お疲れ様です。
昨日、投資初心者の方から、
購入された物件(築古戸建)から家賃収入が上がってくるようになったが、
税務業務をどうしようか?
という相談をいただきました。
聞くと、
既に法人も立ち上げており、
ちょうど2期が終わったところとのことです。
その税務処理はどうされたのか?
と質問したところ、
がんばって、ご自身で申告しました!とのこと。
その努力は素晴らしいですが、
税理士による申告でない場合、
KSK(国税総合管理システム)にてチェックされ、
税務調査対象としてリストアップされるリスクがあることは
お伝えしました。
税理士資格がない人でも、申告はできます。
ただ、その時点では、単に受け付けられただけです。
確定申告された決算書は、
法人、個人を問わず、
すべて国税庁のKSKというシステムに集約されます。
そこで、
・勘定科目比率に、業界平均と比較して異常値はないか?
・業務委託や外注費等、脱税に使われやすい科目の状況は?
を始めとした、様々な観点から篩(ふるい)にかけられます。
先に挙げた、
「税理士が作成していない」
という項目も、そのうちの一つに入っていると思われます。
(このあたりは、もちろん推測です)
そうして抽出された法人・個人のリストが
各税務署の調査官に割り振られ、
最終的に、その年度の税務調査先が決められます。
税務署の年度は7月からスタートであり、
その期首に合わせて上記の作業が行われます。
そのため、そろそろ秋の税務調査に向けた動きが
活性化してくる頃となるわけです。
閑話休題。
相談された方の話に戻ります。
その方は、まだ戸建てを数戸しかお持ちでないので、
できれば間接経費を出したくない。
なので、自分でできるうちは自分で行うか、
毎月の顧問契約ではなく、年に一度。
決算締めだけお願いするような形で良いか?
ただ、その場合、どこまでアドバイスを戴けるのか?
そのレベルに不安も残る…
という相談でした。
ただ、この方の場合、
少しややこしいのは、
今期から業務委託でお仕事を受託することが決まっている
ということです。
この方の場合、受注する側なので、
売上の科目として立つことになるため、
経費として、販管費の中に入るよりは、
税務調査対象として、
目を付けられるリスクは少ないと思われます。
ただ、目につきやすくはなるでしょう。
僕としては、
・決算期のみの対応だと、どうしてもおざなりになりがち
・そのため、税務処理も通り一遍になる可能性が高い
・資金的に厳しいことは分かるが、できれば月次顧問契約が望ましい
という話をお伝えしました。
このあたり、
ほんとに悩ましいところだと思います。
ただ、
めざす事業のゴールにも拠りますが、
規模拡大をめざすのであれば、
早い段階から、月次顧問契約を結び、
月次締めができるような体制を構築することが、
僕としては望ましいと思っています。
探せば、月1万円程度から顧問契約を結んでいただける
先生もいらっしゃいます。
その場合、どこまでサポートをしていただけるか?
という話もありますが、
おそらくは淡々と税務処理を進めていくことになるでしょう。
その顧問料であれば、間違っても、
税理士の方から、
・毎翌月10日頃には、試算表と経営分析レポートが送付されてくる
・それを元に、経営改善についての提案を毎月ディスカッションできる
といった、至れり尽くせりなことにはならない
と思います。
それでも、そこで諦めずに、
不明な点や、改善したい点を伝え、
ディスカッションしていくことで、
良い意味でキャッチボールも出来てきます。
価格なりの対応頻度にはならざるを得ないでしょうから、
質問のやり方にも工夫が必要で、
向こうがウザがらない頻度で、
かつ
関心を持ってくれるような内容で、
行っていくことが大切です。
いや、
なんで顧客であるこちらが、
そこまで気を使わないといけないの?
と思われたら、それは全くの見当違いです。
QBハウスと、カット数万円の美容室。
どちらも、散髪という行為は同じですが、
価格も、サービスレベルも違います。
それぞれに、それぞれの良さが有ります。
同じ土俵で比べるものではないということです。
ただ、QBハウスでカットしてもらう時も、
可能な範囲で、こちらのリクエストは伝えたいですよね。
費用対効果のバランスの中で、
その最適解を引き出すことは、
顧客側の手腕の見せ所でもある。
ということです。
あと、もう三つ意識しておいてほしいことがあります。
① 税理士は、経営のプロではない
② 税理士にも、得意分野がある
② 税理士は、個々のレシートの内容までは分からない
の3点です。
①については、文字通りの内容です。
税理士は税務のプロであって、経営のプロではありません。
税理士に不動産経営のことを相談しても、???となるだけです。
税理士に相談するのは、あくまで税務に関すること。
その区分けの意識が必要です。
でないと、みそもくそも・・・という話になってしまいますから💦
②も、安かろう出選んだことに起こりがちなミスマッチです。
お医者さんが、内科、外科、耳鼻科、皮膚科といった専門分野をお持ちのように、
税理士も、企業税務、相続対策、M&A、国際税務、事業承継、その他と、先生によって、得意分野は違います。
そのため、顧問料だけではなく、得意分野も確認する必要があります。
③は、分かりやすいですよね。
修繕費として管理会社から来た請求書や振込伝票を
税理士の先生に送っても、
それだけでは、
・それが、現状回復なのか?、資本的支出なのか?
・複数物件を持っている場合は、どの物件のものか?
が、税理士は分かりません。
こうしたことは、こちらがしっかりと伝える必要があります。
最後に、もう一つ大事なことが有ります。
それは、自分が目指すべき決算書像についても、
しっかりと意識合わせをする必要があります。
多くの税理士は、顧問先から
「とにかく、少しでも税金を安くしてくれ!」
と言われがちです。
でも、僕たち資産管理法人は、
しっかり利益を出して(=税金を払って)金融機関の評価を上げ、
次の融資を引きやすくするという命題を持っている場合も多いです。
そうした思いをちゃんと伝えないと、
お互いに不幸な結果となってしまいます。
税理士は、大事な事業のパートナーです。
結婚相手選びに、性格や価値観の一致が大事なように、
税理士選びも、全く同じ側面を持っています。
更には、人対人の相性といった問題も出てきます。
顧問料の金額も大事なポイントですが、
こうした点こそが、本当に大事だと思っています。
いい先生に、巡り合えると良いですね。
がんばりましょう!
プロフィール画像を登録