前回の『給料差し押さえ』につづき、
今回は『銀行口座差し押さえ』の現状について書きたいと思います。
皆さんは、債務者の債権は銀行口座を差し押さえれば簡単に回収できると考える方もいると思いますが、
現実的には超非効率なんです!!
では、現実的にどれだけ大変か書いていきますね
まず絶対条件として、
お金の入っている銀行名と支店名が必要になります。
※口座番号は必要ありません
この銀行と支店を特定するのが一般人には大変な作業で、
ピンポイントで当てるなんてほぼ不可能です。
では、どうやって銀行口座を差し押さえるか?というと
債務者が住んでいる家の周り全ての銀行に、
絨毯爆撃の様に口座差し押さえをするんです。
だって、1件1件差し押さえを実行していくと、
口座差し押さえをしていることが債務者にバレてしまって、
預貯金を引き出されてしまいます。
※銀行口座にお金が有ろうが無かろうが、強制執行を実施すると債務者に通知が行ってしまうんです。
例えば、
A銀行=口座なし
B銀行=残高数百円
C銀行=残高10万円
とした場合、A銀行から順番に差し押さえを入れていくとすると
A銀行の差し押さえをした段階でコチラの動が相手にバレてしまい
C銀行にあるお金を引き出されてしまいます。
ですので、銀行口座が特定できない場合の強制執行例として
30万円の債権があった場合
A銀行=10万円の差し押さえ申し立て
B銀行=10万円の差し押さえ申し立て
C銀行=10万円の差し押さえ申し立て
などと30万の債権額を超えない範囲で申し立てる必要があります。
なんとか銀行を特定する方法はないの?
例えば弁護士などの照会で返答する銀行なども一部にあります。
ただ、これにも現実的な問題があり
1、照会に弁護士の手数料がかかる
もちろん弁護士によって違うと思いますが、1件5万程度が相場と聞きます。
5万円払って確実に回収できるのであれば良いですが、取れないことが普通の世界ですので現実的に費用倒れになっちゃいます。
2、照会に応じる銀行が少ない
大手銀行は弁護士照会に応じてくれません。一部ネット銀行なら応じてくれるとのことですが、債務者がどれだけネット銀行を利用しているのか・・・
※以前、銀行の支店まで特定しなくても差し押さえ強制執行を認めるべきだ!!と弁護士が最高裁まで戦いましたが、負けました(´Д`;)/ヽァ・・・なので、銀行名+支店名が絶対必要となったんです。でもね、ネット銀行なんて「いちご支店」とか「レモン支店」なんてどうやって特定するんだよ(゜д゜メ
では裏技は?
もちろんあります。
1、調停や裁判の際にそれとなく債務者から聞き出す。
これは私がよく使うテクニックなのですが、債務者が分割を希望した際に
裁判官:それでは債権者の方に分割で入金する銀行口座を教えてください。
債権者:あ、それなら債務者さんが普段使用している銀行を教えてくれれば私が同じ銀行口座を用意しますよ、だって同じ銀行なら手数料も安いですからね!
債務者:それなら助かります。○○銀行です
債権者:あ、支店も教えくださ。もし同じ支店なら無料ですからね♪
債務者:ホントですね!助かります。何何支店です。
こんな感じで会話の中から探ります。
でも、裁判にも出てこないし追い出しちゃって話すチャンスが無いよ~
こんな時は?どうするの??
基本的にどうしようもないですが、
例えば、明渡し強制執行などで荷物の撤去をする際に、
手紙やDMなどをチェックしておく
退去後のポストなども次の入居者が決まるまでの間は、
転居対策(ポストにテープなどで投函口をふさぐ)などをせず
債務者宛に届いた郵便物の中に銀行などからの手紙が無いか確認する
※手紙を開封して中身を見るのは犯罪ですが、中身を見る必要はありません。だって銀行名と支店名が判ればいいのですから、そんなのは封筒に書いています。
次回では、実際に回収できた事例と費用をご紹介します。
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