◆不動産投資は交渉の連続

 「7980万円で売り出しているこの物件。価格が下がれば、何としてでも手に入れたい!どうすれば、価格を下げてもらえるだろうか・・・?」

 

 私が2棟目の物件を購入する時、こんな壁にぶつかりました。建物の状態も良さそうだし、利回りも悪くない。あとは価格さえ下がれば・・・

 

 不動産投資は交渉ごとの連続。

 

 売りに出されている物件をそのまま眺めているだけでは、お宝物件なんて見つかるはずもありません。ましてやこの不動産価格高騰時代においては、割安の物件情報を手に入れるだけでも大変。

 

 「お宝物件は自分で作り出す!」ぐらいの意気込みが必要です。

 

 そのためには、交渉ごとに強くなること。2棟目の物件を購入するときにつくづく思いました。

 

 不動産投資の醍醐味は、「相対(あいたい)取引」だということです。

 

 定価はありませんから、極端な話し、相手が納得すれば1円でも物件が買えてしまうのです。むしろお金をもらって不動産を引き取る人もいます笑

 

 そこまでは無理としても、「ぜひとも手に入れたい物件だけれど、金額が高い」という場面で、あなただったらどのように交渉しますか?

 

 

◆サラリーマン時代

 私はサラリーマン時代は悪名高き営業会社で働いていました。(社名を言えば誰でも知っているあの会社です。不動産系ではありません。苦笑)

 

 私自身は営業経験は無く、エンジニアとして就職したのですがなぜか2年目で本部に移動を命じられ、マーケティングを担当していました。

 

 それでも、営業を近くでサポートする立場として、営業と一緒に会社を訪問し、飛び込み営業もしたことがあります。また、売れる営業と売れない営業の違いをずっと研究していました。

 

 ですから、売れる営業の使う交渉テクニックも一通り学んできました。その知識や経験は不動産投資においても活きていると思っています。

 

 

 そこで、一般的なビジネスなどで使われている有名な交渉テクニックを、不動産投資用にアレンジして3つほど紹介します。

 

 ここで紹介する3つの交渉テクニックは、交渉術の中でも基礎編になります。営業を経験されていたり、交渉を学んだことがある方はご存知の方も多いかもしれません。

 

 それでも知っているか知らないかで大きく差が出るんです!

 

 

◆今すぐ使える!交渉テクニック3選

1.ドア・イン・ザ・フェイス

 最初に紹介する交渉テクニックは「ドア・イン・ザ・フェイス」です。

 

 大きな要求をしたのちに、小さな要求へと譲歩していく交渉テクニックです。営業マンが訪問販売時に「断られることを前提に、ドアから顔を覗かせる」という行動からきているそうです。

 

 アメリカ外交で多大な功績を残した元国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏は言います。

「会議の席での効果は、自分の要求を大げさに言うことで決まる」

 

 交渉術の基本中の基本(これが私たち日本人になかなかできないのですが汗)は、相手に期待以上の要求することです。最初に提示された要求がアンカーリング効果を生みます。

 

 不動産投資で活かすとすると以下のような感じです。

あなた「この物件、◯◯◯万円で指値なんて無理ですよね?」

業者「そんな、それはさすがに売主さんに怒られちゃいますよ。」

 

あなた「そしたら、半分の◯◯◯万円でどうでしょうか?」

業者「わかりました。交渉してみます。」

 

2.フット・イン・ザ・ドア

 次の交渉テクニック「フット・イン・ザ・ドア」は最も目にするかもしれません。日本風に言い換えると、「ドアにつま先足入れ交渉術」とでも言いましょうか(笑)。

 

 始めに小さな要求を伝え、その後大きな要求を伝えると要求が通りやすくなるという心理の交渉テクニックです。

 

 「一度取った立場や主張を簡単に変えたくない」という私たち人間の心理を利用する交渉術です。一貫性の原理を使っています。

 

 例えば、「5分だけでもお話を聞いてもらえないでしょうか」とか、「無料なんで一度試してみませんか」といった小さな要求からスタートして、やがて大きな要求に導いていきます。

 

 不動産投資で応用するとしたら、こんな感じです。

 

あなた「この物件、買いたいので買い付け入れさせてもらえますか?」

業者「はい、もちろんです!」

 

あなた「融資特約付きでも問題ないですよね?」

業者「はい、大丈夫です。」

 

あなた「そしたら◯◯◯万円で交渉してもらえますでしょうか。」

業者「えっ!?はっ、はい。。。」

 

 

3.ダブルバインド

 続いては、「ダブルバインド」と呼ばれる交渉テクニックです。

 

 ダブルバインド効果は「二重拘束」という意味で、もともとは矛盾する2つの要求を相手に送って混乱させるという心理学用語です。

 

 よくママがおいたした子供に対して「怒らないから言ってごらん」と言っておきながら怒るやつです。上司から「悪い報告から先にしろ」というのも一種のダブルバインドです。

 

 ただ、ビジネス交渉におけるダブルバインドは、これとは全く違う意味合いで使われます。

 

 例えば、アパレルショップの店員が「こちらの洋服、いかがですか?」と聞くと「いえ、見ていただけなので結構です」と断られやすいですよね。

 

 そこで、「こちらの服とこちらの服、どちらのデザインがお好みですか?」と問いかけると、相手はAとBという提示された2つの選択肢のどちらかを選んで回答するように誘導されます。

 

 つまり、交渉テクニックのダブルバインドは、二つの選択肢を示し、相手にどちらか1つを選んでもらう交渉テクニックです。

 

 どちらを選んでもらっても、自分にもメリットがあるように選択肢を用意しておくのがポイントです。(あざとくないようにさりげなく)

 

あなた「この物件、融資特約無し500万円引きと、融資特約付きで300万円引きとでは、どちらが交渉しやすいですか?」

業者「うーん、融資特約無しの方が交渉しやすいと思います。」

 

◆交渉テクニックは必要だけど・・・

 今回は交渉時に使える3つの基本テクニックをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?どれかすぐに使えそうなものはありそうですか?

 

1.ドア・イン・ザ・フェイス

2.フット・イン・ザ・ドア

3.ダブルバインド

 

 この他にも、交渉テクニックはたくさんあります。

 

 グッドガイ/バッドガイ、ニブル、おとり、赤ニシン、チェリーピッキング、イーブン・ア・ペニー、セルフハンディキャップ、、、

 

 1つ1つ解説していくと膨大な時間がかかってしまうので、本格的に学びたい方は別の機会でお伝えできればと思います。

 

 テクニックを学ぶことは大切です。ビジネスだけでなく人生のあらゆる場面で役立ちます。自分自身の防衛にもつながります。

 

 一方で、今から矛盾することを言います。

 

 「テクニックをいくら身に付けたところで、実際の交渉の場面でうまくいくことはほとんどありません。」

 

 「逆に、テクニックを駆使したことで、上手くいくはずだった交渉ごとが、ダメになってしまう可能性すらあります。」

 

 なぜでしょうか?交渉テクニックの他に身につけなければいけないものとは何でしょうか?

 

(次回に続く)

 

◆編集後記

 子供ってめちゃくちゃ交渉上手ですよね!

 

 アイスをねだる時、パパの手を持って自分のほっぺに持っていき、すりすりしてニコって笑っている3歳娘に、ドロッドロに溶けているパパ友の顔を見ました。

 

 私も娘がいたら絶対にムリー!!笑