◆本日の相談
さて、毎週月曜日は、「楽待相談室」に寄せられている質問への回答を抜粋して、同様の悩みを持っている方にも参考になるよう補足して解説していきます。
今回は「2024.6.23 サブリース契約を解除したいですが、契約書を紛失してしまい、解約に応じてもらえない」という相談を取り上げたいと思います。
※事前に質問を読んでから記事を読んで頂くとより有益です。(コラムのルールでリンクが貼れないため、楽待相談室から検索ください。)
今回の相談は、サブリース解除を申し入れたにも関わらず応じてもらえず、途方に暮れている方からのご相談です。
更新の6ヶ月前に解除通告し、違約金として家賃3ヶ月分45万円を支払う旨を伝えたにも関わらず解除は拒否。解除には違約金100万円を要求されているとのことです。
うーん、厳しいですね。。なぜサブリースは解除できないのでしょうか?
◆サブリース関連トラブル
サブリースをめぐって過去からずっとトラブルが相次いでいます。
全国の消費生活センターに寄せられる「サブリース」に関する相談件数は、年間400件〜500件。楽待相談室だけでもサブリース関連の相談が160件ほど掲載されています。
すべては「借地借家法」に起因します。あまりにも強い入居者保護の法律と、2003年に下されたサブリース業者側に有利となる最高裁の判例。
私たち大家側からサブリース解除をすることは、極めて難しいのが実態となってしまっています。解除できないんです。。。涙
2020年12月サブリース新法「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」によって規制されたのは、契約時の「入口」の部分だけ。一度サブリースを契約してしまうと、現在も解除するのは厳しいままです。
サブリース自体は悪い仕組みではないのですが、法の歪みをついてサブリースを悪用してくる業者がいますから、サブリース契約を結ぶ時は十分に注意しなくてはいけません。
◆なぜサブリースを解除しない?
なぜここまでサブリース業者は解除をしないのでしょうか?そんなにサブリースって儲かるんでしょうか?
そうなんです、業者にとってサブリース儲かるんです。
まずほとんどのサブリース業者が、「家賃保証だから安心」を売り文句にお客を吸い寄せ、物件販売時に大きな利ざやを抜いています。
そこに毎月入ってくるサブリース手数料(家賃の1割〜3割)に加えて、更新料や礼金などもサブリース会社の収入になります。
ましてや今はインフレによって家賃も上昇傾向ですので、利幅も大きくなっています。(酷いサブリース業者の場合、家賃が上がっていることをオーナーに隠しています。)
そして、原状回復費用や修繕費用でも儲けることができます。オーナーに高めの費用を請求して利ざやを稼いでいるのです。今回の相談のように解除でゴネて数百万円の違約金も取れます。
さらに、十分に旨味を吸い尽くした上に、古くなり入居需要の無くなったマンションやアパートは、契約途中でも一方的に解除もできるんです。
サブリース業者にとって、こんなに美味しい商売は無いんです。ですから、なかなかサブリース業者はサブリースを解除してくれないんですね。
(繰り返しますが、サブリースの仕組みは悪くありません。真っ当にやっているサブリース業者もいます。)
◆絶対にサブリースは解除できないのか?
今日はなぜサブリースが解除しずらいのか?業者が解除に応じてくれないのか?、「解除できないサブリース契約の罠」についてお届けしましたが、いかがだったでしょうか?
とはいえ、絶対にサブリース解除できないかというと、解除できた例もあります。
骨の折れる作業ではありますが、根気よく粘り強く交渉することによって、解除を勝ち取った事例を実際に見てきました。
サブリース解除に強い不動産業者や弁護士もいます。個人で対抗しても決して解除に応じなかったサブリース付きの区分マンションを、売ることに成功したケースもあるんです。
また、多少の損切りは発生したものの、サブリース付きのままで売却できた事例もあります。少ないですが融資を出す銀行があるため、サブリース付きのままでも売却できる可能性もあるんです。
ですから、サブリース解除で悩んでいる人もあきらめないで行動し続ければ可能性はゼロではありません。この相談者の方も頑張ってほしいなと思った次第です。
◆編集後記
サブリースもそうですが、サブスク(サブスクリプション)も解除しにくいやつありますよね!?
解除ボタンがめちゃく分かりにくかったり、何度も何度も「いいですか?」「ほんとうにいいですか?」と聞いてきたり、、、
解除しにくいサブリースとサブスク、気をつけましょうね!
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