サラリーマンの累進課税

私は、自分の本の中で以下の図を使ってサラリーマンの累進課税を説明しています

数次でキチンと学ぶ不動産投資のキホン:朝日新聞出版社

この図を使って、

法人税と個人の所得税累進課税のどちらがお得か考えてみましょう

上の図は、いわゆる所得税の累進課税の所得と税率の関係を表していますが、累進課税の特徴は、所得が増えれば増えるほど、階段状に税率が上がっていきます

ただ、忘れてはいけないのが、所得があがり、ある金額に到達したからと言っていって、所得全部にその税率がかかるわけではあります

例えば、課税所得900万円の人は

195万円に5%
195-330万円に10%
330-695万円に20%
695-900万円に23%

の所得税がかかります

平均すると所得税の税率は16%のため、課税所得900万円の人は、(これを実効税率といいます)

900万円x16%=144万円の所得税を払わなくではいけません

16%だけでいいの?意外と少ない気がしませんか?

課税所得695万なら、実効税率14%=97.3万円だけですんでしまいます

収入と所得の違い

このように所得税は所得の金額によって決まりますが、皆さんは、自分の年収は知っていても、所得は意外と知らないのではないでしょうか?

所得=収入ー給与所得控除ー所得控除

の式で表されます

私の本で登場した楽太くんは、30歳年収550万円のサラリーマンですが、所得は、267万円になります

上記のグラフから、所得税はたった年17万円です。この計算については自分の源泉徴収票を参考にするといいです

数次でキチンと学ぶ不動産投資のキホン:朝日新聞出版社

法人化は所得が1800万円になってから

前回のコラム①のテーマは、

お金持ちになるなら
まずは個人事業主で初めて、
課税所得が1800万円までは
法人化しない

でした

このことは、上記のサラリーマンの累進課税の仕組みからも説明できます

不動産投資を始める30代から40代のひとの年収は、エリサーや医師などを除けば、だいたい500万円~1000万円ぐらいでしょう

その人達の課税所得は、家族構成にもよりますし、住宅ローン減税があるなどでも違いますが、ざっくり言って

年収500万円:所得約230万円
年収1000万円:所得約670万円

ぐらいです

次に不動産投資をしたとしましょう

5000万円10%、家賃年収500万円の中古アパートに投資をしたとしましょう。築年数にもよりますが、減価償却費、固定資産税、その他経費を考えると、

不動産所得=家賃年収ー減価償却費ー固定資産税ーその他経費

で不動産所得は100万円ぐらいがいいところでしょう

最初のグラフをみながら不動産所得100万円部分の所得税について考えてみましょう(給与に上乗せされる部分です)

年収500万円:所得約230万円:不動所得の税率は20%
年収1000万円:所得約670万円:不動産所得の税率は33%

となります

ちなみに

中小企業の実効税率(法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税の合計)は約33%

です

ということは、個人事業主の累進所得税33%を超える、所得1800万円までは、法人の方が税金が安いというわけではありません(所得が800万円以下の法人は少し税率が安いです)

不動産所得100万円の5000万円10%、家賃年収500万円の中古アパート

年収500万円:13棟に投資
年収1000万円:8棟に投資

して初めて税金が33%を超えます

ただし、住民税10%もかかるので

年収500万円:10棟に投資
年収1000万円:5棟に投資

ぐらいまでは、法人化に税金的なメリットはないと言えます。サラリーマンの副業としては十分なレベルではないでしょうか?

別な言い方をすれば、累進課税のお陰で個人事業主の方が、法人より節税ができるということです

一方、最初から法人で不動産投資を始めて、どんどん物件を増やつつ、税務の様々な工夫を行っていくことも別な方法として考えられるのかもしれませんが、不動産投資初心者の方に理解してもらうにはハードルが高いとことと考えています

課税所得がサラリーマン+不動産投資で1800万円(5棟から10棟)までは、個人事業主の方が税金や社会保険料の面でお得な上、個人として自由に使えるお金をたくさん得られる場合が多いということは、知っておいて損はないと思います

もし私が、早い時期から法人で不動産投資をしていたら、法人にお金がたまっても、二人の子どもを海外の大学に留学させたり、都内に新築の自宅を購入することはできなかったでしょう

何のために苦労して不動産投資をしたのか意味がなくってしまいます

さらに、新築した自宅も、築10年ぐらいで自分の法人に買い取ってもらい社宅化したので、住宅ローンもなくなり、法人から大きな売却益をもらうことができました(個人と同族会社の不動産取引は時価で行いますが、ここ10年で時価が大きく上昇したおかげです)

次回は、今流行りのマイクロ法人について説明したいと思います