前回は、生成AIのクロードさん(Claude3)との対話によるコラム記事を投稿した。
今回はもう少し不動産投資の実務的なAI活用法について実践していこう。
隣の土地がほしい!
まずは背景から。
筆者は箱根に1Kの二十数戸のマンションを所有している。この物件は、建物の前の敷地が駐車場になっているのだが、入居者数より格段に少ない台数しか収容できない。簡易的な駐車場に見えなくもない「猫の額」ほどの土地なのである。
場所は車がないと生活するにはちょっと不便な土地柄。入居者は、老いも若きも必然的に車を所有することになる。
物件の敷地に駐車場が台数分ないということは、別に駐車場を探さねばならない。
現在は、オーナーの自分が物件から少し離れた駐車場を借りて、入居者に転貸して使ってもらう、ということをやっている。
とは言え、遠いのは不便だ。不便がために入居者があらぬところに車を停めてトラブルに成ることもあるのだ。
一方、筆者所有物件の隣には林のようになっていて使われていない土地があるのだ。ここを開拓(!)すれば駐車場にできるではないか。
手紙を送ることにした
そこで、林の土地に所有者を、登記簿から特定して手紙を送ることにした。当然面識のある方ではない。
その方の土地を買うか借りるかして駐車場にしたいのだ。そのための相談をするための手紙を書くことにしたというわけだ。
SNSやリモート会議などのコミュニケーションが当たり前の時代。面識もなく、こちらの背景も状況もわからぬ相手と、「手紙」という数世代前(!)の手法で交渉する。
最近ではなかなかないシチュエーションではなかろうか。
もともと一緒に管理・運営している妻が考えたことで、こちら事情も経緯も説明せねばならないし、物件や入居者への想いも伝えたい。それをどんな方かもわからぬ相手に的確に伝え、うまくコトを進める必要があるという状況なのである。
そこで、AI活用を思いついた。
手紙の文面整理を生成AIのクロードさんにお願いしようじゃないかと。
AIとの対話
AIに手伝ってもらうにあたり、チャットで背景説明をした。
人間が相手であるように適切に説明すると彼が手紙の文面を書くうえで知りたい内容をちゃんと質問もしてくれるのだ。
その一例を引用しよう。下記は、AIからの質問である。
追加の質問をいくつかさせていただきます:
隣地の所有者の方との関係性はいかがでしょうか?以前に接点はありましたか?
所有者の方の年齢層や、その土地をどのように扱っているか(例:相続した土地なのか、投資目的で保有しているのかなど)についての情報はありますか?
具体的に隣地のどの程度の面積を駐車場として借りたいと考えていますか?
手紙の主な目的は、土地の一部を駐車場として借りたいという申し出でしょうか?それとも、まずは話し合いの機会を持ちたいという趣旨でしょうか?
地域の不動産や駐車場の相場について、何か情報をお持ちですか?
これらの情報があれば、より適切で丁寧な手紙を作成するのに役立ちます。ご回答いただける範囲でお教えいただければ幸いです。
このようなやり取りをいくつか繰り返すことで、いい感じの手紙のドラフトを書き上げてくれるのだ。
AIが書いた手紙なんて意味があるのか、と思う方がいるかも知れない。だが、彼に伝えた内容は、筆者が伝えたい想いを全て盛り込んだものだ。
このような状況は人間同士の仕事でもあるだろう。上司である自分が、部下や秘書に依頼して手紙を書かせる。こんなことは普通に行われているのではないだろうか。
文章の良し悪しは文章作成を依頼された人の能力によるだろう。だが、盛り込みたい内容が正しく反映されているか、そして伝えたいことが伝わるものになっているのか。それを見極めるのは、上司である自分の仕事である。当然ながら、自分の責任で相手に送るはずだ。
部下や秘書が書いた文章により、なにか問題が発生した時に「秘書がやりました」などと言い逃れをするようなものではない。責任を持つとはそういうことだ。
AIに書いてもらう手紙も同様だ。内容は意思を持つ自分が決めて自分の責任で出すのは人と仕事するときと同じではなかろうか。
実現したいコトがうまくいくなら、賢くなった生成AIを使わない手はないのだ。
それにしても、こんなことをAI相手にできるとは、便利な世の中になったものである。
もちろん最終的には人間である著者が推敲して書き直す。文章を書きなれないと、背景や思いなど話が複雑にからみあった内容を書く時に、どうしても相手に伝わらない文章になってしまう。
すべての情報を整理してわかりやすく流れを組み立てる。こういう作業は驚くほどAIはうまくやってくれるのだ。
さて、こんなAI活用法、いかがだろうか。
ところで、筆者が「クロードさん」と呼んでいるClaude3というAIはバージョンアップにより、Claude3.5になった。クロード”さん”が”さんテンご”になっというわけだ…(どうでもいいことだが…笑)
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