんなら、物件の改修コストを抑える目的で自分で大工仕事する方もいるだろう。DIY=大工仕事と考えるのは、当然といえば当然だ。

一方、筆者テック大家さんにとってのDIYは、自分でプログラミングするような話である。まあ、半分以上趣味の領域だが、これも立派なDIY(Do it yourself)と言える。

ということで本日は、セキュリティ・カメラとAIを組み合わせてDIYであれこれやる作戦。小難しいDIYだが、お付き合い頂きたい。

きっかけは、毎度おなじみ(!)箱根にある物件。ここの「ゴミ集積所」から始まる。

敷地内のゴミ集積所

以前のコラム「大家業も「デザイン経営」でイノベーションを起こせるか?!」という記事で少し述べたが、ゴミ出しの改革を行っている。

これまで入居者のゴミは、自治体のゴミステーションに出す方法を取っていた。だが、集積所が物件から少々遠くて使いづらかった。

もう少し気軽にゴミを出してもらえるようにしたいと、敷地内にゴミ置き場を設置して業者が回収する方式にしたのだ。

 

そこで大家さんとして心配なのは、ゴミ集積所が荒らされないかどうかである。

入居者がきちんとルールを守ってくれるだろうか、とか、自然がいっぱいな箱根のことだけあって、動物が荒らしに来ないかなど、気になるわけだ。

リモート管理の定番!セキュリティ・カメラ

そうだ、セキュリティ・カメラを設置しよう。

当然の流れでWebカメラを屋外に設定することにした。以前の筆者のコラムでもご紹介したものだがAmazonの格安のセキュリティ・カメラである。こんなものは業者は扱わないので、設置も設定もすべてDIYだ。

 

このカメラは動きがあったらシャッターを切ってくれて画像をサーバーにアップロードしてくれる。ただし、どんなものが写ったかまではわからない。なんらかの「絵的な変化」があったときだけパシャリとやってくれわけだ。

例えば、物件前の道路を宅配便のトラックが通るとする。

すると、こんな感じの絵が取れる↓

ゴミ収集エリアのセキュリティ・カメラ画像

赤丸の部分がゴミ集積所である。ブルーのカラスよけ網がわかるだろう。ちょっと遠いが、前の道路の様子も含めて写る角度に設置した。

ビジネス、ビジネス…

ところで、うちの妻はこの物件に関してなにか別のことを考えている。

アントレプレナーシップが旺盛な妻は、実は、敷地内に自動販売機を置こうとしている。それも普通の飲み物の販売機ではない。

自販機でこんなものまで売ってるの?系」の自動販売機のようなのだ。

というのも、物件の目の前の通りは、箱根の登山道へつながる道。天候がよければ朝早くから登山へ向かう観光客をよく見る。コロナも開けてインバウンドも増えたから余計によく見かけるようになった。

つまりは、ここなら自販機で彼ら相手になにか商売できるのではなかろうかと妻が考えているのだ。

AI使ったら次につながるんじゃないか?

でも、そもそも、登山客ってどのくらいこの道通るの?

人が少なきゃ自動販売機が成り立たないではないか。

そうだ、AIを使って人通りを調べよう。

というわけで、今流行りの(?)クラウドAIサービスの一つ、Google Vision APIで実験をしてみることにした。Vision APIは、画像に映っている人やモノを抽出してくれるサービスである。

人やモノの抽出など、当たり前に思える機能だが、画像の認識をコンピュータにやらせるのは、かつては非常に難しい技術だった。AIの性能が進化した今、画像に写っている人は、立っていようと座っていようと「人」と認識してくれる。これは昔の技術者からすると夢のような技術なのだ。

そんな高度な技術を手軽に使えるようにしたクラウドサービスがGoogle Vision APIだ。使用するにはプログラミングのスキルが必要なので使うハードルは高めだ。

ただし恐れるなかれ。それとて、今や生成AI(Claude 3)が手伝ってくれる。Vision APIを使うプログラミングも生成AIにお願いできてしまうというわけだ。

DIYするには、ほんとうに便利な世の中になったものだ。

というわけで早速、実験的に人が写っているカメラ画像を処理させてみた。

以下がその結果である。

人と認識したところに、赤枠を付けている。ちゃんと登山客2名を判別しているのがわかるだろう。まるで人間が人間を数えているようではないか。

人の周りの赤枠は、Vision APIの結果を元に描かれている

 

これを使うと、毎日自動で処理して1日に何人くらい人が通ったのかわかるはずだ。これが、我が家のビッグデータ(!)なのである(笑)。

今後に期待!?

さて、そんな自動処理を自前でDIYできるか。

そして、得られたデータから果たして自動販売機を使ったビジネスが成り立つのか。

次のビジネスの運命やいかに。