■違いはどのくらい?

こんにちは! 埼玉サラリーマン大家です。

最近のコラムでは相続関連の内容となっています。義父が亡くなったことで、妻の実家を助けながら頑張って終わらせました。年金も大幅に減って生活はギリギリになってしまいましたが、それでも収益不動産のおかげで助かりました。不動産投資が年金問題の助けになるということを身をもって実感しました。

今後は更に年金に問題が出てもおかしくない時代になっていきます。ということは、ますます不動産投資の重要性も増していくということなのでしょうね。

 

 

これまでのコラムで、妻の実家の収益不動産の管理・運営は私がやることになったとお伝えしました。他にやるスキルを持った人が見当たらなかったのと、生前の義父との約束もあったからです。都内の好立地の1棟マンションで、今はあまり出てこないような立地なので売るのはもったいないです。『相続時に泣く泣く売却して、安く買い叩かれてしまった・・・』というような結末にならずに良かったと思っています。

 

 

不動産投資というものは長期的に利益を計算するものです。その性質上、どうしても後継者問題というのは発生します。自分が死んだあとに物件の運営を引き継げる親族がいないのであれば、早期に物件を売却して清算しておく必要も出てくるかもしれません。本当は売却しないで持っていたほうが利益を生むような物件であっても、泣く泣く売却することもあり得るのが不動産投資です。

今回の私のケースでは、妻と結婚したのが私だったのでギリギリセーフでしたが危ないところだったと思います。もし、私がいなければ相続時に運営ができないので売却することになったでしょう。不動産に詳しくないので・・・きっと安く買い叩かれた未来になったであろうと思います。悲しいことですが、それが普通なのでしょうね。

 

そんな未来だと、どのくらい金額に違いが出るのでしょうか?

少し計算してみることにします。

 

 

■15年で差は?

義母の年齢が70代です。ここから15年後までの生活で資産の違いを計算していこうと思います。

 

仮にですが、相続する資産を以下のように設定します。
(とりあえず計算しやすいように1億円にしておきます)

 

■相続資産のスペック

資産価値:1億円
家賃年収:500万円
築年数:30年

 

 

もし、相続時に後継者がいなくて売却せざるを得ない状況になったとしたら・・・、慌てて売りに出しますし、不動産に詳しくないので安く売りがちです。
(だから、私たちのような不動産投資家は相続がらみで安く買えることが多いわけですが)

 

仮に、売却時の諸経費を払っても8千万円が残ったとします。

 

大きなお金ですが、これで毎月収入を生み出してくれた金のガチョウはいなくなってしまいます。あとは、生活費で目減りしていく一方です。

 

義母のケースでは年金は激減して、毎月何万円かになってしまいました。2人の障害者をかかえた生活なので大変です。不動産を売却して住むところもなくなったわけですし、毎月の生活費と家賃とで月に25~30万円は必要でしょう。

となると、毎年の生活費で300万円くらいは消えていきます。【300万円×15年=4500万円】となり、15年間で4500万円の現金が目減りします。

 

相続時の現金8000万円も15年後には3500万円になってしまいます。現金化するということは貯金をどんどん取り崩して生きていくということですから仕方がないですね。

こうなると、義母が亡くなった後で残された障害者の家族を守っていくには心もとない金額になってしまいます。1億円の資産価値がある物件を相続しても、15年で三分の一に目減りしてしまうことになります。

 

 

一方で、後継者がいるのであれば相続しても売却をする必要はありません。そうなれば、1棟マンションの運営を続けて毎年500万円の家賃収入が発生します。20%の経費を引いて、5%の大規模修繕費を考慮して、残る収益は年375万円です。このくらいの収益なら税金もあまりかかりません。十分にこれで生活をやっていけます。むしろ、年間300万円で生活が成り立つので、年間75万円の余裕資金が出ます。これが、将来の解体費用や突発的な修繕費用への積み立て金となりますね。

つまり、1億円の資産を維持したままで15年間の生活を成り立たせることができます。

 

 

これらを比較すると、以下のようになります。

 

①相続時に売却した場合

15年後の状態:現金3500万円

 

②相続時に売却しない場合

15年後の状態:築45年の1棟マンションが維持されている
       (資産価値1億円)

 

 

築30年でも、築45年でも、だいたい土地の価値くらいの資産価値しかありません。そんなに資産価値は目減りしないですし、東京の好立地なので(もしかしたら)価格は大きく上昇しているかもしれません。相場が今と変わらないとしても、15年で毎年75万円の余裕資金を貯めておけば1125万円になっています。これを出口の資金として活用できるでしょう。

 

この両者の差は6000万円くらいになります。たった15年で6000万円もの損をするのですから相続時の選択も重要です。

 

 

ただ、これには築古の物件を運営できるスキルも必須です。そこの難易度は少し高いのかもしれません。水道管が破裂するかもしれませんし、雨漏りするかもしれません。そういう不具合を適正価格で対処して、適切なタイミングで出口の判断をしていく必要があります。そう考えると・・・、誰にでもできる選択ではないのかもしれません。だから、世の中には『相続案件で安く売りに出される物件』がそれなりに多く出てくるのでしょうね。そんなことを体験して身近に感じたので不動産投資家としては大きな勉強になりました。

今後に関しては、この1棟マンションも管理・運営していくことになります。その中でも、東京の好立地の運営手法を学んだり、築古のマンションの運営手法を学んだり、いろいろと自分のスキルアップにもなると思います。親族のことで面倒なことになったと思わなくもないですが…、そんな感じで前向きに捉えてやっていきたいと思います!