楽待コラムの読者の皆さんは、不動産投資や賃貸情報に限らず、日々インターネット検索を使われていることと思う。

日々検索で見つけて閲覧しているさまざまなサイト。それらサイトのほとんどが、実はある単一のシステムで作られている、という事実をご存知だろうか。

WordPress(ワードプレス)と呼ばれるそのシステムは、W3 Techsという情報サイトによると、世界のWebサイトの実に43.5%が使っているという。

驚くべきことに、読者が検索してたどり着いたサイトの半分近くはWordPressというシステム(コンテンツ管理システム、または、CMSと呼ばれる)で作られたものなのだ。

出典: W3 Techsより転載

 

であるならば、子どもたちが夏休みのこの時期。「オトナの自由研究」と称して自分の物件やビジネスのWebサイトをWordPressで立ち上げてみてはいかがだろうか。

そこで、題して「大家さんの為のサイト構築講座」という連載を考えてみた。WordPressサイトの立ち上げに関して、今回から3回にわたってコラムをお届けするつもりである。

筆者も自身のブログ「テック大家さん」や、自分の物件「ハイドレンジア箱根」の紹介サイトをWordPressを使って立ち上げている。そこでのノウハウを入れ込んだ連載にしていきたい所存だ。

 

ということで、第1回目の本日は、WordPressについての基礎知識から入る。

コンテンツ管理システム(CMS) としてのWordPress

CMS(Content Management System)とは、Webサイトで公開する文章や画像などのコンテンツを管理するものだ。

「管理」とはすなわち、作成したり、変更したり、削除したり、といった一連のサイトコンテンツ(記事とかページ)の制作活動をを示す。

HTML/CSSという規格が作られた当初は、CMSと言う概念もなく、サイト制作者がHTMLのタグとにらめっこしてコンテンツを作成したものだ。

今はそんなことをするのは稀な作業。

WordPressを使うとワードやパワポで文章や資料をつくるような感覚で簡単にサイトのコンテンツの編集ができてしまう(下図参照)。

結果、冒頭で述べたように実に多くのサイトがWordPressでサイトを作っているというわけなのだ。

WordPressの記事作成画面。文字サイズや強調などワードで書くようにページをつくる

オープンソースで日々改善

WordPressがそんなに便利に使えるようなシステムなら、さぞかし値も張るものと思われるかも知れない。

しかし、このシステムはソースコードが公開されている、いわゆるオープンソースのシステムだ。誰でも自由に使うことができる。商用利用でも無料で利用できる。

オープンソースという文化をご存じない方のために少々説明するが、オープンソースにもライセンスはいろいろな契約形態がある。ライセンスの多くは、改変したコードを公開する義務があるのかないのかといった、オープンソースの姿勢を示すようなものになっている。

WordPressの場合、GPL v2というライセンス形式で配布されいる。GPLは改変後のコードの開示に関してはきびしい方のライセンスだが、そのまま使う分には全く問題ない。その上、後述のようなさまざまな拡張機能が用意されており、配布されているWordPressのソースコードを自体を改変する必要は待ったっくないのだ。たとえ、他とバリバリに差異化したリッチなサイトを目指したとしても、である。

一方、前回のスマートホーム/スマートロックのコラムでも書いたのだが、ソースコードがオープンということは、誰でも開発に参加できるということだ。

オープンソースのWordPressも同様。日々進化し続けており、機能がますます向上している

デザインテーマはストアから

多くのサイトがWordPressを使っているからと言って、それらが同じような見た目になるわけではない。

サイトの見栄えと、裏で動いているシステムとは全く別の話。

WordPressの場合、「テーマ」という仕組みがある。

世界中の開発者が「テーマ」モジュールを公開していて、以下のようなWordPressの管理画面からインストールできるようになっている。その数12,000以上。

WordPressの「テーマ」選択画面より(ストアからインストール)

 

WordPressの「テーマ」は、その名前から想像するような色合いとか見た目だけを扱う仕組みではない。サイトのページ構成や、サイトのパフォーマンス向上、SNSとの連携などなど、機能面にも大きく影響する。

例えていうと、スマホのアプリストアである。スマホでも、さまざまなアプリがストアからインストールできるが、あれと同様のイメージだ。

場合によっては、ストア以外から入手してWordPressにインストールすることもできる。このあたりはWordPressの柔軟な部分といえる。

ちなみに、「テーマ」は無料のものと有料のものが存在する。

有料の方がもちろん機能が豊富だったり、カスタマイズがやりやすかったりする。

だからといって無料のものが使えないというつもりは全くない。背景にあるのはオープンソースの精神。誰かが必ずよいものを無料で配布しているからそれを使えばよいのである。

プラグインで拡張

WordPressの拡張性やカスタマイズ性を高めているもう一つの仕組みがある。それが「プラグイン」だ。

こちらも、WordPress上にストアがあって、世界中の開発者が作ったプラグインをインストールできる。

プラグインはサイトを拡張する仕組みである。前述した「テーマ」との位置づけが若干わかりにくいかも知れない。(著者はWordPressの使い始めにそう思った)

強いて違いをいうなれば、プラグインは単体の課題を解決するためにWordPressを拡張する機能といえる。一方、テーマはサイト全体に影響する、見た目・デザインを支配する機能、という違いがある。

プラグインの一例として、「お問い合わせフォーム」がある。

このコラムの以前の記事「サイト上の「お問い合わせ」からくる入居希望者たち」で登場したものだ。サイトを訪れた人が、サイトオーナーと連絡を取るためにメールアドレスや要件を入力するフォーム画面である。色々なサイトで目にするだろう。

このような単発の要件は、プラグインをインストールして拡張することで対応できるのだ。

ネットでよく見る「お問い合わせ」フォームはWordPressのプラグインで実現できる

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WordPressがどんなものか、ご理解いただけたであろうか。

なんとなく難しいと感じた方もあるかも知れない。(筆者の文章力に課題もあろうが…)

ただ、多少難易度が高いからこその「オトナの自由研究」ではなかろうか(笑)

次回は、このオープンソースのツールをどのようにインターネット上のサイトにするのか。「サーバー」に関する内容をお届けしたい。

では、また来週!