前回「これから30年、アパート経営は成り立つの?人口減少と賃貸需要の関係」でこれから先の不動産投資のことを考える上で重要な市場環境について見てきました。
今日は前回の内容を踏まえてこれから先不動産投資がどうなっていくかについて考えてみようと思います。
不動産投資の外部環境を分析
外部環境の分析と言えば有名なのがマイケルポーター氏のファイブフォース分析です。
経営戦略について学術的な知識をお伝えするのが目的ではないので内容はだいぶ省略しますが、趣旨はその産業に関わる5つの要素(売り手、買い手、競合関 係、参入障壁、代替品)の強弱を分析することでその産業が儲かりやすいのか、儲かりにくいのかを分析しようとするものです。
もっと砕いて言うと、
- お客さんに対して強い態度がとれるのか?仕入先には?
- 競い合うライバルは強いのか?これから増えるのか?
- 他のサービスにお客さんを取られたりしないか?
というようなことを分析して、その業界で利益を得やすいかどうかを考えます。
詳細な統計データや将来予測をもとに業界の姿を分析していくということがされますが、ここではそれほど詳細なデータや将来予測を使わないで考えていきます。
買い手(入居者)の強さ
大家さんにとっての買い手は入居者です。大家さんは部屋という商品を売っているのでその買い手は入居者になります。
そして買い手の強さはこれから先どんどん強くなると予測されます。
前回、空室率が40%を超えると紹介したように、これからは空室が多くなっていくため入居者からすれば部屋の選択肢が増えるということになります。
選択肢が増えれば、大家からすればそれだけ今よりも入居者を集める苦労が増えていきます。
なので、この面から見れば物件の収益性にはマイナスの影響がありそうです。
売り手(管理会社・リフォーム会社等)
大家は部屋の価値を維持・向上するためにリフォーム会社や管理会社に仕事を依頼するので大家にとってこれらの会社は売り手となります。
こうした売り手に対して大家の交渉力が強まるかどうかは管理会社・リフォーム会社の数や競争の程度によって変わります。
売り手が収益性に与える影響ははっきりとはわかりません。
代替品の影響
賃貸物件の代替品と言えば持家となるでしょう。貸家だろうが持ち家だろうが人には住居が必要です。
これから先賃貸派が減って持家派が増えれば大家にとってマイナス、逆であればプラスとなります。
これまでのところ賃貸派の数が多くなってきているということが言われていますが、将来もこの傾向が続けばこの点では大家にとってプラスとなります。
所得水準がこれから先、大きく向上するなどの変化が起きれば別ですが、国際化により所得水準が下がる可能性も考えるとやはり賃貸派の数が多くなっていく可能性が高いように思えます。
悲観するほどひどい将来ではないのでは?
さて、ここまで見てきたように空室率が増えることで入居者の立場が強くなれば賃貸経営はこれまでより厳しい環境となりますが、前回お伝えしたように2030年までに世帯数の減少は4%程度です。
空室率40%といっても築年数が30年、40年を超えるような物件はライバルにはならないでしょうからこれも数値が主張するほどの悪影響があるとも思えません。
むしろ将来を悲観して不動産購入者が減ることで物件価格が下がれば、十分に投資採算がとれるでしょう。
方針は変わらず。確実に利益の取れる物件を購入して運用する
結局、これまでも言われているように確実に利益の取れる物件を慎重に購入して運用すればこれから先も不動産投資で利益を得ていくことは十分に可能だと考えます。
将来環境の悲観論が増えて価格が下がったら物件を購入し、流行りで物件価格が上昇したら売却していく。
こうしたサイクルが確立できれば将来の市場環境をそう悲観する必要もないでしょう。
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