お疲れ様です。

楽待セミナーでお話しした、
僕の最初の区分のご入居者の想い出話を、
少しさせてください。

この物件。
とてもご入居者に恵まれたと思っています。

なにせ、30年以上保有して、
ご入居者は今で三代目。

如何に、入居期間が長期となる傾向の強い
ファミリーとはいえ、平均すると10年以上
ご入居戴いていることになります。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)の
データ(「2022年日管協短観」)によれば、
平均入居期間は

・単身で3年3か月
・ファミリーで5年1カ月

となっています。

それを考えると、各御入居者とも倍以上ですからね。
ありがたいことです。

今日お話ししたいのは、
その2番目のご入居者についてです。

ご夫婦と、女の子の3人でのご入居でした。
数年は、何も問題ありませんでしたが、
或る時、滞納が発生しました。

当時、まだ僕はバリバリのサラリーマン。
(最初の区分ですからね。そりゃそうです)

当然に管理委託はしていましたが、
(あの、トラブル続きだった、僕の最初の一棟目を
ご紹介して下さった業者さんです(笑))
まだ家賃保証会社といった仕組みもない時代。

管理会社も、特に滞納については
動いてくれませんでした。

今から思えば、信じられない時代でしたが、
そんな頃もあったのです。

ただ、僕も30代で、一番サラリーマンとして
多忙を極めていた時期でもあり、
特にアクションを打てないままに、
ズルズルと半年以上の滞納が続きました。

ところが、
これはさすがにヤバい。
そう思った矢先。
またご入金が始まりました。

ただ、毎月、ひと月分しか入ってきません。

つまりは、半年ほどの月ずれが起こったまま
ということです。

そこで、ようやくと僕は、重い腰を上げて
ご入居者に電話を入れました。

なにせ、滞納督促なんて、生まれて初めてです。
かなり、おっかなびっくりで電話をしたことを、
今でも覚えています。

なんでそんなになるまでほおっておくんだ!
滞納督促は、1日でも遅れたら即!が基本だ!

・・・はい。仰る通りです。
僕も、もし当時に戻ることができたら、
自分を小一時間説教したいです。

ともあれ、意を決して、電話をすると・・・
男性が出てきました。

・大家であること
・一年以上前に、半年ほど滞納があったこと
・今は毎月お支払いいただいているが、
滞納分の月ずれをしていること

上記を恐る恐る告げたところ、
男性は、
「そんな昔のこと、今頃なにを言うてるんや!」
と怒り出しました。

ただ、一度対話モードに入ってしまうと、
サラリーマンとしての経験が活きてきますw

とにかく相手に喋らせるだけ喋らせ、
ガス抜きをさせると、ふと冷静になる時が
往々にしてあります。
そのチャンスを逃さずに、解決策を紐解いていく。

サラリーマン時代に、幾度となく繰り返してきた
交渉の経験が、ここでも使えましたw

やがて、男性は、訥々と自分語りを始めました。
そこで、
・半年前に、離婚したこと
・今では、ここには自分しか住んでいない
・半年前から入金があるのは、自分が払っている
・その前の滞納は、元妻の管理下
・なので、そちらに聞いてくれ
という事情を聞き出すこともでき、
更には、元妻の電話番号も教えてくださいました。

今だったら、当然ですが、
・それは、あなた方ご家庭の問題なのです
・契約名義は貴方なので、お支払いをお願いします
と突っぱねるところですが、
その当時は、回収の糸口が繋がった!と
喜んでしまったのですね。

男性との電話を切ったあと、
僕は、元妻の女性に電話をかけました。

女性は、電話に出て下さりました。
そこで彼女が泣きながら語ってくれたのは、

・滞納をしてしまい、申し訳なかった
・離婚前から、家にお金も入れてくれなくなり、
どうしようもなくなってしまった
・なんとかお支払いしたいが、母子家庭で生活も苦しく、
とても半年分をまとめてはお支払いできない・・・

というお話しでした。

あとは、
すみません。すみませんと泣きながら繰り返されては、
それ以上、詰めることも当時の僕にはできませんでした。

いや、今でも無理かと・・・
僕は、家賃保証会社には絶対に採用されませんね💦

それでも。最後に、
・毎月5千円ずつでいいから払ってくださいよ
という提案に対して、応諾していただき、
電話を切らしていただきました。

その後、はんとか時間はかかったものの、
全額の回収もでき・・・とは、世の中はいかないもので。

2ヵ月ほど5千円/月のご入金があったあとは、
ぱったりと途絶え、その後無しの礫となりました。

僕も、その後追いかけることもせずに、
今に至ります。

家賃滞納の時効は5年なので、当然OUTです💦

理に則って行動することが是であることは、
言うまでもないです。

なので、
・請求遅れへの初動遅延
・契約者(本人)への対応
・再度の滞納時に、ノーアクション
等、どれもダメダメですよね。

ただ、個人情報なので、詳しくは書けませんが、
僕は、元奥さん、お子さんにも一度ですが
会ったことが有ります。

(確か、給湯器の故障だかなんだかで、
訪問したことがあるのです。
管理会社は、なにをしてくれていたのだろう?w)

その際に、ご離婚前の家庭の事情についても、
少し知ることになりました。

その事情が頭にあったので、
僕は、元奥さんに、これ以上の請求をすることは
しませんでした。

恰好つけて言うわけでもないですが、
毎月5千円の返済が満額になったら、
そのままお返ししようかと思っていたくらいです。

なので、理よりも情で動いた自分を、
後悔はしていません。

経営者としては失格でも、
人としては、ギリOKかな。

そう思っています。

まあ、そう思えるのも、
当時はサラリーマンとしての収入があったために、
そのお家賃収入が無くても生活が賄えていた、
その余裕があればこそですが。

ノブレスオブリージュというレベルの話でもないですが、
世の中のことは、そうして巡り巡っていくものだ
とも思っています。

その後、ほどなくして残った男性も出ていかれ、
(家族で暮らしていた家に、
一人で住むのは辛いですよね💦)
あのご家族とは、完全に縁が切れました。

それでも。

あの母子に幸あれ。
今でも、素直にそう思っています。

がんばりましょう。