◆地方投資では必須と言えば?

 地方で不動産投資する場合、必須だと言われる”ポイント”があります。なんだか分かりますでしょうか?

 

 たぶんこのコラムを読んでくださっているような勉強熱心な方であれば「そんなの知っているよ」と言われてしまいそうですが、答えは「駐車場」です。

 

 地方は車社会ですから、駐車場の無い賃貸物件は入居募集で大きなハンデを負うため購入NGとされています。1部屋につき2台分の駐車場が必要と言われることもあります。

 

 以前、入居募集で苦戦しているサラリーマン投資家の方から相談を受けたことがあるのですが、原因はやはり駐車場でした。

 

 北海道のとある地域の大型物件で、敷地内の駐車場台数が圧倒的に不足しており、50部屋中1/3程度しか埋まっていない状態でした。毎月数十万円の赤字を垂れ流していました。

 

 いち早く止血するために、敷地外で空いている周辺駐車場を片っ端から借り上げることを提案し、多少入居率は改善されました。周辺空き地の所有者へ連絡して回ったりもしました。

 

 それでも、地方、特に北海道のような雪の降るエリアは、駐車場まで1分歩くだけで敬遠されます。そのため、満室にするのは難しく、辛うじて収支を黒字に持っていくのがやっとでした。

 

 このように地方で不動産投資をする場合、敷地内に駐車場があるかどうかが重要なポイントと言わる所以です。

 

◆車の所有台数の多い都道府県は?

 ちなみに、最も世帯当たりの自家用乗用車の普及台数が多い都道府県はどこかだか分かりますでしょうか?

 

 一般財団法人自動車検査登録情報協会の「自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数(令和6年版)」によると、ランキングは以下のようになっています。

 

<上位_自家用乗用車の世帯当たり普及台数(都道府県別・ランク順)>

第10位 新潟県 1.505台/世帯

第9位  岐阜県 1.518台/世帯

第8位  茨城県 1.520台/世帯

第7位  福島県 1.521台/世帯

第6位  長野県 1.541台/世帯

第5位  栃木県 1.550台/世帯

第4位  群馬県 1.573台/世帯

第3位  山形県 1.624台/世帯

第2位  富山県 1.629台/世帯

第1位  福井県 1.685台/世帯

 

 ランキングを見ると、豪雪地帯のエリアが多いようですね。北海道は0.989台/世帯と(40位)と下位だったのは意外ですが、やはり雪の降るエリアは車は必須のようです。

 

 また、北関東エリアも車の普及台数が多く、物件を購入する場合は駐車場必須だと言うのは間違いなさそうです。(私は駐車場の無い物件も持っていますが笑)

 

 一方で、ランキング下位の都道府県は以下の通りです。東京と大阪は予想通りといったところでしょうか。東京都はダントツですね。

 

<下位_自家用乗用車の世帯当たり普及台数(都道府県別・ランク順)>

第45位  神奈川県 0.670台/世帯

第46位  大阪府 0.616台/世帯

第47位  東京都 0.410台/世帯

 

 

◆駐車場の工夫

 「地方投資では駐車場必須」ということは、このコラムを読んでいる読者には当たり前過ぎると思いますので、もう1歩進めます。

 

 それでは、近年スーパーマーケットや飲食チェーン店やコンビニでは、車で来るお客さんを呼び込むために、駐車場に”ある工夫”をしているのですが、その工夫とはなんでしょうか?

 

 勘の良い方はすぐに分かったかもしれませんが、今では当たり前になっているので、気が付かない方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 答えは、駐車場の区分けの線を「二重線」にしているということです。

 

 ちょっと前までは駐車場の区分けの線といったら、1本線が普通でしたよね。こんな感じです。

 

 ところが、近年は(いつからかは分からなのですが)、区分けの線はこんな風に二重線になっていることが多くないですか!?

 

 区分けを1本線から2本線にした理由は様々あるようですが、1つ理由としては、2本線の方が心理的に「車を停めやすい」という効果があるようです。

 

 最近は高齢化が進んでいることもあって、運転に自信の無いドライバーも多くなっており、車客を呼び込むための施策として、2本線で区分けする駐車場が多くなっているのですね。

 

 

◆入居募集にも効果ある!?

 顧客獲得競争の激しい飲食業界や小売店などでは、「駐車場の区分けの2本線」はすでに常識となっています。

 

 一方で、私たち不動産投資家の中で入居者募集のために所有物件の駐車場の区分けを2本線にしている人って、どのくらいいるのでしょうか!?

 

 新築物件の場合は工務店がそのことを知っていて最初から2本線を引くケースはあるかもしれませんが、わざわざ1本線→2本線に線を引き直したってケースを私は知りません。

 

 恥ずかしい話、私も駐車場の区分けについてはそこまで意識をしたことはこれまでありませんでした。

 

 ただ、実際、「運転に自信が無い」とおっしゃる入居者も多くて、一番奥の駐車場を敬遠される場合も多いです。「駐車場が狭い」という理由で、入居が決まりにくいケースも耳にしています。

 

 人口減少や高齢化による入居者獲得競争も今後一層競争は厳しいものになることを考えると、こうしたちょっとした工夫の違いが、今後成否を分けるかもしれません。

 

 一方で、1本線→2本線へ引き直すのは、そこまで料金が高いわけではありません。DIYでやってしまうツワモノもいます。試してみる価値はありそうです。

 

 参考になったかどうかは分かりませんが、今度自分の所有物件でも試してみたいと考えている次第です。

 

(もし「所有物件で1本線→2本線に引き直した!」という方がいましたら、ぜひコメントをお寄せください。)

 

 (くらしのマーケットのホームページより)

 

◆編集後記

 私の妻も運転が下手くそです。滅多に運転させることはありません。

 

 昔、妻が車を運転していて、何でもない道で前方の街路樹に思いっきり車をぶつけて、助手席に乗っていた私は危うく死にそうになりました。

 

 私や子どもが乗っている時は、なるべく妻には運転させないようにしている次第です!苦笑