お疲れ様です。

先日、

「エレベーターの保守会社から、
 そこそこ高額な見積がきたのだけれど、どうしよう?」

という相談を戴きました。

本題に入る前に、
エレベーターの保守について、
ザクっと概要をお伝えしておきますね。

■保守業者
・メーカー系
・独立系
の2パターンがあります。

メーカー系は、そのエレベーターの製造会社の
系列会社が担当することになります。
安心感はありますが、少し高額になる傾向があります。

独立系は、いわゆるサードパーティによる保守です。
価格が割安であることが魅力です。

これまで、僕もすべての物件で独立系の保守会社に
お願いしていますが、
全く問題なく保守していただいています。

■保守種別
・フルメンテ
・POG

フルメンテは、保守料金の中に、通常の修理の工賃、部品代等、
全て含まれている契約です。
当然割高になりますが、保守コストは安定します。

また、フルメンテの特徴として、
POG→フルメンテへの以降は不可というものがあります。
フルメンテ→POGはOKですが。

これはメーカー系、独立系を問わず、共通のルールです。

■今回の相談
上記を踏まえた上で、今回の相談内容です。
物件は、築30年超のRC5階建てです。
保守は独立系で、POGでされています。

時期的には、そろそろ抜本更改のタイミングが来る頃です。
具体的には、メーカーで保守パーツの製造が終了するときが、
更改のタイミングとなります。

そうしたタイミングが間近になると、保守会社から、
「〇年先に、パーツの供給が終了しますので、
 保守ができなくなります。
 更改をご検討ください」
といった案内が届きます。

金額は、概ね600-1000万くらいは見ておく必要があります。
かなり痛いですよね💦

なので、エレベーターが付いている物件をお持ちの方は、
外壁塗装や屋上防水と合わせて、
更改費の積み立てを考えておく必要があります。

さて。
今回出てきた見積もりを拝見すると、
金額にして、数十万程。

内容的には、更改レベルではなく、
バッテリーその他といった、
消耗品のパーツがダメになってきたようです。

■回答
こうした相談に対しては、二つの時間軸に添った回答が
必要になります。

まず、短期的には、このレベルの金額であれば、
修繕すべきです。

僕たちは、お家賃を戴く代わりに、安心安全な住まいを提供する
義務を負っていますからね。

そのエレベーターが、消耗品の劣化等で使えなくなることは、
サービスグレードの低下と同義ですから。

これくらいの金額であれば、僕は直すべきと思っています。

次に、もう少し視野を広げて、更改まで含めて考えます。
更改となると、先に挙げたように、桁が違うお金が必要となります。

その費用を投じてまで、本当に修繕すべきか?
そこが、判断ポイントになります。

修繕しないと決めた場合には、
更に道は、

・更改案内が来る前に、早期に売却する
・ギリギリまで使った上で、エレベーターを封鎖する

の二つに分けられます。

どちらも、戦略としては有りです。

前者は、ババ抜きの様相もありますが、
そこも含めて購入される方の経営判断ですから💦

もちろん、築年を鑑みた指値が入ることもあると思いますので、
どう対応するかは、売り手側の経営判断となります。

後者は、少し特殊です。
お家賃が安めの物件の場合、
先述したように、数百万の費用を掛けて修繕しても、
その回収にかかる時間を考えたら、
思い切って封鎖するという選択肢を取ることもあり。
そうした考え方です。

もちろん、既存の2階以上のご入居者からは、
不平不満も出るでしょう。
お家賃を、少し下げることも、必要になるかもしれません。

ただ、数百万のキャッシュアウトを今、ドカンと行うことと、
これから、薄くキャッシュフローが目減りすること。

この両者をシミュレーションして、
自分にとって、どちらに理(利)があるか?を
考える必要があります。

更に言えば、途中で売却することも考慮に入れる必要があります。
その場合、巨額の費用を掛けて更改しても、
それが売却価格に上積みできるか?といえば、難しいですからね。

Excelを使えば、
そうした様々なケースごとの収支比較も簡単に行えます。

Excel苦手な人には厳しいかもしれませんが、
数字を見抜く力は経営者にとって必須といえますし、
その数字を見える化するためには、
Excelのような表計算ソフトは、とても有用です。

ぜひ、苦手意識を克服して、
Excelと友達になってくださいね♪

頑張りましょう!