=== コラムの目次 ===

1.ジレンマ

2.さらに市況は悪化

3.人口減少の加速

4.すべてがコスト増

5.金利上昇

6.まとめ

7.編集後記

=== === === ===

 

※今日のコラムは「これから不動産投資を始めたい!」という人向けの記事となっています。ベテランの方はあらかじめご了承ください。

 

◆1.ジレンマ

 ずっと「ジレンマ」がつきまとっていました。

 

 かれこれ15年以上、不動産投資について人前で話をしたり、コラムを書いたり、コミュニティを運営してきていながら、どちらかというと不動産投資に悲観的でした。

 

 ある時は「不動産投資やめた方がいい」とはっきり言ってしまったこともあります。完全に矛盾してますよね。

 

 それは、2013年ごろを境に物件価格はぐんぐん上昇していき、利回りが低下。銀行融資はバンバン出るものの、一方で高値掴みをして破綻する投資家もたくさん見てきたからです。

 

 無責任に「不動産投資始めましょう!」と伝えて、その時は良くても、5年後10年後に苦しくなる人が続出するのではないかと怖かったんです。

 

<1棟アパート価格推移>

<1棟マンション価格推移>

<区分マンション価格推移>

(楽待「投資用不動産の市場動向レポート」2025.1.19より)

 

◆2.さらに市況は悪化

 しかも、2025年の現在は、さらに市況は悪化しています。

 

 以前でしたら、上昇相場でたまたま儲かった人もいましたが、これからはどうでしょうか!?もっと厳しい現実が待っていると思っています。

 

 ただ、このような警鈴を鳴らすコラムは読んでくれる人も少ないですし、「いいね」も増えません。「耳タコ」とウザがる人も多いと思います。書くかどうか迷いました。

 

 それでも、コラムを読んでくださっている人には失敗してほしくないため、あらためて不動産投資を取り巻く現実を共有しておこうと思います。

 

 これから先、どんな現実が待っているでしょうか?

 

 

◆3.人口減少の加速

 すでに危機感を感じている人も多いかと思いますが、日本は今急激な勢いで人が減り続けています。2007年から見ると、以下の通りです。

 

 2007年 0.1万人(増加)
 2008年 △2.9万人
 2009年 △5.1万人
 2010年 △10.5万人
 2011年 △18.2万人
 2012年 △19.9万人
 2013年 △21.9万人
 2014年 △24.7万人
 2015年 △26.4万人
 2016年 △30.8万人
 2017年 △37.4万人
 2018年 △42.3万人
 2019年 △49.5万人
 2020年 △51.1万人
 2021年 △60.9万人
 2022年 △78.2万人
 2023年 △83.1万人
 2024年 △89.7万人

(厚生労働省「人口動態統計速報」より)

 

 これ、恐ろしくないですか!?1年間で90万人の方が亡くなっているとうのは結構衝撃的です。

 

 東日本大震災で亡くなった方が1.6万人。第二次世界大戦中に国内での空襲等による死者数が50万人とされてますから、その数の多さに驚かされます。

 

 しかも、2021年からは明らかに減少速度が速まっています。グラフで見るとさらにわかりやすいですよね。

 

 日本全国一律に人口が減るわけではありませんし、ミクロ的にみれば影響が少ないエリアもあります。それでも、今後さらに人口の奪い合い、入居者の奪い合いになるのは間違いありません。

 

 

◆3.急激な高齢化

 「人口減少はしているけど、世帯数はまだ増えている」

 不動産業者だったらこんな回答をするかもしれません。たしかに2030年までは世帯数は微増していくことが予想されています。

 

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」によると、世帯総数は20年が5570万世帯で、30年の5773万世帯をピークに減少していくことが予想されています。

 

(2024年4月12日 朝日新聞記事より)

 

 ただ、世帯数が増加するのは単独世帯が急激に増加していることが原因なのですが、この「単独世帯」というのは「独居老人」なんです。

 

 ご存知の通り、日本は急激に高齢が進んでいます。2030年には、高齢化率が約31%に達し、国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者になると言われています。

 

 そのため、世帯数が増えると言っても、それは独居老人が増えるということであり、私たち大家にとっては孤独死などのリスクが増えることだと言えます。

 

◆4.すべてがコスト増

 人件費、水道光熱費、材料費、すべてが10年前と比べて、明らかに高くなりました。リフォーム代が高すぎる!

 

 総務省の発表している消費者物価指数(2020年=100)によると、住居の外壁塗装、屋根修理、水道工事などの料金水準は20年に比べ軒並み15%前後上昇しています。

 

 しかもここ2,3年は上昇の一途です。来月4月からは更に値上がりするという連絡が来ています。

 

 また、火災保険料(地震保険)も値上げ値上げのラッシュですよね。これからも上がり続けることが予想されています。

 

 その割に家賃が15%以上値上がっているかといったら、ごく一部の都心のアパートやマンションぐらいではないでしょうか。むしろ家賃が下がっていることの方が多いんです。

 

◆5.金利上昇

 そして、ここにきて金利上昇が加速してきています。

 

 昨年、私が不動産投資をやっていて初めて金利上昇しました。お世話になっているすべての銀行の金利が、0.15%上がるハガキが届きました。

 

 そして今年になり、すぐさま今度は0.25%金利を上げるというハガキが届きました。メインバンクの金利は1.4%から1.55%となり、1.55%から今度は1.8%となります。

 

 今後も金利は上昇していくだろうということを考えると、CFはさらに削られていきます。長期で借りていればいるほどリスクとなってきます。

(メインバンクの返済明細より)

 

◆6.まとめ

 ということで、私たち不動産投資を取り巻く環境は、年々悪化してきているのを感じます。不動産投資で儲けるのが難しくなっている。

 

 もちろんどんな市況であっても成功できる人はいるのですが、難易度は確実に上がってきています。10年前15年前でしたら何も考えずに買っても、ラッキーで儲かる人もいました。

 

 しかし、今は違います。

 

 税金も一層重たくなっていきますよね。消費税還付、火災保険、プロパンガス、自販機など、あらゆる旨味がなくなってしまいました。

 

 安易に不動産投資に手を出した人は、数年後に確実に苦労することが目に見えています。人生後半を有意義に過ごすために不動産投資を始めたはずなのに、人生後半に苦労することなっては本末転倒です。

 

 不動産投資のコラムでありながら、こんなことを書くのはどうかと思うのですが、不動産投資やめた方がいいです。

 

 それでも、もしこれから不動産投資を始めるのであれば、もっと慎重に戦略を練りましょう。「都心なら大丈夫」とか「融資が出るから買う」といったことだけは避けるべきと考えている次第です。

 

 参考になったかどうか分かりませんが、少しでも参考にして頂ければ幸いです。いいねボタン押してください。

 

◆7.編集後記

 「やめた方がいい」と言われると、ますますやりたくなるのが人間の性ですよね。分かります、分かります!

 

 私も周りから反対意見を言われれば言われるほど、やりたくなってしまうんです。

 

 特に妻から言われた時ほど!笑