前回の続きです。

そんな言いがかりをつける入居者に対抗すべく

なにか退去させる理由がないか、

元所有者(売主)に事情を説明して尋ねると

私=必殺

元所有者(70代)で鳥取県在住=売主

悪質入居者男性=権藤(仮名)

必殺)実は権藤さんの件で悩んでいましてご相談しました。

売主)あーー、権藤さんね、うるさい人ですね。。。

必殺)そうなんです。色々難癖をつけられ困っています。

売主)私のときも様々な言いがかりを付けてこられて大変でした。

必殺)そこで何とか追い出したいのですが、

   家賃滞納などはありませんでしたか?

売主)家賃滞納というか、事件があってそれで一方的に支払いをストップした時期がありました。

必殺)どういう内容か詳しく教えてください。

売主)平成12年頃に権藤の住んでいる部屋の2階に平沢(仮名)という人間が引っ越してきたのだが、

   これが入居まもなく包丁を振り回す事件がありましてね、

   どうも覚せい剤中毒だったみたいで、

   その際、2階から1階の権藤の部屋に水を撒いて、

   部屋を水浸しにした事件がありました。

   2階の平沢はすぐに駆けつけた警察官に逮捕され連行されたのだが、

   部屋を水浸しにされた権藤は、大家の私に損害を弁償しろと言ってきたんです。

   しかし、私はそんな損害まで補償できないと突っぱねたのですが、

権藤)そんな危険な人物を入居させたのは大家に責任がある。

   部屋を水浸しにされた損害と包丁を振り回された精神的苦痛、

   合計100万円を支払え。

   入金なき場合には、平成12年00月分~00月分まで(約半年間)の

   家賃相当額と相殺するものとする。

こんな内容の手紙を一方的に送ってきたとのことです。

コレに対し家主側は、

家主)入居者のおこした事件まで家主として責任は持てない。

   家賃を払わないなら契約解除になる。

などを書いた手紙を書留で送ったとのこと

※あとで問題となるのですが、コノ手紙を内容証明で出すべきだったんです。

しかし権藤は一方的に家賃の支払いを半年間ストップしました。

それに対し家主としても文句を言いたいが、相手が『クレーマー』なので、

結局そのままうやむやになっているとのことでした。

私は、よし!これだ!!と思い、

売主さんに当時の資料を貸していただくようお願いし、

債権譲渡のお願いもしました。

それに対し売主さんも、

売主)あの男には色々と嫌な目に遭わされた!

   貴方が今大変なのも良くわかる。私に出来ることなら協力させていただくよ

と、ありがたい言葉をいただき作戦を考えました。

ココでワンポイント!

滞納家賃の時効って何年か知ってますか?

5年なんです。

あれ?平成12年当時の家賃滞納なら、とっくに時効過ぎてるんじゃ?

って思いますよね?

違うんです。

コノ場合、家賃は継続して契約しているわけですから、

前に前に充当して計算が出来るんです。

なので、このような場合、

退去時が時効のスタート起点になるわけです。

なので、時効の問題はクリアーされているわけですが、

その他にも問題があり、

①家賃滞納による契約解除がなされていない

これが家賃を滞納した時に前所有者が内容証明による通知を出していれば

前所有者の段階で契約解除が認められて、裁判でも即勝訴で追い出せるのですが、

現段階では契約解除になっていない。

②現所有者の私が債権(滞納家賃)を譲渡してもらっても契約解除はできるのか?

債権譲渡をしてもらうわけですから、債権の回収に関しては大丈夫と思うのですが、

家賃滞納=信頼関係の破壊=これが前所有者から債権を譲渡されたことと結びつけられるか?

これが難しいんです。

A弁護士に相談したところ

追い出すのは難しい、                              なぜなら前所有者との間でなら家賃滞納で信頼関係の破壊は認められるだろうが、
貴方との関係において、金銭の債権は譲渡によって生まれたが、貴方との信頼関係は破壊されていない。

それに対し

B弁護士に相談したところ

判例が見当たらないので、なんともいえないが、勝算は十分ある。

なぜなら物件の売買において、入居者も契約(敷金や保証金の類も)全て引き継いでいるわけだから、

そういった信義則も引き継いで当然と考えてもいい

こんな風に弁護士さんによっても意見が割れました。

ちなみにA弁護士は地元の弁護士で、

こういったトラブル事の際には意見を求めたり

実際に何件か事件をお願いしたこともありました。

それに対しB弁護士は、ある大家の会で紹介された弁護士さんで、

まだ若く誠実そうな弁護士さんでした。

今回は自力での対応は無理と判断し、

若くやる気のあるB弁護士に依頼すこととなったのです。

つづく・・・・

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