◆覚悟の上でしたが・・・

 賃貸併用住宅のデメリットとして、「入居者のクレームやトラブルが直接オーナーにくること」だと言われたりしますが、本当にそうだと思います。

 

 管理会社に管理を委託すれば、ある程度のクレームやトラブルは対応してくれますが、それでも同じ建物に住んでいるわけですからね。

 

 入居者と直接話しをしなければいけない時はあります。間に管理会社が入ることで、かえって話がこじれてしまうこともあります。

 

 そのため、賃貸併用住宅の購入は、入居者とのそのようなやり取りを面倒と考える人には向きません。特に中古の賃貸併用住宅の場合は、前オーナーから引き継ぐため最初が肝心となってきます。

 

 その覚悟で賃貸併用住宅を購入したはずでした。。。

 

 ところが、いきなり初月からの全室滞納。一軒一軒部屋を回って挨拶しながら、契約内容の確認が必要となりました。

 

 101号室 → カフェ店主と周り、今度は3軒目のシルバアクセサリーショップで、いきなりとんでもない要求をされました。

 

 いずれも事前に前オーナー(売主)からは一切聞いていませんでした。重要事項説明などを見返しても記載はありません。

 

 突然の話しにオロオロして返答に困ってしまったんです・・・

 

※前回の記事

 #192 いきなり問題続出!?賃貸併用住宅、購入直後の奮闘記(3)

 

 

◆要求に対してどう返答するか?

 シルバアクセサリーショップの大男店主の要求に対して、私はすぐに返事をせずに少し考えました。

 

 「この店主の要求を断って退去することになったら、どうだろうか・・・」

 

 購入前の調査で、「店舗が一度退去したら、この立地(駅から徒歩7分の住宅街の地下店舗)で、次のテナントを決めるのは相当難しいだろう」と考えていました。

 

 それだったら、店主の要求を素直に受け入れて、なるべく長期間入居してもらった方が良さそうです。

 

 そこで、店主の要求を受け入れつつ、家賃手渡しだけは引き落とし(相手に手数料がかかる)にしてもらうことはできないかを考えたんです。

 

 どうにか、この手強そうな店主を相手に、手数料負担のある家賃引き落しを了承してもらえるようにもっていけないだろうか・・・?

 

◆トップ営業から学んだ交渉術を実践

 幸か不幸か、私は当時全国3000人以上の営業を抱える営業会社の本社に勤めていました。

 

 そして、全国の支店の営業に同行することで、「売れる営業と売れない営業の違い」をつぶさに観察していました。同時にトップ営業マンの交渉術を学んでいました。

 

 トップ営業マンから学んだ1つの手法として、「心理学の返報性の法則(クロスカウンター・テクニック)」と呼ばれる手法があります。

 

 要求が相手に通ると、逆に相手から要求されたときに断りにくくなる心理が働くという交渉テクニックです。

 

 私は少しだけ考えるフリをしながら、こう答えました。

 

な「分かりました。更新料は無しで、家賃も値上げはしません。」

な「そのかわりと言ってはなんですが、家賃は月末までに翌月分を払う契約に変更して、手渡してではなく引き落としにさせてください。」

 

大男「いいですよ」

 

 最初はちょっと難航するかなとも思っていたのですが、驚くほどあっさりOKをもらうことができました。交渉成功です!

 

◆あとは1室のみ!

 さらに、自分の要求が通ったことで安心してもらえたようで、そのあとは終始なごやかな会話で終わりました。

 

 大男の店主も見た目の割には話やすかったですし(失礼)、他の入居者の迷惑をかける人ではなさそうです。長期入居もしてもらえそうです。

 

 これで101号室 → カフェ → シルバーアクセサリーショップと、確認が終わり、無事すべての家賃を回収することができました。

 

 「よし、あとは102号室だけだ!」と気楽に思っていたら、ここからさらにやっかいなことになったんです・・・汗

 

(つづく)

 

◆編集後記

 私が勤めていた会社は、セミナーで時々話をしたりしています。

 

 社長が変わり上場してからスマートな営業スタイルにだいぶ変わったようですが、当時はまだ超が付くほどのゴリゴリの営業会社でした。

 

 分かる人には分かるかもしれませんが、ダジャレが好きなあの会社です!笑