前回のお話で反訴されたところまで書きました。

今回は、反訴された内容から触れたいとおもいます。

権藤はA号室と隣のB号室の2部屋を賃貸しています。

A号室は主に権藤が使用し、B号室は主に娘(現在40歳前後)が使用している

反訴(相手の主張)の内容として、

①B号室はずいぶん以前からトイレ・風呂・台所が使用不能である。

前所有者に何度も修理を依頼したが、一切修理を行なわず

入居者としては長年に渡って不利益をこうむってきた。

②シロアリの被害で床が陥没している

家主が長年メンテナンスを怠っていたためシロアリが発生し

床が陥没しており非常に危険な状態で生活をさせられた。

③A号室の台所流しは自分で交換した。

前所有者に修理を依頼したが、家主が修理してくれなかったので、

自分で流し台の入れ替えを行なった。代金を支払え

などの主張です。

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設備の1つ1つについて見積書を提出してきました。

しかも相手方は訴訟救助での裁判ですので、

不動産鑑定士の意見書まで提出してきました。

この不動産鑑定士の意見書は家賃紛争(増額や減額)などで登場するのですが、

鑑定料が30万ほどするので、なかなか一般では手が出せないのですが、

相手は裁判費用が実質かかっていないので痛くも痒くもありません。
(一応かたち上は国が立て替えて、負けた割合で本人に請求するが、実際はぬる~い督促で不払いの人も多いとか)

この鑑定書では、風呂・トイレ・流しが使用できないのを前提に

月額家賃12000円が妥当と鑑定されました。

少々安すぎるとも思うのですが、

風呂・トイレ・流しが使えない=倉庫の価格との判断です。

なので、今まで支払った家賃(月額20000円)では高い

風呂・トイレ・流しが使用できない状態での鑑定評価に基づく賃料で

家賃を引きなおし、
過去に渡って払いすぎた賃料を返還せよとの主張でした。
(サラ金の過払い返還理論ですね!)

原告側(必殺側)の言い分は、

1、風呂・トイレ・流しが使用不能とは聞いていない

  もちろん修理依頼も受けていない

2、シロアリ被害についても初めて聞いた

  もちろん修理依頼も受けていない

3、流し台の交換も聞いたことがない

  もちろん不具合や交換も聞いていない

との主張です。

実際、元所有者に色々聞いたのですが、

本当に連絡や相談は一切無かった様子で、

とてもウソを言っている素振りはありません。

事実、他の部屋での修理などの依頼はすべて行なっていますし、

前所有者さんは几帳面な方で、

その当時の手帳などにもビッシリその旨記載されています。

その旨、答弁書にて裁判所に提出したところ、

被告側から、では現状を原告側で確認しに来い!となり、

原告側弁護士が権藤の部屋を訪問すると、

全ての謎が解けました!

A号室とB号室の壁を撤去していたんです!

だから流し台・風呂・トイレは1つで言いわけで、

A号室が使えればB号室は必要なかったんです。

原告側としてはこの事実は非常に大きく

壁の無断撤去は契約違反である!

即刻契約解除の上、退去せよとの答弁書を提出

それに対し被告側の反論は、

その当時の管理人(小西・仮名)には壁撤去の承諾は得ている

なので、合意の上での改造なので問題ない

との主張です。

元所有者に確認したところ、壁を抜いているのは初めて聞いたし

もちろん許可をした覚えも無い

ましてや管理人が勝手に許可するのは考えられないとのことでした。
(この時点で元管理人の小西は隠居しており所在不明)

争点は、壁の撤去を元管理人及び元所有者が許可していたのか?

また、壁の撤去を黙認していたのか?に争点は移っていきました。

こうなると証人尋問で二人を裁判所で呼び出し、

真実を語ってもらうしかありません。

ということで、裁判は証人尋問へと進みます。

つづく

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